簿記って何を勉強するの?|社会人のための「ゼロから始める簿記」入門
「簿記に興味はあるけれど、何を勉強する資格なのかよく分からない」
「経理の仕事をする人だけに必要なのでは?」
「数字が苦手なので、自分には難しそう……」
簿記3級の学習を考えている方から、よく聞く疑問です。
簿記という言葉から、難しい計算や専門的な会計知識をイメージする方もいるかもしれません。
しかし、最初に学ぶ内容は意外と身近です。
今回は、これから簿記を学んでみたい社会人の方に向けて、「そもそも簿記とは何なのか」から説明していきます。
そもそも「簿記」とは?
ひと言でいうと、簿記とは、
会社のお金や取引を一定のルールに従って記録し、会社の状態を分かるようにする仕組み
です。
たとえば、あなたが小さなお店を経営していると考えてみましょう。
商品を10万円で仕入れた。
その商品が15万円で売れた。
家賃を5万円支払った。
銀行から100万円を借りた。
パソコンを20万円で購入した。
会社では、このようなお金の動きが毎日のように発生します。
ところが、銀行口座の残高だけを見ていても、
「今月はいくら儲かったのか」
「会社にはどのくらい財産があるのか」
「借金はいくら残っているのか」
「何にお金を使っているのか」
といったことは正確には分かりません。
そこで、一つひとつの取引を決められたルールで記録します。
そのための技術が「簿記」です。
家計簿とは何が違うのでしょうか?
簿記を説明すると、
「会社版の家計簿ですか?」
と聞かれることがあります。
入り口としては、それほど遠いイメージではありません。
家計簿では、
「給料が入った」
「スーパーで3,000円使った」
「家賃を8万円払った」
といった収入と支出を記録します。
簿記もお金の動きを記録する点では似ています。
ただし、会社では単純な入金・出金だけでは把握できない取引があります。
たとえば、
「商品を仕入れたけれど、代金は来月支払う」
「商品を販売したけれど、お金は来月受け取る」
という取引です。
お金はまだ動いていませんが、会社としては重要な出来事です。
簿記では、こうした取引も含めて記録します。
その結果、会社がどれくらい利益を出したのか、どれくらい財産や負債を持っているのかを整理できるようになります。
最初の関門「仕訳」とは?
簿記3級を勉強すると、比較的早い段階で「仕訳」という言葉が登場します。
ここで、
「借方」
「貸方」
「勘定科目」
など、聞き慣れない言葉が一気に出てきます。
この段階で「簿記は難しい」と感じる方も少なくありません。
しかし、仕訳とは簡単にいえば、
起きた取引を、簿記のルールに従って分類する作業
です。
たとえば、現金で10万円の商品を仕入れたとします。
この取引では、
「商品を仕入れた」
という出来事と、
「現金が10万円減った」
という出来事が同時に起きています。
簿記では、この二つをセットで記録します。
最初は少し不思議に感じるかもしれません。
しかし、取引の中で「何が増えたのか」「何が減ったのか」を一つずつ考えていくと、少しずつ仕組みが見えてきます。
仕訳を丸暗記するよりも、実際に何が起きているのかを理解することが大切です。
簿記を学ぶと「会社のお金」が見えてくる
簿記の面白さは、単に資格試験に合格することだけではありません。
学習を進めると、
「売上が多ければ必ず儲かっているわけではない」
「利益が出ていても、手元に現金があるとは限らない」
「会社が持っているものには、現金以外にもさまざまな種類がある」
といったことが少しずつ分かってきます。
そして最終的には、
損益計算書
貸借対照表
といった会社の成績表ともいえる書類につながっていきます。
ニュースや企業情報で見たことがある方もいるでしょう。
簿記を学ぶと、これまで「数字がたくさん並んでいる書類」に見えていたものが、少しずつ意味を持って見えるようになります。
社会人が簿記を学ぶメリットは?
簿記は経理担当者だけの知識ではありません。
営業職であれば、売上だけでなく利益を意識するきっかけになります。
管理職であれば、自分の部署の数字を考える際の基礎になります。
将来、副業や個人事業を始めたい方にとっても、売上・費用・利益を理解することは重要です。
また、会社員として働いていると、
「売上」
「原価」
「利益」
「資産」
「負債」
といった言葉を何となく使っていることがあります。
簿記を学ぶことで、それぞれの意味や関係が整理されます。
資格取得だけでなく、ビジネスで使われる数字の共通言語を学ぶという意味でも役立つ学習です。
数学が苦手でも簿記は勉強できる?
「数字が苦手なのですが、大丈夫でしょうか?」
という質問もよくあります。
簿記では計算をしますが、高度な数学を使うわけではありません。
初心者の段階で大切なのは、難しい計算力より、
「この取引では何が起きたのか」
「何が増えて、何が減ったのか」
「どの項目に分類すればよいのか」
を整理する力です。
むしろ、最初につまずきやすいのは計算そのものより、簿記特有の言葉やルールかもしれません。
だからこそ、分からない仕訳をそのまま暗記するのではなく、
「なぜこの仕訳になるのか」
を一つずつ理解していくことをおすすめします。
簿記3級から始めてみよう
これから初めて簿記を学ぶ方であれば、まず日商簿記3級から始めるのが一般的です。
3級では、会社の基本的な取引を記録し、最終的に会社の利益や財産の状態を整理する流れを学びます。
最初は、
「借方と貸方が分からない」
「勘定科目が覚えられない」
「問題文を読んでも、どの仕訳をすればよいか分からない」
という状態でも問題ありません。
最初からすべてを理解しようとせず、
①取引の内容を理解する
②仕訳にする
③帳簿とのつながりを知る
④決算までの流れを理解する
という順番で学んでいくと、バラバラだった知識が少しずつつながっていきます。
まとめ|簿記は「会社のお金の流れを読むための言語」
簿記というと、仕訳や計算問題のイメージが強いかもしれません。
しかし、その目的は計算することそのものではありません。
会社で起きた出来事を記録し、
「どれくらい儲かったのか」
「どのくらい財産があるのか」
「どのくらい負債があるのか」
を分かるようにするための仕組みです。
つまり簿記は、**会社のお金の流れを理解するための一つの「言語」**ともいえます。
これまで経理や会計に触れたことがない社会人の方でも、基本から順番に学べば少しずつ理解できます。
「簿記に興味はあるけれど、自分にできるか不安」という方は、まず身近な取引を「会社だったらどう記録するのだろう?」と考えるところから始めてみてください。
簿記の世界が、少し身近に感じられるはずです。
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