英語

#85 和製英語から本物の英語になった「サラリーマン」

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2022/5/20

会社員を表す「サラリーマン」は和製英語だというのは知っていますか?

「サラリー」は英語のsalary「給料」、「マン」はもちろんmanから来ていますが、その2つを合わせた「サラリーマン」は日本で作られた英語(和製英語)なので、英語圏ではsalary manとは言わずにoffice workerと表現する、といったことを聞いたことがある人も多いと思います。

ここまではその通りで、何も間違ってはいないのですが、この話には続きがあります。

なんと、驚くことに、和製英語の「サラリーマン」は英語に逆輸入されてsalarymanという英単語になってしまったのです!

日本語から英語に逆輸入されたsalarymanには、当然のことながら「日本のサラリーマン」のイメージが付いて回ります。「勤勉」というプラスのイメージはいいのですが、一方で「長時間労働」や「過労死」といったマイナスのイメージを帯びてしまうことも…。「過労死」はそのままkaroshiという形で英語に入ってしまったことからも、往時の日本の労働環境の歪さが伝わります。

一般的に「サラリーマン、会社員」を言いたい時は、salarymanではなくoffice workerを使う方が無難です。

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さて、ついでにsalary「給料」の語源についても見てみましょう。

実はsalaryという単語は「塩」を表すsaltと関係があります。古代ローマの兵士には、兵役の報酬として、「塩を買うための銀貨」が与えられていました。(当時の塩が高価で貴重な物であったことが分かります。)そこから、salaryは一般的な「給料」の意味で使われるようになったのです。

塩のsaltと語源的に関係があるのはsalaryだけではありません。salad「サラダ」、salami「サラミ」、sauce「ソース」といった単語も語源的にはsaltと関係があるのです。

saladは元は「塩で味付けされたハーブ」のことだったそうです。

salamiにはもちろん塩が含まれています。

sauceは元々は「塩で味付けする」という意味で、そこからいわゆる調味料としての「ソース」の意味で使われるようになりました。

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