カメの「ぼぶ」の話【作文紹介①】
今年度、多くの生徒様に作文の受験対策を受講いただきました。
滞在国も学年も様々な生徒様から寄せられる作文には、心が動かされる出来事が散りばめられています。
掲載をご快諾いただいた作文は、こちらで少しずつ紹介していきたいと考えています。
1回目は「ぼぶ」の話です。
「ぼぶ」は自己紹介文の中に登場するペットのカメの名前です。
作文を書いてくれたのは、シンガポールからの帰国生入試対策で受講された小学6年生のY君。
初回授業に自己紹介を兼ねた作文課題をお出ししました。
文中には素敵な名前の「ぼぶ」がさりげなく登場します。
次の授業でさっそく質問します。
鈴木「ぼぶは、いつから一緒に暮らしているの?」
Y君「お父さんがお母さんと結婚する前から」
鈴木「!!」
Y君「??」
ここに、作文の可能性が詰まっているのです。
Y君よりもお母さんよりも前からお父さんの家族だった「ぼぶ」の存在を、読み手は全く知りません。
Y君にとっては当たり前だった「ぼぶ」の情報は、Y君が言葉にして初めて伝わる事実です。
伝えると相手が驚く内容も、言葉になるまでは閉ざされた宝箱なのです。
読み手の感嘆を目の当たりにしたY君の作文は、このあと授業ごとに成長します。
具体的な説明と意見に富み、伝えたいことがたっぷり詰まった内容になりました。
伝えたい気持ちが高まれば、書きたいことは溢れ出てきます。
作文と面接の練習を通して表現力に磨きがかかったY君は、見事 志望校に合格されました!
ちなみに「ぼぶ」ですが、シンガポール滞在中はお父様の実家に里帰りし、ご帰国後はまた一緒に暮らしているとのことです。
こうした日常から垣間見れる経験や思考を知りたくて、作文や小論文が課されているのです。
教科の試験では測りきれない人間力を伝えるお手伝いをしていきたいと考えています。
Y君、小学校卒業おめでとうございます!
4月から中学生ですね。
一緒に学んだことがこれからの力になるよう願っています。