「書いてあることを書いてある通りに読むことが、最も難しいのです。」恩師の言葉。
2025/7/1
皆さんこんにちは!講師の富岡です。
今回は国語について、恩師の言葉を引きながら書いてみたいと思います。
私は2つの大学に行っていたのですが、そのうちの一つで日本近代文学と哲学を専門に学んでいました。
国文学と哲学というこの2つの領域は、とにかく「読む」に徹底的にこだわる領域です。
大量の文献を丹念に読み解いていく作業をしていきます。
当時の私は、恩師の授業に魅了され、早くから恩師のゼミに入る決断をしました。
結論、入って大正解でした。
と同時に、「読む」ということの厳しさも嫌というほど知らされました。
特に私が取り組んでいたのは文学ですから、みなさんからすれば「小説」といった方がわかりやすいかもしれませんね。
小説なんて各人が好き勝手にかいつまんで読むので構わないじゃないかという声も聞こえてきそうです。
確かに普段の読書ならそれでも構わないのです。
ですが、研究でそれはいけないのです。
小説ではなく、それが飛行機の設計図だとしましょう。
もし、その設計図をいい加減に読んだとしたら、どうなるでしょうか?
その飛行機は、形こそ飛行機であれ、飛んだ途端に墜落する可能性があります。
サイエンスの分野でもそうです。
様々な論文が出されていますが、それをいい加減に読んで、わかった気になって間違った応用をしたら、場合によっては最悪の事態が起きるかしれません。
大学で何かを学ぼうと志すみなさんには、ぜひこのことを覚えておいてほしいのです。
どの分野でも、「読む」ということが求められます。
それをいい加減にしている人は、十中八九学問で詰みます。
さて、話を戻しますが、私は小説をやっていたわけです。
小説ほど読むのが難しいものもないなと思うほどです。
皆さんも経験があるでしょう。
小説や物語のテストで、多分Aさんは「嬉しい」と思ったんだ!と考えていたら、実は「悲しい」が正解だった、みたいなことが。
そこで皆さんは不平を募らせて言うわけです。
「小説なんて読む側の感性次第じゃん!なんで“正解”が一つに絞られるの?」
そこなんです。本当の意味での「読み」と言うのは。
私の恩師はこうおっしゃいました。
「書いてあることを書いてある通りに読むことが、最も難しいのです。」
私はハッとしました。
小説であっても、丹念に読み込めば、きちっと解が定まる箇所はたくさんあるのです。
それをいい加減にして、好き勝手妄想することがいかに容易いことかを思い知らされたのです。
妄想して自分の都合のいい解釈に持ち込むことはカンタンなのです。
それをグッと堪えて、書いてあることに忠実でいることは難しいことなのです。
なぜなら私たちから完全に主観を取り除くことはできないからです。
それでも、学問の場に足を踏み入れようとするのであれば、安易な妄想に頼らない「読み」が求められるのです。
自分に都合のいい解釈ばかりして、書いてあることをつまみ食いしているようでは、到底大学の学問をするレベルに及びません。
いや、それは日常生活でも言えるかもしれません。
会話のキャッチボールができない人の多くはそうです(発達特性などはここでは除きます。)。
相手の言っていることを言っている通りに正しくキャッチせず、自分に都合のいい箇所だけ取り入れる。それが誤解につながる。
こういうことが日常茶飯事であるならば、本当に気をつけなければならないのです。
なぜ国語で答えが一つに決まるかって?
それは、以上のことが証明しているのですよ。
書いてあることを書いてある通りにまずは読めるのかどうか、全てはそこからなのです。
常に自分の主観と戦う“格闘”こそ、国語の文章読解だと思います。
特にそうした力が磨かれるのが小説読解です。
テキトーに読むことは豊かに読むことではありません。
真の意味で豊かな「読み」とは、丹念に読み込むことではないでしょうか?
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