国語ができるようになるためには何をどうすればよいのか?
2025/6/1
大学受験の国語は、基本的には文法に依拠して問題がつくられています。つまり、AだからB、ゆえにC、というロジックが、設問ごとに明確に組まれています。それを作問意図と呼びますが、その作問意図を洞察できるようになれば、国語ができるようになったと言えます。
では、どうすれば作問意図を洞察できるようになるのでしょうか。
2つあります。
1つは基礎力の強化。すなわち文と文の関係を洞察できるようになればいいわけです。多くの高校生が苦手としているのは、接続詞で繋がれていない2つの文の関係をとることです。
文章の関係というのは、順接、逆接、言い換え、の3つしかありません。しかも、しばしば、言い換え表現と順接はイコールであったりしますから、ざっくり言えば、文章の関係とは順接と逆説の2つしかありません。それを洞察する力が身につけば、読めるようになります。
2つ目は、傍線部周辺の指示代名詞や接続詞を意識して読む力を養うことです。
試験というのはコトの性質上、正解を1つにする必要があります。それをしばしばやり損なっているのが早稲田大学です。早稲田は入試の後、予備校が出す正解速報の答えと、大学側が提示する答えと、問題文の著者が自ら問題を解いたときの答えの3つがバラバラだったりします。だから暴動が起こっています。
特に共通テストは、50万人が受ける試験ですから、誰が聞いても納得できるロジックを組む必要があります。そのためには、指示代名詞や接続詞を解答の根拠とする必要があります。最もメジャーなのが、「だから」という接続詞です。AだからBという文章は、だれが読んでもAだからBという一義にしか理解することができません。それがなぜなのかと問われても、言語哲学の世界においても答えがまだ出ていないわけですが、とにかく、雨が降ったから水たまりができた、と聞いたら、私たちは、雨が降ったから水たまりができた、としか理解できません。
そういったところを解答の根拠として問題が作られているのです。
以上の2点を意識しながら問題文を読めるようになれば、ある程度国語の力がついたと言えます。
ちなみに、このことは英語もまったく同じです。昨今の英語の入試問題は、やや平易な文を大量に読ませる、時間との戦い、かつ情報処理問題になっています。情報処理をさせる側が意図してるのは、文法に気をつけて読めているか? 指示代名詞が指し示すものをとれているのか? といったことです。
私はほかの教員のことをあまり知らないのですが、知っている限りで申し上げるなら、入試問題を作文意図から逆算して教えることのできる先生は少ないそうです。とくに学校の過去問演習においては、学校の先生は気合いでどうにか制限時間内に解けと教えているそうです。それではちょっと(以下省略)。
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