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英単語は書かずに覚えろ! トップ英語学習者が隠す脳科学メソッド

2025/5/17


英単語の記憶法:科学が示す最適な学習戦略



効率的な英単語学習:書くことよりも「積極的想起」の効果

英単語を覚えるとき、あなたはどのような方法を使っていますか?多くの人が「とにかく書いて覚える」という方法を選びますが、実はこの方法は脳科学的に見て効率が悪いことが明らかになっています。最新の研究によれば、効率よく英単語を記憶するためには「アクティブリコール(積極的想起)」という方法が圧倒的に効果的です。

なぜ書いて覚える方法は効率が悪いのか


東京大学の池谷裕二教授によると、単語帳などを見ながら書いて覚える方法は非効率的になりやすいと指摘しています。その理由は、脳の記憶において重要な「思い出す」というプロセスが欠けているからです。 実際、脳は忘れることが得意な器官です。日々大量の情報が入ってくるため、「生きるのに大切ではない」と判断した情報は積極的に忘れる仕組みになっています。

逆に見ると、脳が覚えておく情報とは「生きるのに大切な情報」だけなのです。そして脳が「この情報は生きるのに大切だ」と判断する基準の一つが「何度も思い出す情報」なのです。

アクティブリコールとは何か

アクティブリコールとは、「勉強したことや覚えたいことを、能動的に思い出すこと、記憶から引き出すこと」を指します。 日本語に直訳すると「能動的に思い出す」という意味で、自分の記憶を刺激して積極的に脳から情報を引き出そうとするテクニックです。


アクティブリコールは、何かを記憶するときに単なる丸暗記で終わらせず、使いながら思い出していくことで記憶に定着させる学習法です。科学的に効果が証明されているこの方法を英語学習に用いて、英単語やフレーズを効率よく覚えることができます。

科学的に証明された効果

実際に、多くの研究によってアクティブリコールが最も効率の良い勉強法であることが証明されています。ある実験では、学生たちを2つのグループに分け、アクティブリコールを実践したグループと従来の方法で勉強したグループの記憶定着度を比較しました。暗記が終わってから10分後のテストでは、従来の方法で勉強したグループは36%の単語を記憶していたのに対し、アクティブリコールで勉強したグループは53%の単語を覚えていました。


さらに注目すべきは、1週間後に行われた2回目のテストでは、従来の方法で勉強したグループが4%しか覚えていなかったのに対し、アクティブリコールを実践したグループは35%の単語を記憶していたという結果です。これは、アクティブリコールを使った学習が長期記憶の定着に極めて効果的であることを示しています。


効率的な英単語学習法


実践的な方法として、英単語を効率よく覚えるには以下のサイクルを意識しましょう:


具体的には、①英単語のリストなど覚えたい情報を読む、②教科書や参考書を閉じ、学習した内容を頭で整理しながら覚えた内容を白紙にできるだけ書き出す、③わからなかったことや忘れていたことについて教科書や参考書で見直す、という手順を繰り返します。


また、英単語を使って文を作る練習も効果的です。自分で考えたことや自分の体験に基づいて表現することで、その単語を自分のものとして使いこなせるようになります。例えば「concern(名)心配、懸念」という単語を覚えたら、「Currently, my biggest concern is the next presentation.(今一番心配なのは、次のプレゼン)」というように自分の状況に当てはめた文を作ってみましょう。



まとめ:効率的な記憶のために

単に英単語を書いて覚えようとする方法は、脳科学的には効率が悪いことが明らかになっています。代わりに、一度頭に入れた単語を積極的に思い出し、実際に使ってみるアクティブリコールの方法が科学的に証明された効果的な学習法です。

アクティブリコールは語学習得に欠かせません。覚えた単語を思い出せなければ使えないからです。声に出して話したり書き留めたりして自分の言葉にするうちに、やっと血肉になるのです。

最後に重要なポイントとして、覚えた単語も1カ月に1度は復習することが大切です。覚えたと思って放っておくと、脳は「放置されている=いらない情報」とみなし、捨ててしまうからです。

これからの英単語学習では、ただ書いて覚えるのではなく、アクティブリコールの原理を取り入れた学習法を実践してみてください。記憶の定着率が格段に向上し、より効率的な学習が可能になるでしょう。

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