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【中学受験算数】 速さとグラフが苦手な子必見!ダイヤグラム問題の注意点と練習法

2025/6/22

速さの問題の中でも、ダイヤグラムの問題は「解けそうで解けない」と感じている受験生も多いのではないでしょうか。一見すると、グラフの中にもいろいろとヒントになる数字があり、「何となくヒントをいじっていけば解けそうな…」と感じる人も多いかもしれません。ですが、ダイヤグラムの問題はむやみやたらにヒントをいじくりまわしてもあまりうまくいきません。このあたり、「とにかく分かった角度から片っ端から書き込んでいけば解ける」といった角度を求める問題とは少し趣が違います。


ダイヤグラムの問題は、特別な解法があるというよりは、グラフを見て何を読み取るかという「情報を読み取り整理する力」を求められる問題です。ここでは、ダイヤグラムの問題パターンにどのようなものがあるかや、ダイヤグラムを読み取るときに特に気を付けたい基本的なポイントなどについて示してみたいと思います。


【1、問題の類型(パターン)】

:中学受験で出題される「ダイヤグラムの読み取り」問題には、主に以下のようなパターンがあります。


① 通常の旅人算のダイヤグラム

複数の人物(または車・電車など)が、異なる速さ・出発時間で移動し、「出会い(すれ違い)」、「追い越し」を行う時刻や場所を問う問題。


② 途中で休憩や速さの変化が生じるダイヤグラム

行きと帰りで速さが違う場合や、途中で休憩が入る場合の移動を図示し、それに関する情報を読み取る問題。また、目的地に到着して一定時間滞在し、その後元の地点に戻るというような行動の変化を読み取る問題。


③ 主にグラフの情報のみから状況を把握させる問題

問題文の中では詳しい説明をせず、ダイヤグラムの中に書かれた数値やグラフの様子のみから、「移動距離」、「時間」、「速さ」、「速さの変化」、「休憩時間」などを読み取らせる問題。


もちろん、速さの問題によっては比で解かなければいけなかったり、流水算のような特殊要素が入ってきたりという応用がなされることもありますが、基本的には上記①~③のパターンに分けられます。


【2、ダイヤグラムの基本的な読み取りポイント・注意点】

① 軸の意味を正確に把握すること

たいていの場合は「横軸=時間」、「縦軸=距離」を示していることが多いですが、まれに異なる内容となっていることもあります。まずは横軸と縦軸が何を示しているかをチェックしましょう。


② 直線の傾き=速さを表す(「横軸=時間」、「縦軸=距離」の場合)

直線の傾きが大きい(急)である場合にはスピードが速く、傾きが小さい(緩やか)である場合にはスピードが遅いことをつかみましょう。また、グラフが水平になっている場合には速さはゼロ(その場にとどまっている)ということも確認しましょう。


③ 速さが変化すると直線が折れ線になる(傾きが変わる)

直線の傾きが途中で変化して、急になったり緩やかになったりした場合、それは速さが変化したことを示しています。また、逆方向に進んだ場合(縦軸が距離の場合に上に進んでいたものが下向きに変わるなど)には、元の方向に戻っていることを示します。


④ 直線がグラフの上端や下端についたときに注目

特に2地点間の往復などの問題で、縦軸が距離を示していてその下端が一方の地点(スタート地点)、縦軸の上端がもう一方の地点(目的地など)の場合、直線がグラフの上端や下端についたときは、片方の地点(スタート地点や目的地)に着いたことを示します。


⑤ 直線の交点に注目する

複数の線が交わるところは「出会い」や「追い越し」などの重要な場面です。直線が向かい合う地点から伸びてきて交わる場合は「出会い」、同じ地点から伸びてきて出会う場合は「追い越し」になります。


⑥ 単位の確認を怠らない

ダイヤグラムに限らず速さの問題の基本ですが、距離が「km」か「m」かや、時間が「秒」、「分」、「時間」かなど、単位の見落としによるミスが起こらないように常に注意を払いましょう。


⑦ 問題文とダイヤグラムを往復しながら確認する

一度図を見ただけで解こうとせず、常に「この線は誰の動き?」、「ここで水平になっているのは誰が何分休んでいる?」などの情報を問題文と照らして理解することを繰り返しましょう。


(ダイヤグラムの読み取りの例)

たとえば、以下のダイヤグラム(AさんとBさんが2地点間[ア地点~イ地点]を往復する場合)のような場合、図中に示した①~⑩は図の下に示した①~⑩の内容を示しています。「ダイヤグラムの問題がなかなかできるようにならない」という場合、そもそも以下のような内容がきちんと読み取れているかを確認してみると良いでしょう。


①:AさんとBさんが出会った(1回目)

②:Aさんがイ地点に着いた(1回目)

③:Bさんがウ地点で休んでいる

④:BさんがAさんに追い越された

⑤:Aさんがア地点に戻った

⑥:AさんとBさんが出会った(2度目)

⑦:Aさんがウ地点で休んでいる

⑧:Bさんがア地点に着いた後、そこにとどまっている

⑨:BさんはAさんがウ地点を出発したのと同じ時間にア地点を出発した

⑩:Aさんがイ地点に着いた(2回目)


【3、全体を通しての注意点と効果的な勉強法】

(注意点)

① 図だけを頼りにせず、必ず問題文と照らし合わせる

登場人物や地点、条件などの基本情報を見落とすと、その後何をやってもうまくいきません。最初の情報の読み取り間違いは致命的になりますので、焦る気持ちをおさえて、まずはじっくり必要な情報を丁寧に確認しましょう。


② あいまいな理解で図を描かない

「とりあえず図にしてかいてしまおう」という人もいますが、メモ程度ならともかく、しっかりとした図をかいて後で「間違っていました」となるとかえって理解に手間取ります。速さや時間を具体的につかんでから、確実にわかる部分を図にしていきましょう。


③ 部分的な読み取りで判断しない

直線の交点に注目することは大切なことですが、一部の交点だけに注目して思い込むのではなく、それぞれの変化をグラフと照らし合わせて、確実にグラフの内容を理解できているか確認しましょう。全体の流れや関係をつかむことが大切です。


(効果的な勉強法)

① 自分で図を描く練習をする

どんな問題でもそうですが、自分できれいな図をかける人は強いです。よく、「本番では定規は使えないのだから定規は使ってはいけません」などと言われますが、速さとグラフについては練習のうちは定規を使ってかまいません。まずは丁寧に図をかき「読み取れる」、「分かる」図をかけるようになることが大切です。フリーハンドで書くのは、ある程度ダイヤグラムをかくことに慣れてからでも遅くはありません。

問題などで、すでに与えられた図を読むだけではなかなか力が付きません。状況を読み取り、自分でダイヤグラムをかく練習をすると理解が深まります。


② 「なぜこの線はこうなっているのか?」を説明できるようにする

図の各部分に対して説明できる力をつけることが、応用問題への対応力につながります。たとえば、交点に「出会い」、「追い越し」とか、直線に「A君」、「Bさん」、水平線に「Cさんが休む」など、状況が把握できているかを確認するためのメモをかきこみ、答え合わせをする際に本当にその読み取りがあっているかをチェックしてみましょう。


③ 時間の流れに沿って場面を分ける練習

横軸の時間に注目し「何時から何時までは誰がどこを動いていた」とか「出発してから〇分後までに誰が向こう側の地点についた」など、時系列で出来事を整理する力をつけることが大切です。


④ 同じ問題を、時間をおいて何度も解く

焦りからか、多くの問題を何問も解く人がいますが、ダイヤグラムについては最初にも書いた通り、特別な解法を身につけるというよりは、「情報の読解・把握をする力」を身につけることが何より大切です。ですから、「一度理解して終わり」ではなく、間隔をあけて再度チャレンジして「正しい読み取り方」を身につけることが何より大切です。今回の記事の最初に示した3つの問題パターンごとに、きちんと読み取りができているかどうかを「理解できた」はずの問題をベースに何度も解き直して、グラフを確実に読み取る力を身につけましょう。


ダイヤグラムの問題については、中途半端な理解をたくさん積み重ねるよりも、一問一問、丁寧に確実な読み取りを重視して進めた方が、はるかに力が付きます。また、ダイヤグラムの問題では、たいていの場合後の問題のヒントとなる比較的簡単な問題が序盤に用意されています。ダイヤグラムの問題は総じて難問が多く、全ての問題を完全正解できる受験生はそれほど多くありません。もちろん、そうしたレベルで学力を身に着けられるのであればそれに越したことはありませんが、それが難しい場合にも丁寧で確実な読み取りさえできれば、序盤の問題で点数を稼ぐことは十分可能です。

「うへぇ、ダイヤグラムだ。無理。」と投げ出してしまうのではなく、「⑴、⑵までは頑張って読み取ってみよう」という姿勢で丁寧な学習を積み重ねてくと、ある時「あれ?何かわかるかも」と感じる時が来るかもしれません。ダイヤグラムの問題を見た時に、「読み取ってみたい」、「読み取りが楽しい」と思えるようになると良いですね!

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