#145 伊東先生の英文法教室➀
2024/11/23
今日は立教大学の文法・語法問題を扱っていこう。
この問題を解くのに必要な知識は、私の授業や、みんなの持っている参考書・問題集で扱われているものだ。解けなかった問題は、自分の知識の穴が見つかったことをラッキーと考えて、しっかり復習しておこうね。
では問1から。
選択肢は4つとも動詞の-ing形だ。ということは、この問題は文法問題というよりも、語法あるいは熟語問題になってくるね。
ポイントはinto considerationだ。つまり、この表現と一緒に使われる動詞が正解ということになる。これは熟語集にも載っている有名な熟語だから、できた人も多いんじゃないかな。
take ~ into consideration「~を考慮に入れる」
ついでに
take ~ into account
take account of ~
も同じ意味の熟語として覚えておこう。
一応確認だけど、「考慮に入れる」というのは、単に「考える」というのとはニュアンスが違うからね。国語辞典を引いてもいいけど、それだとまどろっこしいから、英語を英語で説明している英英辞典で確認してみよう。
take ~ into consideration: think about something when making a judgement or decision
つまり、「判断したり決定したりする時に、それと関係のある物事について考える」というニュアンスの熟語だということが分かるね。
いつも言っていることだけど、こうした問題を解いて語彙の知識の抜けが見つかった人は、ちゃんと辞書を引いて例文を見ておくことが記憶の強化につながるからね。そこを億劫がって、ただ抽象的な
「take ~ into consideration=~を考慮に入れる」
という字面だけを眺めていても、そんな表面的な知識は数日もすれば頭から抜け落ちてしまうだけだ。私たち日本人が難しい日本語表現を学ぶ時も、例文を使った方が覚えやすいはず。まして英語ならなおさらだ。
We should take her illness into consideration.「彼女が病気だということを考慮に入れるべきだ」
「彼女が病気であるということ」を踏まえた上で、「判断・決定を下すべきだ」と言っているわけだね。
では問2に行こう。
接続詞beforeの左の主節が過去完了形(had ~ begun)、右が過去形(took)で、しかもhadとp.p.の間に単語を入れる形になっている。この場所に入る語は、基本的に「notのような否定語」か「just, alreadyのような完了形と一緒に使われる語」だ。
I had not seen such a fine lake before I visited there.
We had just got home when the telephone rang.
選択肢ニのyetは完了形と一緒に使われるけど、ふつうは文末に置かれる。
When we got to the airport, his plane hadn’t arrived yet.
ということで、選択肢イ・ハ・ニが消えて、否定語のscarcelyを選ぶことになる。
多分みんなの中には、
had p.p. ~ before 過去形
というつながりから、重要構文
had scarcely [hardly] p.p. ~ before [when] 過去形
を思い出して即答できた人もいると思う。本当はそうした解答のやり方が理想的だ。
この構文は授業でも扱ったことがあるけど、復習しておこうか。
「私たちを見るとすぐに彼は逃げ出した」
As soon as he saw us, he ran away.
The moment he saw us, he ran away.
On seeing us, he ran away.
He had scarcely [hardly] seen us before [when] he ran away.
「AしたらすぐにBする」という意味を表す表現はけっこうたくさんあるから、ここでもう一度まとめておいたよ。
これも授業でやったけど、否定語のscarcelyやhardlyが文頭に来ると、
Scarcely [Hardly] had he seen us before [when] he ran away.
というように、主節は疑問文の語順になることも思い出しておくこと。
はっきり言うと、問2のような問題は知識問題だから、問題集で知識をしっかりと定着させておけば、本番では即答できるし、また受験生としてはそういう状態になっていることが望ましい。
じゃあ次、問3に行くよ。
まず目につくのは、コンマを挟んで左に完全文、空欄の右にbe動詞のisがあることから、空欄にはその主語が入る、つまりコンマの右にも完全文が来ているということ。
それに気づいた段階で、みんなは「2つの完全文をコンマだけでつなげることは基本的にはあり得ない」という英語の基本ルールを思い出さないといけない。
2つの完全文をつなげるには、andやbecauseなどの接続詞を使うのがふつうだよね。選択肢イのsoはたしかに2つの完全文をつなげることはできるけど、でもそれを空欄に入れたらisの主語が無いということになってしまうから、もちろんダメ。
さあ、では接続詞を使わずに、2つの完全文をつなげるなんてできるんだろうか?
もちろんそれができるからこの問題は成立しているんだけど、選択肢を見れば
関係代名詞の非制限用法
がまさに、2つの完全文を接続詞を使わずにコンマだけでつなげられるということを思い出せないといけない。非制限用法で使うことのできる関係代名詞はwhichとwhoの2つだけで、whatはダメだから選択肢ハは消える。正解はニのwhichになる。
Many women quit their jobs when they got married, which was the custom in those days.
この例文では、下線が引かれている2つの完全文がコンマだけで接続されているんだけど、なぜそんなことが可能かと言えば、非制限用法の関係代名詞を使っているからだ。また、このwhichの先行詞は、コンマの左の文全体であることも確認しておこう。
この例文を、接続詞andを使って書き換えると、
Many women quit their jobs when they got married and it was the custom in those days.
となる。もちろんitはandの左の文全体を受けているよ。
問題文のwhichは、直前のto skip breakfastを指しています。
次、問4だけど、これは純粋な熟語問題です。
be to blame (for ~)「(~に)責任がある」
「何か悪いことに対して責任がある」という意味の熟語です。
You are not to blame for the mess I’m in.「私が困っているのはあなたのせいではありません」
responsibleを使って
You are not responsible for the mess I’m in.
としても意味は同じだよ。
問題文のin no wayは「全く~ない」という意味の否定表現で、not at allと同じです。
The party can in no way be described as a success.「パーティーは成功したとは全く言えない」
問5も熟語問題。これも熟語集に載っているはずだ。
beyond description「言葉では言い表せない」
beyondは「超えて」、descriptionは動詞describeの名詞形で「言葉による描写」のこと。直訳するとこの熟語は「言葉による描写を超えて」と言っていて、良い意味でも悪い意味でも使われます。古めかしい日本語を使うなら「筆舌に尽くし難い」「名状し難い」だけど、「言葉では言い表せない」という訳で基本的にはOK。
The view was beyond description.「その眺めは言葉では言い表せないほど美しかった」
My sorrow was beyond description.「言葉では言い表せないほど悲しかった」
では問6に行こう。これは文法問題だね。
Ifの直後が空欄になっているから、ふつうならSVが続いていくはず。選択肢二はたしかにyou (S) keep (V)となっているけど、keepは基本的に他動詞なので、Oが無いという不都合が生じてしまうね。
選択肢イ・ロ・ハどれを入れても、これだけではSVとはならない。でも、英文である以上は、Ifの後ろはSVが来るはずなんだ。
ではどう考えるか?「ifの後ろはSVが来るはず」ということを出発点にすると、
省略が起こっている
と考えるしかない。
この授業でも前に話したことがあると思うんだけど、接続詞when/if/thoughなどの後ろでは「S+be動詞」が省略されてしまうことがあるんだ。
When (you are) in the library, you should be quiet.
If (she is) tired, she doesn’t have to attend the meeting.
Though (they were) poor, they were happy.
こうした省略が起こる場合、
・省略されたSは主節のSと同一
・省略されるVはbe動詞
という決まりがある。
これを基に問題文で省略されているはずのSVを復元すると、
If it is ( ) in the refrigerator, ~.
となるはずだ。itは主節のthis piece of fishを指しているよ。
ここまで来たらあと一息。文法的・意味的に一番ふさわしいのは選択肢ロとなる。
If it is kept in the refrigerator, ~.「もし冷蔵庫で保存されれば、~」
次の問7も文法問題。少し難しいけど、できたら解けてほしい問題だ。
まず文頭のAt no timeは否定表現でneverと同じ意味を表します。
否定表現が文頭に来たら疑問文の語順になる
というのは、さっきの問2の解説でも触れたよね。
At no time was she late for school.「彼女は学校に遅れたことは一度も無かった」
もちろん問題文も「疑問文の語順」にしないといけない。もしこのままで分かりにくいなら、自分で通常の語順に戻して考えてみればいいし、解答を出すためには否定表現のat no timeを消して考えてもいいね。
At no time ( ) I thought of ~.
⇩
I ( ) at no time thought of ~.
ここまで来れば後は簡単。選択肢イ・ハ・二の語の後ろには「動詞の原形」が来ないといけないので、これらの選択肢は全て不適。ロのhaveなら後ろに過去分詞形thoughtが来ても問題無いね。
いよいよ最後の問8だ。これはできたら即答できてほしい問題。
requires thatを見た瞬間に、「あっ!」と思えたかどうか。
これは私の授業でも前に扱ったけど、
insist, demand, requireなどの、広い意味で「要求を表す動詞」の後ろのthat節では、「動詞の原形」か「should+動詞の原形」が使われる
という知識を使えば、選択肢イを一瞬で選べるはず。忘れていた人は、動詞のリストをもう一度覚え直しておくこと。
She demanded that he (should) stay there.
このdemandは「要求する」という意味で、後ろのthat節では「動詞の原形」「should+動詞の原形」だけが正しい形になる。主語が3人称単数だからといってstaysと3単現の-sを付けたり、demandedが過去形だから「時制の一致」のルールを適用してstayedにしたりなどはNGということ。
前に紹介した要求を表す動詞のリストを単語として丸暗記するのではなく、1つ1つの動詞をちゃんと辞書で調べて例文を確認しておこう。そうすれば、insistとsuggestには、意味の違いによって後ろのthat節で動詞の現在形・過去形などが使われる場合があることにも気付くはず。もちろんそうした場合のinsistとsuggestは「要求を表す動詞」ではないということになるけど、これもちゃんと授業では説明しているはずだから、ノートを見直して復習しておいてね。
今回扱った8つの問題のうち、問1・2・4・5・7・8は、知識が身に付いていれば即答できる問題だ。逆に言うと、こうした問題で時間を使ったり、間違えたりした人は、即答できるよう十分に理解した上でアウトプットのトレーニングを積んでおく必要があるね。
文法・語法問題には、知識で一瞬で片付く問題と、その場で考えなければならない問題とがあるんだけど、本番で無駄な時間を使わずに、しかも正答率を上げるためには、まずは即答できるよう知識を確かなものにしておくことが大切だよ。
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