#150 英語と写真でバーチャルツアー⑳~福岡・太宰府天満宮~
2025/3/12
全国から多くの受験生が合格祈願に訪れる太宰府天満宮は、梅の名所としても有名です🌸
歴史上の人物である菅原道真が、なぜここで「学問の神様」として祀られているのか、また太宰府天満宮のそこここになぜ梅のマークが見られるのか、その理由を読んでみましょう。
Flying apricot & god of literature
➀There have been many political conflicts in the world. ➁About 1100 years ago, a Japanese aristocrat scholar, Michizane Sugawara, gained the Emperor Uda’s confidence and got ahead in the Heian court, finally he reached the Junior Minister (Udaijin) in the Daigo emperor’s reign. ➂In 901, Michizane was relegated to a post of the “Dazaino-gonno-sochi” (administrative head of Dazaifu in Fukuoka) by the head minister Tokihira Fujiwara. ④Michizane loved Japanese apricot “ume” so much that he whispered a poem to his garden’s apricot tree before he left from Kyoto, “⑤If the spring wind blows, you apricot tree, send your scent to me, don’t forget the spring without your owner.” (Kochi fukaba, Nioi okoseyo Umenohana, Arujinashitote Haruna wasureso.) ➅Then his apricot tree fled from Kyoto to Fukuoka’s his new house for one night to give respect and admiration to his owner, so this tree was called flying apricot (Tobiume). ➆Now, there is a Dazaifu Tenmangu shrine which enshrines Michizane Sugawara in Dazaifu, and Tobiume is in front of the main hall in the shrine (this tree’s age may be over 1,000 years old), and it is very famous for many Japanese apricot trees. ➇Therefore this shrine’s symbol is apricot. ➈You can find many apricot marks in the shrine.
➀おそらくは、人類の中で「政治」という統治システムが生まれた瞬間から、政治的闘争は古今東西を問わずに連綿と存在し続けてきた。
➁aristocrat「貴族」。律令制(唐に倣った法律に基づく法治制度)では、位階が五位以上の者が貴族とされる。Michizane Sugawara「菅原道真」。9世紀後半に活躍した政治家であり学者。宇多天皇・醍醐天皇に重用される。蔵人頭を経て右大臣にまで登り詰めるが、対立していた左大臣・藤原時平の謀略にかかって、大宰府に左遷された(昌泰の変)。Emperorはふつうは「皇帝」だが、日本の「天皇」も指す。confidence「信頼」。get ahead「出世する」。court「宮廷、朝廷」。finallyの直前に等位接続詞andが必要。Udaijin「右大臣」はトップクラスの政治家(今の財務大臣や官房長官レベル?)。雛人形にも登場し、上から4段目に飾られることが多い。朝廷では「左側」が上座とされていたので、左大臣(お爺さんの人形)を左に、右大臣(若者の人形)を右に飾る。(雛人形を見る側の視点からは、左大臣が右に、右大臣が左に置かれることになる。)reign「治世、御代」はrainと同音。
➂relegate: put someone in a lower place。He was relegated to a post in a local branch.「彼は地方の支店に左遷された」。(「左遷」という言い方は、中国の戦国時代、右が上位と考えられていたところから。)Dazaino-gonno-sochi「大宰権帥」は、大宰府長官の帥(そち)に次ぐナンバー2の役職。ただし帥は基本的に親王が就く名誉職的なものであり、実務の責任者のトップは権帥だったと言う。the head minister Tokihira Fujiwara「左大臣藤原時平」は、摂関政治の基礎を築いたとされる藤原基経の子。天皇の廃立を企てているとの讒言によって、政敵の菅原道真に濡れ衣を着せて陥れた。
④apricotは「あんず」で、Japanese apricotで「梅」を表す。so ~ that構文。leaveはここでは自動詞。
⑤you apricot treeは挿入的に庭の梅の木に語りかけている。主節はsend以下(命令文)。原文は「東風吹かば にほいおこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」。「東風(こち)」は春に東から吹いてくる風。未然形(吹か)+接続助詞「ば」で「順接仮定条件(もし~するならば)」。「おこせよ」は、「遣(おこ)す」(現代語の「よこす」と同じ意味)の命令形で、「こちらに送ってくれ」という意味。「主」は菅原道真のこと。「なし=無し」。「とて」は格助詞で、ここでは「理由」を表す。「~だからといって」。「な~そ」は「禁止」を意味する呼応表現。「な来(こ)そ」なら「来るな」という意味。「春な忘れそ」は「春を忘れるな」。東風が吹いてきたら、ちゃんと花を咲かせてその匂いを自分が行くことになる大宰府まで送ってほしい。家の主人(=道真)がいないからといって、春が来たのに気づかずに花を咲かせることを忘れるな、という趣旨の和歌。
➅こうした和歌を詠んだ道真公の許に、一夜にして梅の木が飛んで来たという伝説があり、その木が太宰府天満宮の御神木である「飛梅」。(ちなみに、「大宰府」は役所の名称で、「太宰府」は地名。漢字の使い分けが紛らわしい・・・)fledはflee (=leave abruptly)の過去形。
➆enshrineはもちろんshrine「神社」の動詞形で「祀る」。the main hall「本殿」。famous for ~「~で有名な」。
➈太宰府天満宮には、いろいろなところで梅を象った模様に出会えるようです。
➉After Michizane died in 903 at Dazaifu, a huge thunderbolt struck a Emperor’s court and killed a man. ⑪People believed that Michizane had resented Tokihira and the Fujiwara family, so Michizane became the God of thunder and a ghost of revenge to kill the Fujiwara family. ⑫In fact, Tokihira soon died 39 years old in 909. ⑬As time passed and memories of the disasters faded, ‘Tenjin-sama,’ who was enshrined in various parts of Japan to suppress curses, became worshipped as a god of literature since Michizane was a brilliant scholar as well as a poet. ⑭Now this Dazaifu Tenmangu is the head shrine of 12,000 Tenmangu shrines in Japan. ⑮Tenmangu is the God of literature, calligraphy or protector from fire. ⑯At the time for examination, a lot of students and candidates (and their parents) visit to pray their success.
➉thunderbolt「落雷」。
⑪believeはthinkとほぼ同じ意味だが、意味的により強いことが多い。resent「恨む」。the God of thunder「雷神」。道真は雷神として崇められるようになり、そのため「天神様」と言われるようになった。a ghost of revenge「怨霊」。
⑫In fact「実際」は、⑪を補強するような文を導く印。朝廷に雷が落ちて人が死んだことや、藤原時平が39歳という若さで死んだこと、またここには書かれていないが、道真を左遷した醍醐天皇も40歳代半ばで死去したことなど、一連の不幸な出来事が非業の死を遂げた道真の祟りによるものと考えられたのである。怨霊と化した道真を鎮めるために、京都に北野天満宮が建立され、また官職としては最高位である太政大臣(今の総理大臣に相当)の位が死後の道真に与えられた。
⑬喉元過ぎれば熱さを忘れる。初めは怨霊として恐れられた道真は、その後生前の学識の高さから「学問の神様(god of literature;literatureには古風な用法として「学問(learning)」の意味がある)」として崇められるようになった。curse「呪い」。sinceは「理由」を表す。
⑮calligraphy「書道」。
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