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英語

#24 アメリカ先住民~IndianからNative Americanへ~

2021/6/3

日本で「インディアン」と言えば、ふつうそれは「インド人」ではなく「アメリカ先住民」を指します(もっともこの言い方自体、今では聞くことはまずないですが)。英語のIndianもかつてはアメリカ先住民を意味することがありました(American Indianという言い方もあります)。IndianはIndia「インド」から生まれた言葉なのに、なぜ「アメリカ先住民」を指していたのでしょうか?これには、大航海時代の歴史的出来事が関係しています。

1492年にコロンブスがアメリカ大陸に到達したことは歴史で学びますが、コロンブスは自分が見つけた大陸を死ぬまで「インド」だと思っていたことは知っていますか?()アメリカ先住民を(American) Indianと呼ぶのはその名残なんですね。「西インド諸島(the West Indies)」という名称についても同じです。コロンブスではなくアメリゴ・ヴェスプッチという人物が、アメリカ大陸はインドではなく、ヨーロッパ人の知らない新大陸だと気付きました(「アメリカ」という表現は彼の名に因んでいます)。もしコロンブスが最初に気付いていたら、「アメリカ」という名称が使われることはなかったでしょう。(ちなみに、コロンブスが到達したのは北アメリカではなく、今のキューバ・ジャマイカなどのカリブ海に浮かぶ西インド諸島や、中央アメリカのあたりでした。)

当時のIndiaは必ずしも今のインドという国の辺りだけを指していたわけではなく、ヨーロッパから見て遠い東アジアの辺りもIndiaと呼ばれていました。コロンブスは、自分が到達したのは今で言う東アジアだと死ぬまで思っていたのです。

 ▲コロンブス一行を描いた絵(赤い服を着て旗を掲げているのがコロンブス)

アメリカ先住民を指してIndianと言うのは今では侮蔑的ですし、American Indianという言い方も避けられる傾向にあります。その代わりに使われているのがNative Americanという表現です。(アメリカの黒人を指す言い方の変化は過去のブログ#18で見ましたが、それと考え合わせてみてください。)

 

私たち日本人にとってはあまり馴染みのないアメリカ先住民について、簡単に見ておきましょう。

アメリカ先住民はヨーロッパ人がやって来る遥か昔から南北アメリカ大陸で生活していました。「エスキモー(イヌイット)」はアメリカ先住民の中では比較的日本人に馴染みのある部族名だと思います。歴史で学ぶ「アステカ文明」「マヤ文明」「インカ文明」を築いたのもアメリカ先住民でした。また、「トーテムポール」は彼らの文化の具体例として有名だと思います。

▲エスキモー

▲トーテムポール

15世紀末からは、アメリカ先住民の生活領域であったアメリカ大陸に、強力な武力を持ったヨーロッパ人が侵攻してきました。メキシコにあった「アステカ帝国」や、マチュピチュ遺跡で有名な南アメリカの「インカ帝国」を滅ぼしたのはスペイン人でした。

独立戦争でイギリスに勝利して独立国となったアメリカ合衆国は、最初は北アメリカの東海岸に成立しましたが、その後は西へ西へと領土を拡張することになります(この西への領土拡張の動きを「西漸運動」と言います)。その過程で、元々そこに暮らしていたアメリカ先住民の土地を取り上げ、彼らを西の地域に強制的に移住させるということを行ないました。特に有名なのは、19世紀前半の「涙の旅路(the Trail of Tears)」と呼ばれるアメリカ先住民の強制移住です。アメリカ先住民15,000人が今のジョージア州からオクラホマ州までを約4ヶ月に渡って強制移動させられる中で、4,000人が亡くなったと言われています。

 

▲「涙の旅路」を描いた絵

辞書でreservationを引くと、「アメリカ先住民の特別保留地」といった意味が載っていると思います。アメリカ人はアメリカ先住民から土地を奪い、彼らをreservationと呼ばれる地域に封じ込めたのです。

西漸運動は19世紀後半まで続きました。1853年にペリー提督が黒船に乗って神奈川県横須賀市の浦賀に来たのも、1898年にアメリカがハワイを併合したのも、西漸運動の延長線上の出来事なのです。

▲1854年に横浜に上陸したペリー一行を描いた絵(沖合には8隻の黒船が見える)

アメリカ合衆国に住むアメリカ先住民の半分近くが今でもreservationで暮らしています。アメリカ合衆国内のアメリカ先住民の人口は、20世紀末の時点で250万人以上だったと言われています。カナダにも50万人以上が暮らしているとのことです。

 

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