#71 aborigineの語源
2022/4/4
中学生用の英和辞典を見ていたら、「先住民」を意味する英単語aborigineのところに
ab (=from)+origine (=origin(初め))
という語源解説が載っていました。中学生用の辞書でこうした語源が示されていることが意外だったので、aborigineの語源が他の辞書には載っているのか気になって調べてみました。
すると、高校生用の辞書で語源の説明があったのは、私が調べた中ではたったの1冊でした。
日本語でもオーストラリア先住民を「アボリジニ」と言うので、aborigineは語源を知らなくても比較的覚え易いとは思いますが、ab-はともかく、origineが「origin=初め」だと知っていると確実に覚えやすくなると思います。その意味で、件の中学生用辞書の語源記述は素晴らしいと感じます。
aborigineについて補足しておくと、「オーストラリア先住民」の意味の時は固有名詞なのでAborigineと頭文字を大文字にします。
また、from/awayを意味するab-は、けっこう他の単語にも使われていて、
abnormal「異常な」←正常な(normal)状態から離れる(ab-)
abuse「乱用する、虐待する」←通常の使用(use)から離れる(ab-)
absent「不在の」←離れた(ab-)ところにいる(sent)
abolish「廃止する」←古くなって(old)離れる(ab-)
absorb「吸収する」←離れる(ab-)ように吸う(sorb)
といった単語のab-も同じ意味を表しているそうです。
単語を語源で覚えようとするのは、初学者の場合は特に非効率的なので私はお勧めしませんが、自分で「これを知っていると覚え易いな」と思ったものだけ参考にするといいのではないでしょうか?
私の個人的意見では、上に挙げた語群の中では、absorbやabolishを語源で分解して覚えることにメリットは感じられません。つまり、わざわざ語源を知るよりも「absorb=吸収する」「abolish=廃止する」と覚えた方が手っ取り早いように思うのです。それに対して、abnormal、abuseについては、語源を知った方が覚えやすくなるように感じます。absentは中学生の時にそのまま覚えてしまった単語なので、後から語源を知って「へぇー!」と思うくらいでしょうか。
(私たちが漢字の意味を覚える時も、漢字の「偏」「旁(つくり)」「冠」などの構成要素の意味を全て踏まえた上で覚えるわけではありません。たとえば「汗」と「池」はどちらも偏として「さんずい」が使われているので、「水」に関係していることまでは分かりますが、それと組み合わされている右側の旁の「干」「也」のここでの意味まで知っている日本人がどれくらいいるでしょうか?「決」などは、偏が「さんずい」なので「水」に関係しているはずですが、一体この漢字がどのように「水」と関係しているのかを説明できる日本人はほぼ皆無でしょう。結局私たちは、「汗」「池」「決」をはじめ、ふだん使っているほとんどの漢字の意味を、構成要素の全ての意味を知らないままに覚えて使っているのです。ちなみに、「汗」の旁の「干」は、「カン」という音と、「侵す」という意味を表しているそうです。つまり、皮膚を侵して出てくる水が「汗」ということです。「池」の旁の「也」は、この字の昔の音である「チ」と、「周りが高い窪み」を意味しているとのことです。「決」の右の旁は「ケツ」という音と、「抉(えぐ)る」という意味を表すそうです。堤を切って水が流れ出るというのが原義で、専ら一方に注ぎ出るというところから、物事を一方的に決めるという意味が生じたとのことです。知らなかった!)
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