英熟語make itについて(2)
2023/3/17
さて、make itの話だが、その前にmake the portとmake for the portの違いについて。
The ship made the port.「船は港に着いた」
The ship made for the port.「船は港へと向かった」
Make the portのほうは、the portがmakeの目的語となるので、船は港への影響が大きく、つまりここでは船は港に着いたということであり(swim the riverで「川を泳いで渡る」という意味になるのと並行的だ)、それに対してmake for the portとなると、the portはforの目的語なので港への影響は小さく、つまりいまだ港へは着いていない。これはfeel「~を感じる」とfeel for「~を手探りで探す」の違いと似ているようだ。
He felt the pen.「彼はペンを感じた(≒ペンに触れた)」
He felt for the pen.「彼はペンを手探りで探した」
ちなみに、使役動詞にはmake, have, letの3つがあり、makeは強制と言われるが、強制ということは働きかける力が強いことになる。つまり、make the portもmake for the portも船が働きかける力が強いのであり、そうなると船はかなり力を出している、ということになる。だから、文脈によってはmake the portは「港へと急いで着いた」ともなれば、make for the portも「港へと急いだ」ともなる。要するに、自動詞のmakeは「急ぐ」という意味にもなるのであり、ここからmake awayやmake off(awayもoffも「離れて」という意味)がrun awayと同意となって「逃げる」とも訳されることになるのだ。
さて、make itである。これはもともとは「make+場所」という表現だったのが、目的語で表される目的地や目標を漠然とitで表したものだ。だから、本来はmake itは「力を出して目的地に着く」といった意味となり、そこから「たどり着く」「間に合う」といった意味になり、さらに発展して「待ち合わせる」「出席する」などの意味も生れたのだ。
では、ここからどうやったら「成功する」といった意味になるのだろうか。これは比喩なのだ。「一生懸命に頑張ってある場所にたどり着く」といったイメージが比喩的に用いられて、「一生懸命頑張って目標に到達する」→「成功する」となったのだ。
もう面倒なので(?!)、make itの例文は記さない。興味のある人は各自辞書で調べてみよう。以上、make itの話でした。
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