東大英語を読もう(2023年) 5
英語長文の読解方法について、ベテラン講師の視点から説明していこう。今日用いるのは東大の問題だ。東大は、我が国では一、二を争う最高峰だが、その英文には素直なものが多く、問題の出題のされ方も正統派で、決してひねくれたところはない。しかしながら、正確に読み解かない限り、真の理解には達するのが難しい、といった英文だ。これを解説していこうかと思う。なお著作権の問題もありそうなので、ここでは英文は記さない。下記リンクから問題文を入手されたし。受験生諸君、頑張って見られよ!
https://www.yomiuri.co.jp/nyushi/sokuho/k_mondaitokaitou/tokyo/mondai/img/tokyo_zenki_eigo_mon.pdf
では、私の解説を読みながら、令和5年の東大の英語の問題を見てみよう。大問1のIn the 2010sから始まる長文問題だ。第5パラグラフに到着だ。
この長文は、第3パラグラフで「我々には自由な時間がかつてないほどにあるが、しかしいくつかの理由でそうとは感じられない」として、第4パラグラフからその理由の列挙が始まる。その理由として「寿命が伸びて自由な時間も増えたが、それと比べると購買力が格段に上がったので、欲しい物をすべて買っても限られた寿命では全然使いきれず、だから自由な時間が足りないと感じられる」として、第1パラグラフのtoo little timeからつながっていることがわかる。
・携帯依存
第4パラグラフではNextから始まるので、2つ目の理由の列挙となる。時間不足の理由は「携帯依存」だ(「スマホ依存」としてもよさそうだ)。第2文では、多くの人が毎日長時間携帯に触れることを述べており、直接的にテーマである時間不足にもつながっている。第3文では、我々の時間は「悪影響を受けた時間」(contaminated time)だという。Contaminatedは形容詞化して「汚染された」の他に「悪影響を受けた」という意味もある。本文では、”contaminated time”―when SVとなるが、このダッシュをある種のイコールと捉えればよい。するとcontaminated time=「1つのことをしているが、しかし何か他のことを考えている時」となる。日本語では、テレビを見ながら勉強をすることを「ながら勉強」と言うことがあるが、これと同じだ。つまり、携帯やスマホをいじりながら何かをしてしまうのだ。どんな時でも何らかの情報を得ようとして、ツイッターしながらテレビを見たりして、自分では時間を有効活用して生産的(productive)になったつもりでも、実は疲れ切っている(tired out)のだ。
・筆者の言葉を補う
本文のテーマは時間不足だ。だから、第3文の「ながらスマホをして集中できない」とか「すぐに疲れを感じる」とかで言い切ってしまうと、時間不足というテーマと無関係となって混乱するかもしれない。そんな時は、「時間不足」の観点から筆者の言葉を補えばよい。例えば、
1)何か1つのことを一生懸命頑張るのではなく、携帯をいじりながら何かを行うので、今一つ集中できずに時間が足りなくなる。
2)同時に2つのことをするのですぐに疲れてしまい、休まねばならず、他にやりたいことがあってもする時間がなくなってしまう。
とまあ、こんなことになろうか。第3文では、筆者は少し言葉が足りていないので、できる範囲で読み手が補ったほうがよさそうだ。では、なぜ筆者が言葉足らずになったのかといえば、推測するに、誰もが日常で経験することなので、特に詳しく述べる必要もなかろうと筆者が心のどこかで判断し、それで言葉少なになったかと考えられるかもしれない。
いずれにせよ、携帯依存から時間不足につながるわけだ。
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