英語

cannot help Vingについて

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2022/2/16

主に高校生以上の方に向けての文章です。

cannot help Vingという形がありますね。有名な熟語ですね。実は、これには2つの意味があるってご存じでしたか。そして似たような意味を持つ他の表現があるというのは、知っていますか。そのことについて、少しばかり私の独自の視点を交えて説明していきます。受験生の皆さんの参考になれば幸いです(^^)/


まずは、おおまかにhelpの2つのパターンを紹介します。


他動詞helpには主に2つの用法があります。1つは、目的語に人間を取るもので「手伝う・助ける・役立つ・促進する」と訳します。人間が主語であれば「手伝う・助ける」となり、無生物が主語であれば「役立つ」となります。以下の例文では、1)は人間主語であり、2)は無生物主語になっていますね。


(1) His father helped him to do his homework.

(彼が宿題をするのを手伝った)

(2) The railroad helped the city to develop.

(鉄道がその市の発展を促した)


もう1つは、canを伴い、目的語に無生物をとるもので、この場合はcan helpとなって「避けることができる」という意味になります。この形では、否定文となることが多いようです。以下の例文では、目的語のitはlaughingを指しています。つまり、「笑うことが避けられない」→「思わず笑ってしまう」といったイメージになりますね。


(3) I'm sorry for laughing. I can't help it.

(笑ってすいません。こらえきれなくて)


このように、helpには2つの用法があるのですが、今回の主題はcannot help Vingになります。これは、目的語が動名詞であるので、上に記した2つ目の用法となります。


さて、このcannot help Vingですが、これにも大まかに言って2つの意味があるのです。1つは目的語のVingが主に心の中のことを表すもので、心情表現〔喜怒哀楽や思考など〕が用いられます(先ほどの(3)の例文も、その1つといってよさそうです)。以下の例文はどれも主語の心のうちに関するものですね。


(4) I can't help thinking I could have saved them.

(救えたのにとどうしても考えてしまう)

(5) I can't help admiring the man's courage.

(男の勇気に感心せずにはいられない)

(6) I can't help feeling that there has been a mistake.

(過ちがあったと感じずにはいられない)


もう1つは、目的語のVingが主に心の外のことを表すもので、「やむを得ない」「しょうがない」といったイメージになります。以下の例文をご覧下さい。(7)では短足が嘆息されていますが(ちなみにダジャレですが、おわかりいただけましたか…)、短足は心の外部の事情となりますね。(8)の例文では、leavingの意味上の主語yourがありますが、こちらも「しょうがない」というイメージがありますね。


(7) I can't help having short legs.

(短足なのはしょうがないよ)

(8) I can't help your leaving if you insist.

(どうしても行くというなら仕方ない)


このように、cannot help Vingには2つの意味があるのです。まとめますと、1つは動名詞が心の中のことを表すもので、「Vしないではいられない」「思わずVする」というふうに、ある気持ちがついつい現れ出てきてしまう、といったイメージになります。こちらの言い回しは、「Vしないではいられない」という訳に雰囲気が合うようにも思われます。


もう1つは、動名詞が心の外のことを表すもので、「Vするのは仕方ない」という少々あきらめの気持ちになっています。こちらのほうが「Vせざるを得ない」という少しく漢文調の訳が相応しいようにも思われますが、皆さんはどうお感じになるでしょうか。


さて、この2つの意味に応じて、他にも似た表現があることにも注目しましょう。cannot helpの形では、helpは「避ける」という意味になりますが、他にも回避を意味する他動詞はありますね。cannotを伴い熟語化しているものとしては、他にはavoid, resist, stopがあります。仮に訳を紹介します。


cannot avoid Ving「Vすることは避けられない/免れない」

cannot resist Ving「Vする気持ちに抵抗できない」

cannot stop Ving「Vすることを止められない」


cannot help Vingが心の中を表す場合には、cannot resist, cannot stopと近い意味になり、cannot help Vingが心の外を表す場合には、cannot avoidと近い意味となるのです。つまり、cannot resist/stopはある気持ちがついつい現れ出てきてしまう、といったイメージであるのに対して、cannot avoidは避けられないし仕方ないね、といったイメージになるのです。以下の例文で検証してみましょう。


(9) I can't resist snacking between meals.

(間食がどうしてもやめられないんだ)

(10) I can't stop thinking about you.

(君のことをつい考えてしまうんだ)

(11) He can't avoid being blamed for his irresponsible behavior.

(無責任な行動で彼が責められるのは免れない)


(9)では、内心の欲望がむくむくと湧き出てきて、私は間食しないではいられないのです。(10)では、ついつい君のことを考えてしまう自分がいます。この2つは、心の中のことを表しています。対して、(11)では、彼が責められることはもう避けられないのですが、これは心の外の客観的情勢を表していますね。いかがでしょうか。


以上、cannot helpには2つの意味があること、その2つの意味に応じてcannot resist/stop/avoid などの言い回しも似た意味を作り上げること、などを確認しました。受験英語では、cannot help Vingの代わりにcannot but V(実際にはあまり使われません)やcannot help but V(よく使われています)が同じ意味と教えています。確かにそうですが、他のavoid, resist, stopなどを使う言い回しについては、あまり聞かないかもしれませんね。でも、入試に出る可能性も十分にありますので、覚えておくといいでしょう。


以上、cannot help講義でした!




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