【思いやりは国語力】優しい子ほど記述は伸びる!?
記述問題と聞くと、身構えてしまう。何を書けばいいか分からないし、がんばって書いても、なかなか丸をもらえない。そんな苦手意識を持っている人は決して少なくありません。 ここで一つ、大事なことを言います。記述の得意・不得意を分けているのは、頭の良さでも読書量でもありません。分かれ目は、自分以外の誰かの頭の中を、どれだけ想像できるか。そんな地味で人間くさい力です。ひとことで言えば、思いやりでしょうか。国語の話をしていたはずが急に道徳めいてきましたが、これは大真面目な話です。
LINEで友達をフリーズさせていませんか
たとえば、友だちに「決まったよ、ほんとに嬉しい」とだけLINEを送るとします。自分の中では、志望校の合格発表のことだと分かりきっている。でも、受け取った側は「何が決まったの?」と戸惑う。悪気はないし、手を抜いたわけでもありません。ただ、自分の頭の中にある前提が、相手には見えていないだけなのです。 記述で点をもらえない答えの多くは、これと同じことが起きています。自分は本文を読んでいるから、「それ」「このこと」と書いても意味が分かる。主語を省いても、誰の話か分かる。書いた本人の頭の中では、ちゃんと筋が通っているのです。ただ、その「自分には分かっていること」は「自分にしかわからないこと」なのです。だから、他人が読むと意味の通らない文になってしまいます。
採点官は「未読の小4」だと思い込む
ここでテストの話に戻しましょう。記述問題の答えを書くときはこう考えてみてください。採点官は、本文を一度も読んでいない「小学4年生」だと。もちろん実際には大人のプロが読んでいますが、それくらいの子に説明するつもりで書くのがちょうどいいのです。小4の子が読んでも、迷子にならずに意味が通じる文。それが点になる答えです。
具体的に言えば、こういうことです。「その経験を通して、変わったと感じた」と書いたとしましょう。でも、本文を知らない小4の子からすれば、「え、誰が?どんな経験?どう変わったん?」と疑問マークが頭の上に大発生します。これでは記述問題の答えとしてはほぼ0点です。 「主人公は、祖父と過ごした夏を通して、人の弱さを認められるようになった」。ここまで書いて初めて、小4の子の頭の中にも「なるほど、おじいちゃんと過ごして優しくなれたんやな」ということが浮かびます。
「具体的に書きなさい」にフリーズする子どもたち
多くの子は、このひと手間を「めんどうだから」飛ばしているわけではありません。もっと手前で、「本文を読んでいない人に伝わるように書く」という発想そのものがないのです。他人の目で読み返すという考え方にまだ出会っていないのかもしれません。 もう一つ、見落とされがちなことがあります。「具体的に書く」「抽象化する」「一般化する」といった言葉が、そもそもよく分からないという子が本当に多いのです。大人は当たり前のように使いますが、子どもからすれば、何をどうすればいいのか見当もつかない指示です。だから「具体的に書きなさい」と言われても、ますます固まってしまう。 まず意識するのはたった一つだけです。「本文を知らない小4が読んでも、伝わるように書く」。「具体的に書く」というのは、読んだ人が「誰が?」「何を?」と引っかからないように、抜けている情報を補うというただそれだけのことなのです。
「幽体離脱」して自分の答案を眺める練習
練習の仕方は、そんなに難しくありません。書き終えたら、本文をいったん隠して、自分の答えだけを読み返してみてください。「これ、本文を知らない小4の子が読んで、意味が分かるかな」と。主語が抜けていないか。「それ」の中身は書いてあるか。話が飛んでいないかなどなど。この読み返しを習慣にするだけで、答えは見違えてきますよ。
優しいあなたは、すでに国語の才能アリ
相手が何を知らないかを考えて言葉を選ぶ。これは、友だちとの会話でも、大人になってからの仕事でも、ずっと役に立ちます。記述の練習は、その一生ものの想像力を、問題という形で鍛えているとも言えます。記述が苦手なあなたに足りないのは、難しい言葉でも読書量でもありません。すでに持っている優しさを、答案の向こうにいる「本文を読んでいない人」に向けるだけでよいのです。友だちの気持ちを察したり、相手が困らないように言葉を選んだり。ふだん自然にやっているその想像力を、そのまま答案に使えばいい。人に優しくすると国語の点が上がる、なんて道徳の授業でも言われないと思いますが、少なくとも記述に関しては、これは本当の話です。優しいあなたは、国語が得意になる才能を持っているのです。
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