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英語の辞書について - 英英辞書のすゝめ

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2021/11/10

 今回は英語の辞書についてざっとお話ししましょう。実は私は大学生以上を対象とする英語塾を開設しており、そのノリで大学受験生の生徒さん向きでは無いレベルのものをここにお話しますが、少し先を見据えるのも悪くないと考え目通ししてみてください。

 

 私は紙媒体の定評ある各種の英語関連辞書、辞典の類いは片っ端から購入はして来ました-実は他の言語、医学生物学、動物学関連辞書・辞典類も大量に蔵書しています-が、流石に冊子体の Oxford English Dictionary (略称OED)は買い求めてはいません。大学の図書館などでは古びた OED 全巻がレファレンスコーナーの書架の幅数メートルを陣取り鎮座ましましている場合もあります。これを購入するかと頭を掠めた頃に折良く CD 版の OED が世に出、場所を食わずになによりと、Oxford 大学出版局から早速それを購入しました。当時の価格は9万円弱だったと記憶しています。その後の改訂版も購入しましたが、これは掲載語数が少しずつは増大はするものの、OS のバージョンアップに合わせての改訂版と言えるものです。upgrade 版の価格は最終的には当初のものの1/3程度にまで下落しました。この電子版辞典の入手を契機として、各種の CD or DVD 版の辞書類を買い揃えるに至りましたが、現在ではこの様なディスク媒体の出版形式が消滅し始め、年間契約のサブスクリプション形式のものが増えて来ています。これはスタンドアローンでは利用出来ず、必ず PCを web に接続している必要がある為、自分としては使い難い様に感じますね。と言いますか、本当のところは web 上の情報に対してお金を支払う気持になれず・・・。

 

 この様な按配で、紙媒体辞書は一通り揃えてはいるものの、重い辞書を抱えて手首を捻りそうになったりするのもイヤだと、次いでディスク媒体の辞書利用がメインとなりましたが、現在はそれもあまり使用しなくなり、web 上の無料辞書を活用する様になりました。尚、これまでの話は、英英辞典に関するものであり、基本的に英和辞典、和英辞典は利用しません。英語の事は英語で理解するのが最善で、1つの言葉を容易な言葉で言い換えて記述していますので、その単語の語感からして良く理解することが出来ます。

 

 因みに、ヨーロッパの言語はバスク語などの特殊な言語は除きインド-ヨーロッパ語族なる互いに親戚関係にある言葉ゆえ、日本語-ヨーロッパ語のシャトルで理解しようとするのではなく、ヨーロッパ語同士間で理解するのが合理的且つ容易です。その様な次第で仏和辞典なども利用せずに、web 上の仏英・英仏或いは仏仏で用を済ませています(これも無料版!)。

 

 英和辞書は、ドンピシャリと来る日本語の訳語が欲しい時に参考の為に検索することがありますが、適訳が見当たらない時もそこそこありますね。例えば organize ですが、組織化する、企画など計画する、組合に加入させる(=オルグする)などの訳語が辞書で当てられています。しかるに、Cambridge Dictionary の定義の1つでは to do or arrange things, plans, ideas, etc., according to a particular system so that they can be used or understood easily 容易に利用したり理解出来る様に1つのシステムに従い物事、計画、考えなどを行う、配列する、即ち物事を筋道立ててスムーズに動かす、が原義ですので、<段取りを付ける>と訳すとピッタリ来る場合がありますが英和辞書には載っていません。また会合の organizer は組織者、計画立案実行人ではなく<世話人、世話役>の訳語が適当でしょう。

 

 話を戻しますが、高校2年生の頃から Longman Dictionary of Contemporary English を利用し始めました。この辞書は好き嫌いも出るかとは思いますが、初学者の英英辞典の入門には最適と今でも感じます。基本的な2000語のみを用いての記述がなされています。現在、DVD 媒体付きの旧版冊子体がまだ入手可能ですので Amazon などで1部買い求めておくのも手です(5000円弱)。英英辞典を利用する事で、単語を別の言葉で言い換えていく訓練が出来、英語力の著しい強化が期待出来ると思います。これで一定程度の英語力を身に付けると、今度は web 上の無料の各種英英辞典等の利用が格段にラクになります。勿論、英文法の解説なども英語のまま理解出来る様になります。まぁ、繰り返しになりますが、英語のことは英語で考えろ、です。これに関しては、例えば web 上に英語関連コラムなどを書いている者がいて、当人が英和に頼り切り、英英辞書を使いこなせていない、或いはその様な作法自体を知らないと判れば、この人物は基礎の出来ていない英語の素人さんだ、と即座に知る事ができます。往々にして日本語の訳語にとらわれてああだこうだと論評し、或いは英語の歌の歌詞を誤訳して夢を語り始める!などもしてちょっと見てられないのですが、初学者は誤謬に導かれる危険性もありますのでご留意を。

 

 難関大学を目指す力量のある生徒さんは入学後のことも考え、余裕があればの話ですが英英にそろりと接近することをお勧めします。英英を使い慣れるに連れ、自然と脱英和、脱和英して行きます。大学在学中の前半ぐらいまでに英英の比重を高めておくと良いでしょう。

 

 OED -泣く子も黙る?-に関しては、或る言葉の根源的な意味合いや過去を含めてのその用法を探る時には最後に縋り付くべきご本尊的位置にあり、私は現在もCD媒体のものを利用しています。法律で言うところの判例集の様な位置づけの側面もあると思います。今は disk 媒体は見当たらず、online のサブスクリプションのみとなりました。個人で年間100ポンドですが月当たり1200円程度と考えれば妥協できる金額かもしれません。英語でメシを喰う者には必須の reference とも言えますが、実際には自前で英語論文を執筆する、或いは第三者の英文を責任を持って校閲する立場にあるなど以外では契約する必要はほぼ無いでしょう。

 

 - 手短に語るつもりが長々と書いてしまいました。

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