和歌に親しむ
こんにちは、講師のニシオカです。
三寒四温、少しずつ春を感じる今日このごろです。
今日は、春の和歌を1つご紹介します。
人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香に匂ひける
平安時代初期に活躍した紀貫之(きのつらゆき)さんの作です。
音読してみましょう。
「ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににおいける」
和歌というと、文字に書かれたものという印象が強いですが、いえいえ、基本は口でうたい、耳できき、頭でイメージする、そういうエンターテインメントでした。
大学受験的な視点であれば、以下④点は必須。
①2句切れ 57/577で分かれる。「ず」は終止形。
②係り結び 「ぞ」+「ける」(「けり」の連体形)
③「匂ふ」はこの場合、「美しく映える」ではなく、現代語と同じ「匂いがする」の意味
などのポイントはおさえておきたいところです。
④作者紀貫之に関連する古典作品といえば、『古今和歌集』『土佐日記』
どんなことを歌っているかというと、
「人間の気持ちは、さぁ、どうなんでしょうね(昔と変わってしまったのでしょうかねぇ)、でも、故郷の花は昔と変わらない香りで、今も咲いているのだねぇ」
というもの。
「花」と言えば、一般的には「桜」ですが、香る花といえば「梅」ですね。今では「白梅(はくばい・しらうめ)」「紅梅(こうばい)」とありますね。もともと大陸から伝来したのは「白梅」でした。「紅梅」が伝来したのは少し後になりますので、紀貫之さんが鑑賞していた梅はおそらく「白梅」。今度白い梅を見かけたら、「人はいさ…」と口ずさんでみましょう。時代を飛び越えて、一気に近づける気がすると思います。今の私たちと同じように、古文の世界の人たちも、いろんなことを考えていました。その思いが、57577という美しいリズムに乗って、私たちの心にも伝わってきます。和歌や古文の魅力がそこにあります。

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