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【コラム】古典を薦める理由、ビジネス書を薦めない理由

2023/3/3

読書しなさいと言われた経験のある人は多いだろう。

そして、いざ読書をしてみようと思っても、世間に氾濫する書物の多さに途方に暮れた人も多いはずだ。

本を読むのが良いのは分かったが何を読めばいいのか分からない、これが読書を諦める人の大半の声ではないだろうか。

私が学生に何を読むと良いか聞かれたら、間違いなく古典を薦める。

それも定番中の定番のもの、例えば日本の書なら夏目漱石、海外ならドストエフスキーなどだ。

学校の国語の教師の様な回答で拍子抜けされるかもしれないが、これには理由がある。

なぜ古典か、それに答えるにはまず読書の目的を考察する必要がある。

読書、それも古典を読むことの目的は、教養の養成である。

では、教養とは何か。

掘り下げるときりがないのでその特徴を簡単に挙げると、

①すぐに役に立つとは限らない

②何年経っても活きる

この二つだろう。

一つ目だが、教養を身に着けても即効性があるとは限らない。

確かに、夏目漱石を読んで明日からすぐに学校や仕事で使える知識が得られるかは疑問である。

少しだけ話は逸れるが、世の中は即効性を謳ったものが跳梁跋扈している。

消費者がどれだけ、すぐに、効率よく、かつ楽してメリットを享受できるかを求めているかがよく分かる。

教育関連も然り。

もしかするとここを読んでいる方も、「無駄をなくして効率的に」「出るとこだけを集めた」「数か月で偏差値30アップ」というような謳い文句を見るとつい気になってしまうことがないだろうか。

社会に出ても、教養などという「役に立たなそうな」ものは軽視し、仕事に直結しそうな資格ばかりに着目する者も少なくない。

しかし、今すぐ使える知識、簡単に手に入る知識が10年後、20年後、100年後にも価値があるかは分からない。

「SNSのバズり方」という本があったとして、それがいつまでも褪せないコンテンツであると断言できるだろうか。

上記の二つ目の話であるが、教養とは一生残る財産である。

本稿では読書について書いているが、学生の皆さんは今勉強しているどの科目も、あなたの血肉となる大切なものだからぜひ楽しんで勉強すると良い。

「将来役に立たない」と言ってしまう人が時々いるがとんでもない誤解である。

実際、古典は100年以上読み継がれているようなものなのだから、どの時代の人も認める秀逸な作品ばかりであることは間違いない。


一方で、読書を薦めると、ビジネス書や自己啓発書を読みだす人がいる。

熱中しすぎて何冊も読み漁る人も稀にだがいる。

読みやすいし、面白いし、何より内容がポジティブなので気持ちは分からないでもない。

しかし、私は基本的には薦めない。

なぜなら勘違いをする人、目的を見失う人が多いからである。

ビジネス書には成功、幸福、自己実現の秘訣の伝授を謳う宣伝文句がこれでもかと書かれていることが多い。

だが、本を一冊読んで大成功したりするなど、あるだろうか。

落ち着いて考えれば当たり前のことでも、いざ本を手に取って読み進めると、忘れてしまう人も多い様だ。

自分で夢を見ることは大事だが、他人に乗せられて夢見るのは薦めない。

よって、私はビジネス書はやめておく方が無難であると言う。

だが、それでも気になるビジネス書や自己啓発書がある人は、これだけは頭に入れておくと良い。

目的を明確にして読もう。

この本を読めば成功者になれる、頭が良くなる、幸せになれると期待して読むのはやめておこう。

そうではなくて、漫画を読むときの様に、肩の力を抜いて楽しむつもりで読むと良い。

それならば、読後に気分は高まるし、良い息抜きになるはずだ。


最後にまた、古典の話に戻るが、私はなぜ古典を読んできた(今も読んでいる)のか。

夏目漱石も太宰治も川端康成もドストエフスキーも、どれも読んだことが無く一生を終えるのは寂しいなと感じた、というのが発端である。

皆さんはどうだろうか。

ちょっとでも、何か古典を読んでみようかなと思ってもらえたなら幸いである。

古典のお薦めは検索すればすぐに出てくるし(なんならミステリではない場合、先にあらすじだけ見てしまっても良い、それでも面白いのが古典である)、私に相談してもらえればアドバイスもする。

さあ、本屋さんに行ってみよう。

もしかしたら、あなたにとって運命的な本との出会いがあるかもしれない。

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