高校数学の攻略③「論理的思考力を身に着ける方法とその必要性」
2023/3/9
こんにちは、講師のあさむらです。
先日のブログの続きになります。前回のブログを読んでいない方はこちらからどうぞ。
https://manalink.jp/teacher/13583/blog/1288
では本題に移ります。
数学が苦手な方が、高校数学を攻略するための道筋は下記の3STEPであると以前お話をして、前回は①についてお話しました。
①できる喜びを通じて、数学を好きになる
②数学特有の考え方(論理的思考力)を身に着ける
③問題演習で多くの問題に触れ、パターンを知る
本日は②についてお話します。
そもそも論理的思考力って何?
数学はよく「論理的思考力」を養う学問だ、なんて言われることがありますが、
「そもそも論理的思考力って何?」「論理的思考力って役に立つの?」という疑問が生まれるかと思います。
論理的思考力、特に高校数学上で求められる論理的思考力にフォーカスして表現すると、
「状況を正しく整理・把握し、誰が見ても正しいと思える道筋で論理を展開する考え方」
だと私は考えています。
そして論理的思考の反対は、感情的思考(非論理的思考)になります。
理解を深めるために、たとえ話を出してみます。
親子のよくある日常の会話です。
母:「A子、また部屋が散らかってるじゃない!掃除しなさい!」
A子:「お母さん、別に散らかっていてもいいじゃない。困ることなんてないんだもの。」
育児に仕事に日々大変なお母さんは、娘の反抗に腹を立てることでしょう。
そしてA子の主張に対して、咄嗟にこう言葉を返すかもしれません。
母:「いいからとにかく今日中に片づけなさい!できなければ今日の晩御飯はナシね!」
A子:「なんでそうなるの!別に困ることじゃないし、今日はお出かけの予定があるから無理!」
お互いヒートアップしていき、部屋の掃除という些細なことから大喧嘩に発展することもありますね。
このお母さんの返し言葉が、俗に言う「感情的思考」から生まれた言葉になるのです。
一方で、お母さんが踏みとどまり、こう言葉を返したらどうでしょう?
母:「そうね。今は困ってないかもしれないけど、このままだと部屋にカビが発生するし、ゴミを餌にいろんな虫が寄ってくるよ。虫やカビと一緒に住みたいんだったらそのままでいいんじゃない?」
A子:「そこまでは汚くしないつもりよ。」
母:「でも1週間前よりさらに汚くなってるのは事実ね。いつ掃除するの?」
A子:「うん、明日ちょっと綺麗にしようと思う。」
今回のお母さんの言葉は「論理的思考」から生まれた言葉になります。
部屋が汚い ⇒ ゴミがたくさん落ちている ⇒ 風通りが悪くカビが出やすい+ゴミを餌に虫が来る
というように、部屋が汚いという状況から論理を展開し、誰が見ても正しい時系列で、今後どうなるかを伝えたのです。
「汚くても困ってないから平気!」という娘さんに対し、嫌な未来が訪れることを想像させ、自発的に掃除をする予定を決めさせることができました。
論理的思考力って必要なの?
論理的思考力を身に着けることにより
「勉強全般の成績が上がる」「大学を合格した後も公私ともに役に立つ」
という理由から、論理的思考力は必要なのです。
2つの理由を少しだけ掘り下げていきます。
「勉強全般の成績が上がる」について。
今回のテーマはあくまで「高校数学の攻略」ですので数学に絞ってお話しましょう。
数学に関して言えば、教科書問題や基礎問題に対しては、論理的思考力の重要度は高くないかもしれません。
あるに越したことはないですが、教科書問題や基礎問題のレベルで言えば問題のパターンは限られますので、言ってしまえば暗記で無理やり得点を稼ぐことは可能です。
皆さんの数学の目標が「定期考査で点数を取る」だったり「基礎レベルしか出題されない入試で高得点を取る」に留まるのであれば、論理的思考力が無くても何とかなるでしょう。
しかし、応用問題、入試問題となればそうはいきません。
入試までしっかり問題演習を重ねてきたとしても、入試問題は見たことのない問題がほとんどです。暗記だけで対応は不可能です。
ここで論理的思考力を発揮するのです。
初見の問題でも、まずは問題文をよく読み、状況を正しく整理し把握します。把握した状況Aに対し、「状況Aに対しては解法Bが有効」だと気づき、解法Bで解き進めます。しかし、計算が大変で上手くいきそうにありません。何か計算が工夫できないかと考え、解法Cだと上手くできそうと気づき、そのまま解き進め無事に答えにたどり着くことができます。
難しい問題に対して、初見で対応するためには「論理的思考力」(後日説明する、問題演習による解法のパターン化も必要です。)が結局不可欠となるのです。
次に「大学を合格した後も公私ともに役に立つ」ですが、
上記で一例として示した親子の会話が良い例です。
論理的思考に基づいた論理的説明は、「人を納得させる能力」が身に付き、結果として「人を動かす能力」が備わるということになるのです。
また、誰かに何かを教える、伝わる必要があることも多々あるでしょう。
論理が破綻していると伝わりませんし、論理的思考ができていれば相手に伝わり「わかりやすかった!ありがとう!」と言われることもあるかと思います。
「わかりやすく説明できる」という能力は皆さんが将来就職した後も必ず必要とされる能力ですし、特に予備校講師や教師という職業ではこの論理的思考が重宝されます。
論理的思考を身に着けるには?
数学を勉強すれば必ず論理的思考が身につく、なんてものは嘘です。
それが本当であれば高校で数学を学んだことのある方は全員論理的思考があるということになります。
正しくは「数学という学問を通して、論理展開を意識して、1つ1つの問題の答えを導く経験を重ねることで論理的思考力が身につく」です。
そして、さらに困るのは「独学で論理的思考力が身につけられているかの確認は難しい」ということなのです。
たとえば英単語であれば、「英単語を覚えられているか」を確認するのは簡単ですね。
付属の赤シートを使って、解答を隠した状態で、意味を答えられるかを確認するだけのことです。
ですが、「論理的思考力が身についているか」はなかなか難しい。
おそらく志望校模試の数学で毎回高得点を叩き出しているのであれば、おそらく身についていると言えるでしょう。
しかし、「数学で点数が取れない」という状況であれば、
- 論理的思考力が身についていないのか
- 演習量が足りず解法のパターン化ができていないのか
- そもそも基礎から理解できていないのか
という色んな課題の可能性があるのです。
私の個別指導では、「論理的思考でどのように解き進めるか」をわかりやすく説明しており、ある程度学習が進んだ後は、逆に生徒さんに「この問題はどのような論理展開で解くべきか」を説明してもらうようにすることで、論理的思考力の定着度を確認しています。
ただし、それはあくまで私が高校数学全般を理解しており、1つ1つの問題に対しどのような論理展開が必要かを熟知しているゆえに可能なことであり、1人で行うというのはなかなか難しいところなのです。
ただ1つだけ、無理やりに客観的に論理的思考の確認をする方法があります。
それは「数学が苦手な友人と得意な友人に対して、問題の解説をしてみる」ということです。
もし皆さんに「数学のこの問題わからないから教えて~」と相談してくれる友人がいれば簡単ですが、そうでなければ少し無理やりになってしまいます。数学が苦手な友人に対し説明を行い、もしそれで「よくわかったよ!」と言ってもらえたなら、その問題に対し論理的思考ができていると見ていいでしょう。
そして、数学が得意な友人に対して問題の解説をするという方法に何の意味があるかと言うと、「論理的思考ができていない部分を教えてもらう」意味合いが強いです。
数学が得意な友人の方であれば、説明を聞いた後に「うーん、ここの説明はそうじゃなくてこう考えた方がわかりやすいと思うよ」とアドバイスをしてくれるかもしれません。
そうすることで、生徒間だけで論理的思考力の定着度確認が行えるという仕組みです。
ただ、これらの方法は「相手の時間をもらって、自分の学力の確認を行う行為」になってしまうので、あまり頻繁にできないというのが欠点になります。
最後に
論理的思考というものが何なのか、必要性はあるのか、どうやって身に着けるのかについて説明しました。
高校数学では論理的思考が必要と言われている一方で、学校や予備校の授業でも、この「論理的思考」について教えられていないのが現状です。
そして、数学の学力を真に上げるためには、私は集団授業ではなく個別指導(教師生徒間で対話ができる環境なら何でも)こそが必要だと考えています。
もちろん、誰でも個別指導が受けられるという訳ではないかと思いますので、そういった場合は上記のような方法で、論理的思考力をぜひ伸ばしてくださいね!
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