オンライン家庭教師マナリンク
国語

#05 「ごんぎつね」とFPSゲーム

2023/9/30

こんにちは。

講師の「のりお」です。

( ・ิω・ิ)ノ


日々の指導の中の気づきなどを書いていきます。

今日は国語の話題です。


「ごんぎつね」という小学校の国語の項目があります。

1980年に教科書に採用されているので、多くの方に、長く読まれている教材の1つです。


「命(生と死)」「償い」、という重いのテーマが見え隠れしており、そういった非言語的な感覚を、小学生の段階で言語化し、発露・啓発するための教材であると思います。


……とまぁ、真面目な話は文科省のサイトや教材研究のサイトをご覧いただくとして。


さて、先日、不登校の小学生の生徒さんと、この「ごんぎつね」の指導をしている際に、最後のシーンになりました。


ごんは兵十(ひょうじゅう)に火縄銃で撃たれます。

ばたりと倒れたごんのその向こうに、栗が固めて置いてあるのを見ます。

「お前だったのか。いつもくりをくれたのは」

との問いに、ごんは無言でうなづく。

そんなシーンです。


その生徒さんも、ごんのいたずらが、兵十のおっかあが死んでしまった遠因であることは理解しています。


(´・ω・`)💦

「……ひょうじゅうは、ごんに気づかれずに撃った……んだよね……?」

「ほんとうに……ごんは……気が付かなかったのかなぁ?」

と、その子なりの視点で、疑問を投げかけてくれました。


( ・ิω・ิ)💦

「……だとしたらすごいよな。兵十の腕前は相当なもんだ。野生の動物を1発で仕留めるんだから」


その生徒さんはゲーム全般が好きで、いわゆるFPS(エイペックスやヴァロラント)というジャンルのゲームもそれなりに知っているらしく、指導後はよくゲームの話で盛り上がります。


ただ、ゲームのそれとは異なり、火縄銃はどれだけ早く装填をしても、発砲まで1分~2分くらい時間がかかります。


FPSゲームは、「撃つ側」にもなり、同時に「撃たれる側」にもなります。

そういった視点が、「撃たれる側のごん」という疑問点につながったのかもしれません。


兵十がごんに気づかれずに撃ったのか……。

それともごんは、実は気づいていたのか……。

このへん、けっこう諸説あるところですが、その子なりに考えてもらうヒントになればと思います。


(´・ω・`)💦

「ごんは…死んじゃったのかなぁ……?」


( ・ิω・ิ)

「わからないな。どこを撃ったのか書いてないし。ただ……」


おそらく、兵十火縄銃をばたりと落としたあたりから想像するに、ごんは致命傷を負っているでしょう。

最後の力を振り絞って、ごんはうなづき、そこには「償い」と「救済」があったのかもしれません。


そうやっていろいろな問いに対して、考える余地を残しておく。

そこも含めて、改めて「ごんぎつね」はものすごい教材だな、と思いました。


特に不登校のお子さんなので、「班のみんなで意見交換する」という機会がありません。

なので、せめて私がその変わりになって、一緒の目線で考える。


もちろん単元プリント的なヤツは解きますけど(漢字の読み書きとか指示語とか文法とか)、兵十とごんの内面についてじっくり考えることができた、そんな貴重な瞬間でした。


……個人的には、ごんは生きている説、めっちゃ推してます(/・ω・)/



---

● こっそり宣伝

中学生向けの国語系の講座を開講しています。

オールインワン的な講座なので、この講座1つで、高校受験への国語の対策ができるものとなっています。

(`・ω・´)✨


ご興味ありましたら、講座の概要ページにお立ち寄りいただければ嬉しいです。


ではまた次回!

ありがとうございました!

( ・ิω・ิ)人

このブログを書いた先生

国語のオンライン家庭教師一覧

国語のブログ

AI時代の国語教育

国語教育の未来:AIと人間の対話が拓く新しい学び1.はじめに:AI時代における国語教育の再定義AI技術の進化は、教育のあり方を根本から変えつつあります。英語や数学などの科目では、すでにAIを活用した学習支援が一般化しつつありますが、国語教育においてもその波は確実に押し寄せています。特に「読解力」や「表現力」といった言語能力は、AI時代においてますます重要性を増しています。なぜなら、AIが情報を処理する時代だからこそ、人間には「意味を読み解く力」「文脈を理解する力」「他者と対話する力」が求められるからです。本記事では、オンライン家庭教師の現場から見える「AIと人間の対話が融合した国語教育の未来像...続きを見る
わたるの写真
わたるオンライン家庭教師
2025/12/4

論説文の読解

論説文を正しく読む4つの技術― 主張・意味段落・言い換え・対比 ―**論説文の読解は「センス」ではなく、明確な“技術”です。この記事では、プロ講師だけが教えられる本質的な読解法として、次の4つを中心に解説します。筆者の主張のつかみ方意味段落の分け方同内容の言い換えの見つけ方対比のとらえ方オンラインで学べるマナリンクの講師が、指導経験30年の視点から、“得点に直結する読み方”を整理します。1. 論説文で最も大切なのは「主張」をつかむこと論説文は 主張 → 理由 → 例 → まとめ の構造でできています。そのため最優先すべきは「筆者が何を言いたいのか=主張」を正確につかむことです。●1-1 主張は...続きを見る
わたるの写真
わたるオンライン家庭教師
2025/12/3

保護者様との面談について~「国語を伸ばす」だけでないサポートを

みなさま、こんにちは。冬がだんだんと近づいてきている時節柄、風邪などは引いておりませんでしょうか。また保護者様に置かれましては、お子様の受験の本格化に向けて熱心にお子様のサポートをしていらっしゃる季節だとお察しします。ぜひ心身ともに、保護者様も健康管理をしていただければと思います。さて、二者面談・三者面談についてのお話を少し書かせていただきます。私の方では二者面談・三者面談を定期的にお声掛けさせていただいております。単発四回のコースが終了したころ、1・2か月に一回は、保護者様のチャットの方にご案内を差し上げ、ご希望があるご家庭に関して面談を実施します。保護者様との面談は、私にとって非常に重要な...続きを見る
島田の写真
島田オンライン家庭教師
2025/12/1

【読解のルール】接続語に注目して、論理展開に強くなる!

  接続語を制する者は、読解を制す    ― プロ講師が教える国語力アップの秘訣 ―    文章を正しく読み取るには、接続語の働きを理解することが欠かせません。 「しかし」「だから」「たとえば」といった言葉は、文と文をつなぐ“橋”のような存在です。 この橋を正しく渡れるかどうかで、読解の深さが大きく変わります。 接続語が示す「筆者の考えの流れ」 たとえば、「Aは重要だ。しかしBも無視できない。」という文。 「しかし」は逆接を表し、筆者はAを否定しているわけではなく、「Aを認めた上でBも重視したい」という立場を示して...続きを見る
わたるの写真
わたるオンライン家庭教師
2025/11/13

当たり前の基準

みなさん、こんにちは。講師のしきまちです。先日、生徒Aさんが「昨日5時間も勉強した。」と言っていました。つい2,3か月前まで2時間も勉強できなかったことを考えると大きな進歩だと思います。その一方で「昨日5時間しか勉強できなかった。」という生徒Bさんもいます。実はこの2人、同じ学校を志望しています。同じ時間の勉強量ですが、長いこと講師をしていると合格する可能性は、Bさんの方が圧倒的に高いです。こんなことあえて書かなくても当然かもしれません。でも、志望校合格のためには大切な考え方だと思っているので、書いていきます。そもそも「受験生の当たり前」とは何か。それは「志望校合格に向けて努力すること」です。...続きを見る
しきまちの写真
しきまちオンライン家庭教師
2025/11/9

現代文のキーワード ①「身体」は踊る💃

はじめまして。高校国語を教えています島田です。今年の共通テストの評論では、「『ともに踊る』身体」などという表現がでてきましたが、この表現に含まれているニュアンスはわかりますでしょうか??身体というと、単純にからだ、人体、というものが辞書的な意味ですが、現代文のなかで出てくる「身体」はすこし違うイメージを持ちます。それは、「踊ってしまうもの」だということです。もっと細かく言うと、普段人間は、理性や精神といった知性でものごとを考え、行動しています。わたしたちは危ないと頭で考えて、横断歩道をわたるときは注意して渡るし、カラスが近くに飛び立ってきたら、もしかしてこの近くに子育ての巣があるかもしれないと...続きを見る
島田の写真
島田オンライン家庭教師
2025/10/10

この先生の他のブログ

のりおの写真

【業務連絡】 2025年夏休みの予定

2025/7/16
お世話になります、のりおです。2025年の夏休みの授業可能枠をお伝え致します。🌞ヾ(*´∀`*)ノ🌻夏休みといっても、都道府県によって始まりや終わりは微妙に違います。なので、ざっくりした「夏休み期間」にあたる予定となります。(おおよそ、7月下旬~8月下旬まで、といった期間です)☆注意☆レギュラーのお...
続きを読む
のりおの写真

【業務連絡】 2025年7月の予定

2025/7/5
お世話になります、のりおです。2025年7月の授業可能枠をお知らせ致します。夕方~夜の時間帯にかけてのお時間が中心になります。現在、月曜日……0枠火曜日……1枠水曜日……2枠木曜日……2枠金曜日……2枠土曜日……2枠日曜日……2枠で、合計11枠開放しております。詳しくは、下の日時をご覧ください。上記...
続きを読む
のりおの写真

#17 感情をフラットに保つコツ3選

2025/6/23
こんにちは。講師の「のりお」です。(*´ω`*)ノ暑くなってきた今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。今回は、「感情をフラットに保つコツ3選」というお話です。いつものように、ふわっと、さらっと書いていきますので、お手すきの時にお読みいただければ幸いです。「イライラする」「落ち込む」「カーっとす...
続きを読む
のりおの写真

#16 アカデミック・バサラ

2025/5/20
こんにちは。講師の「のりお」です。(*´ω`*)ノ今回は、「アカデミック・バサラ」と題して、総合型選抜のお話しをしたいと思います。「ばさら(婆娑羅)」とは、南北朝時代にかけて流行った風潮で、既存の権威に与(くみ)することなく、派手で粋なふるまいをする者、あるいは社会的風潮を表す言葉です。あまり語ると...
続きを読む