【中学受験算数】 つるかめ算の見分け方と面積図のかき方
2025/4/27
【つるかめ算の見分け方】
つるかめ算は、中学受験では頻出の解法ですが、苦手意識を持っている人も多くいる単元です。ただ、多くの生徒さんを教えていますと「解法は分かっているので、<つるかめ算を使う>ということが分かっていれば解けるのだけれども、そもそもつるかめ算であることに気づかない」という生徒さんが多いことに気づきます。また、生徒さんの方からも「つるかめ算のところで出てくるときは解けるけど、試験になると解けないの」という声を聞くことが非常に多いです。つまり、受験生の多くは文章題を読んだ際に「これは、つるかめ算だ!」と気づくことができないのです。
それでは、どうすれば文章題を読んだときにつるかめ算であることに気づくことができるのでしょうか。これには慣れももちろんありますが、きちんといくつかのポイントをおさえることができているかどうかが大切になります。文章題がつるかめ算であると気づくことができるポイントは以下の3点です。
① 「一つあたりの数量」が異なるものが2種類登場する
例:ツル1匹あたり足2本、カメ1匹当たり足4本
例:りんご1個あたり100円、みかん一個あたり80円
例:定価-300円、定価の2割引-240円
② すべての「個数」が分かっているが、それぞれの「個数」がわからない
例:ツルとカメは合わせて12匹いる
(でも、ツルとカメがそれぞれ何匹かは分からない)
例:りんごとみかんを合わせて18個買った
(でも、リンゴが何個でみかんが何個かは分からない)
例:商品を50個全て売った
(でも、定価で売った数や、値引きして売った数は分からない)
③ 全体の「合計数量」が分かっている
例:ツルとカメの足の数は合わせて40本ある
例:りんごとみかんは合わせて1640円
例:商品全体の売り上げは10800円だった
つるかめ算を見極められる生徒さんとそうでない生徒さんの違いは、このうちの①と②、「一つあたりの数量が異なるものが2種類登場する」、「すべての個数が分かっているが、それぞれの個数がわからない」という部分に敏感になれるかどうかにかかっていると言って良いと思います。③も大切な要素ではありますが、まずは①や②でアンテナを「ピコーン」と立てた後に、③が分かっているかを確認するという手順に慣れると、つるかめ算はかなりの高確率で見分けることができるようになります。
【面積図の書き方と手順】
つるかめ算の面積図のかき方はいろいろな書き方がありますが、できるだけつるかめ算に気づく手順と結びつけてシステム化してあげると良いと思います。解くたびにかき方が異なると、途中で混乱してしまいがちです。基本の形は常に同じようにかくことを意識させると定着が良くなります。
例として、上に記した例の「1個あたり100円のりんごと一個あたり80円のみかんを、合わせて18個買ったところ、合計の金額が1640円だった。」というつるかめ算を用いて示してみましょう。
① 2種類のものの「一つあたりの数量」を両サイドの柱として下をそろえてたてる
:「りんご1個あたり100円」と「みかん一個あたり80円」という数量を、左右両サイドに少し離して2本の柱として書き、数値を書き込みます。この際、単位もつけるようにすると読み間違いが減りますが、整理して書けないお子様もいるので、その場合には数値だけでもかまいません。
② 2本の柱の下端を結んで線を引き、合計の個数を書き込む
:横の長さを個数とします。上の問題の場合、「合わせて18個」なので、横の長さは18個となります。
③ 片側の柱を使って太めの棒(長方形)を書く
:たとえば、左端の「100円」の柱を使って棒(長方形)を書くと、この面積が「りんご(1個100円)」の合計金額を表すことになります。
④ 残っている片方の柱の上端を、下の線と平行な線でもう一方の柱と結ぶ
:この際にひく線は、途中にある縦の線を突っ切って交差させるのがコツです。途中で線を止めて階段状にするのは書きにくいですし、小学生にとって階段状の図形は面積を求めるにあたり、かえって特徴がつかみにくくなってしまいます。その点、線を交差させると「階段」というよりも「長方形の集まり」として認識することができ、たとえば後に書きこむことになる「両方の柱の差」がいくつかなど、各部分の特徴をとらえやすくなります。
⑤ 書いた図形全体の面積(合計の数量)を書き込む
:この時、書いた図形全体の面積は、合計の数量を表しますので、この問題では1640円となります。この面積は、四角形の中に書き込むと後で書き込みだらけになりぐちゃぐちゃになってしまうので、少し外れたところに書き、丸で囲みます。これだけだと忘れてしまうという場合には、図形と線で結んだり、「合計」と書いておくと忘れにくくなります。
⑥ 真ん中に、2つの柱の数量の差を書き込む
:この場合、100円と80円の差である20円を書き込みます。
⑥ 下のブロックの数量を図形の中に書き込む
:短い方の柱が示す数量が全てだった場合(この問題では、18個全てが80円のみかんだった場合)を計算して、その数量を下段の長方形の中に書き込み、丸で囲みます。
⑦ 上の方に出っ張っている長方形の面積を求める
:全体から下段の長方形を引くと、上に出っ張っている長方形(赤い斜線部分)の面積が求まりますので、これを書き込みます。今回は赤の車線で示したので外に書いていますが、実際に問題を解く時はむしろ長方形の中に書き込んで丸で囲むと分かりやすくなります。
⑧ 長方形の面積と縦の長さから、横の長さ(★)を求める
:この図では、★は「200÷20」ですので10となります。横の長さは個数を表しますので、100の円のりんごは10個買ったとわかります。
⑨ もう一方の横の長さ(△)を求めます。
:この図では、△は「18-10」となりますので、8となり、これが80円のみかんの個数となります。
いかがでしょうか。大切なことは、「決められた手順」で見分ける・図をかくことなので、たとえばすでに塾などで教わっていて、一定の手順を身につけている場合には、何も上に書いた手順にこだわる必要はないと思います。また、つるかめ算に慣れてきて、はっきり認識できるようになっている場合や応用がきくようになっている場合も、無理に手順にこだわる必要はありません。もし、「これからつるかめ算を覚える」、「すでに教わっているが、なかなかできるようにならない」と言う場合には、一定の手順をシステム化して教えてあげると定着が良くなるかと思います。その際、必ず同じようにして解ける類題を数回繰り返して、実際に解かせることを忘れないようにしてください。子どもはアタマや理屈よりも、カラダや感覚を用いた経験値で解法を身につけますし、その方が忘れません。
少し勉強が進んで小学5年生くらいになってくると、ここまではっきりとしたつるかめ算ではなく、別の解法に織り交ぜる形で出題されることも増えて来ます。たとえば、売買損益の問題にからめて「最初は定価で売ったが、途中から値引きして合計で〇個売った」というような設問です。こうした設問もわりとパターンが決まっているのでご紹介したいのですが、少し長くなってしまいますので別稿でご紹介したいと思います。
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