社会

【大学受験・世界史】 東京外国語大学「歴史総合+世界史探究」入試出題傾向

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2025/5/12

東京外国語大学では、2025年の問題からそれまでの「世界史」ではなく「歴史総合+世界史探究」の形に形式が変更されました。また配点もそれまでの100点満点から150点満点に変わるなど、かなり大きな変更が見られました。

そこで、こちらでは2024年以前と2025年の新方式について、まずは形式上の注意点について述べた後、全体の傾向と対策についてお話しいたします。


【2024年以前の出題形式】

・問題数:15~16問(うち大論述1問、小論述などが1問)

・配点など(100点満点) 

 ① 大論述(ほぼ400字[まれに500字~600字]):配点20点~25点

 ② 小論述(40字~150字[まれに要旨の読み取り問題など]):配点10点[まれに15点]

 ③ 小問(一問一答形式の記述・選択問題):配点65点~70点


【2025年の出題形式】

・問題数:17問(うち400字論述1問、300字論述1問、論旨の読み取り問題1問)

・配点など(150点満点[歴史総合60点、世界史探究90点])

 ① 400字論述:配点40点

 ② 300字論述;配点30点

 ③ 論旨の読み取り問題(30字):配点10点

 ④ 小問(一問一答形式の記述・選択問題):配点70点


【2025年問題における従来の問題からの変更点】

 ① 「歴史総合+世界史」の総合問題に

 ② 配点が150点に増加(外国語は300点のまま)

 ③ 論述問題の全体に占める割合が増加(約半分が論述問題)


従来は、全体に対する英語の配点が大きく、また世界史の問題の中でも小問集合の比率が高かったため、世界史は基礎知識さえしっかり押さえていれば足を引っ張らない程度の点数を取れることが多く、「英語さえできれば何とかなる」部分もありました。

しかし、新たな形式では全体の実に3分の1を世界史が占め、さらにそのうちの半分強が世界史論述問題によって占められているため、付け焼刃の基礎的な世界史知識では到底太刀打ちができません。今後は東京外国語大学を目指す受験生は英語一辺倒ではなく、歴史にも力を注ぐ必要があることは明らかです。(ただし、「歴史総合+世界史」になったのは2025年が初めてですから、今後もこの傾向が続くかどうかは何とも言えません。来年以降、2~3年ほどは問題形式・内容が定まるかどうか様子を見る必要があるでしょう。)


【東京外国語大学「世界史」大論述・小論述の出題傾向(2006年~2025年)】

以下は、東京外国語大学の「世界史」(2025年は「歴史総合+世界史探究」)の大論述と小論述の出題テーマを示したものです。大論述、小論述ともに3語~5語程度の指定語句が示されることがあり、それらの語数については表中の〇の中にある番号で示しています。

(特徴)

・近現代の国際関係などが中心

・文化史の出題はまれで、政治史・経済史が中心

・王道のテーマからの出題が多い

・史資料などリード文の読解にかなりの重要性がある


【東京外国語大学「世界史」大論述が対象とした時代区分(2006年~2025年)】

:続いて、以下は東京外国語大学の「世界史」(2025年は「歴史総合+世界史探究」)の大論述が対象とした時代がいつであったかを表にまとめたものです。

(特徴)

・19世紀・20世紀に集中

・比較的短期間が対象(スパンは長くてもせいぜい2世紀まで)


【対策など】

まずは近現代史の徹底を。また、東京外国語大学の過去問演習が基本ですが、上智大学TEAP利用型の世界史などは問題に類似性があるため、練習用には良いと思います。(両校は併願するケースも多いので、そういう意味でも取り組みやすいと思います。)また、テーマ的には東京大学の近現代史などは参考になります。


① 世界史探究のしっかりとした基礎固め

 (少なくとも、大学入学共通テストで9割が狙えるレベルにしておく)

② 歴史総合のうち、日本史分野の見直し

③ 世界史探究の近世以降(16世紀以降)の歴史の重点的な見直し

④ 大学入学共通テスト過去問演習や実戦問題集演習

⑤ 東京外国語大学「世界史」過去問の演習

⑥ 上智大学TEAP利用型過去問の演習

⑦ 東京大学過去問の演習(大論述・近現代史を中心に。第3問の演習は有益)


東京外国語大学を志望されている場合、「歴史総合+世界史」はかなり重要な要素となります。早いうちから対策と準備を進めておきましょう。

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