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社会

マンガ・アニメ・ドラマ・映画 ~様々な学びへの扉~

2025/5/29

「英雄譚」や「冒険譚」は学びへの入り口

もう最近というほどではありませんが、マンガやアニメに「歴史もの」が流行り始めて久しいですね。ここ最近で一番勢いを感じたのは「キングダム」でしょうか。つい最近も大沢たかおが祭られてましたね(笑)


ここ最近は、「マンガやアニメに抵抗がある」というお家はかなり少なくなってきましたが、依然としてこれらが禁忌であるというケースはあるようです。ただ、特に歴史についていうのであれば、歴史もののマンガ、アニメ、ドラマ、映画は見た方が圧倒的に持つイメージが豊かになる最強ツールだと思っています。私が子どもの頃も、歴史に興味を持った入り口はまずはそうしたもので、決して受験勉強からではありませんでした。


私が小学生に上がった頃に、ちょうど大河ドラマで『独眼竜政宗』が始まりました。ドラマを見た次の日には「梵天丸も、かくありたい」と言っていたような気がします(笑) また、中学生の頃には真田広之主演の『太平記』がとにかく好きで、高嶋政伸演じる足利直義との確執や、柄本明演じる高師直の暗躍などはハラハラしながらかじりついてみていたものです。最近では、真田広之は『SHOGUN』で注目されていますね!昔のドラマをご覧になっていた方からすれば、親世代から子どもへの「語り継ぎ」などもできるかもしれませんね。


当時の大河は、戦国時代や鎌倉幕府の滅亡後などの戦乱をテーマとしたものが多かったので、かなり血生臭いシーンなども多くあって、小学生や中学生であった私からすれば、それなりに怖い思いを抱くわけですけれども、それが大事なのだと今でも思います。そうした「怖いもの」、「汚いもの」、「嫌なもの」に触れることを、最近は大人も子どもも避けるようになりました。それはもちろん、そうした配慮があっても良いのですが、一方で「本当に大切なこと」は、何かの形で一度見たり、触れたりすることが必要なのではないでしょうか。文章や理屈でただ、「これはいけないものなんです」、とか「怖いものなんです」というだけでは足りない「生(なま)の感覚」。そうしたものに触れる最初の入り口として、マンガやアニメ、ドラマ、映画は非常に良い入り口でもあると思います。


私たちよりも昔の、テレビもなかった頃の人たちは、きっと英雄譚とか冒険譚とかおとぎ話のような「お話」がチャンネルとなって、様々な学びへと形を変えていったのではないかと思います。だとすれば、お話の形態が口頭であるか、文章であるか、映像であるかなどにレベルの差はないように思います。どんどん、取り入れていってよいのではないでしょうか。


娯楽と学び:「感情のスイッチ」が学びを飛躍させる

最近話題になっている『チ。-地球の運動について―』という作品は、ぜひ一度中学生以上のお子様にはご覧いただきたい作品です。こちらの作品は、見ようによってはずいぶん地味なテーマです。登場人物の多くが、様々なきっかけから地動説と出会い、その美しさに魅入られて、命を賭けてこの地動説の研究に巻き込まれていきますが、要は「地動説を証明しようと頑張った人たちの話」です。

にもかかわらず、この話は大変魅力的です。なぜなら、知を追い求める人たちの言葉に秘めた感情が宿っているからではないかと思います。


「たとえ…誤ちでも何かを書き留めたことは、歴史にとって無意味ではない」

「文字は、まるで奇跡ですよ。…でも、本当に文字はすごいんです。」

「積み上げられた研究は、こんな一瞬で否定してよい物ではない!」

「きっと、それが何かを知るということだ。」


実は、作中に出てくる地動説の理論は、小難しくて深いところまで正確に理解することはできません。にもかかわらず、この作品に心を動かされるのは、登場する人たちの言葉に何かその人の本質的な部分をかけた、感情の乗った言葉が散りばめられているからです。

こうした、「知を追い求めることってすごい、カッコイイ」と思わせることができる作品は貴重です。なぜなら、子どもたちが勉強に励むのは、「将来の役に立つから」とか「成績が上がるから」といった動機よりも、もっと根源的な感情に根付く動機、たとえば「勉強するのってなんかカッコイイ」、「ほめられたい」、「もっとぼくを・私を見て!」、「怒られたくないなぁ」といったものが土台になっているからです。

ですから、この「感情のスイッチ」を上手に入れてあげることが、学びを飛躍させるチャンスにつながります。知識は感情と結びつくことで、記憶として定着しやすくなるのです。そういう意味で、この『チ。』は学問をすることにポジティブな憧れを抱かせてくれるように思います。


夏休みにおすすめ!歴史の理解が深まるエンタメ作品

私はどうしても所持している教員免許が「地理歴史」なので歴史系に偏ってしまうのですが、楽しく読めて、かつ勉強にも役に立つ、または作品自体が非常に楽しめるエンタメ作品をいくつかご紹介してみたいと思います。最近の作品の中には、かなり有名な歴史学専門の先生方による監修が入って本格的になっています。


【高校生以上向け】 大いに受験に役立つ作品

・『史記』(横山光輝)

:司馬遷がまとめた原典『史記』を漫画化したもの。秦以前の古代中国から前漢初期までを扱い、世界史や東洋史の「土台」となる知識がぎっしり詰まっていて、漢文などにも役立ちます。「宦官」の存在を中学生の頃にこれを読んだことで初めて知り、「ヒィッ」ってなりました。

・『あさきゆめみし』(大和和紀)

:『源氏物語』の全体像を美麗なビジュアルで理解できる名作。古文読解で頻出の登場人物や場面を物語としてつかめるため、共通テスト・記述対策に非常に有効です。特に人間関係の複雑さや和歌の心情表現が視覚的に理解できます。早稲田大学の法学部の試験で「源氏物語」が出たときには、これを読んでいたおかげで「受かった」と確信しました。


【中学生以上向け】 歴史的背景の理解が深まる作品

・『キングダム』(原泰久)

:戦国時代の中国で始皇帝に仕えた将軍李信を軸に、戦乱のダイナミズムを描いた作品です。春秋戦国時代の群雄割拠や軍事・政治制度が物語の中に自然に織り込まれ、歴史的背景の理解が深まります。受験でも登場する「戦国の七雄」の様子や「秦の中央集権化」の過程が臨場感とともに学べます。

・『蒼天航路』(王欣太)

:三国志演義とは違う、史実寄りの曹操像が魅力です。三国志が食わず嫌いでよくわからないという人はチャレンジしてみてもよいかも。ダイナミックな構成で高校生以上におすすめです。

・『チェーザレ』(惣領冬実)

:15世紀末のイタリアを舞台に、ボルジア家の若き才人チェーザレ・ボルジアの生涯を描いた歴史大作です。政治・宗教・大学文化など、当時のヨーロッパ世界の複雑な背景が精緻に再現され、資料的価値も高い作品です。ルネサンス期の国際関係や教皇権の動向を、物語を通して体系的に理解できます。「コンクラーベ」なども出てきます。

・『7人のシェイクスピア』(ハロルド作石)

:劇作家シェイクスピアの創作と生涯を背景に、16世紀末〜17世紀初頭のイギリス社会を描いた作品です。宗教対立、階級制度、演劇文化など当時のイギリスの歴史的背景が物語に組み込まれており、近世ヨーロッパの理解が深まります。世界史で扱われるエリザベス朝文化や宗教改革後の社会の実像を具体的に知る手がかりになります。また、文化史に対する苦手意識が弱まるかも?

・『ナポレオン 獅子の時代』(長谷川哲也)

:ナポレオンの台頭をフランス革命後の混乱とともに描く歴史マンガです。戦争・政治・民衆の動きがリアルに描かれ、革命から帝政への流れを臨場感をもって理解できます。受験でも頻出の「フランス革命とナポレオン時代」の全体像をつかむ助けになります。

・『鬼平犯科帳』(さいとう・たかを、池波正太郎原作)

:江戸の町と市井の暮らしを舞台に、火付盗賊改方・長谷川平蔵の活躍を描く時代劇マンガです。治安維持のしくみや武士と庶民の関係、江戸の文化や経済の実態が物語を通じて自然に学べます。近世日本の社会構造や幕府の統治体制への理解が深まります。

・『竜馬がゆく』(鈴ノ木 ユウ、司馬遼太郎原作)

:幕末の動乱期を坂本龍馬の視点から描いた長編歴史マンガです。藩内の身分格差、倒幕運動、諸藩の対立、幕末の国際情勢などが人物の行動を通して描かれ、当時の様子が立体的に理解できます。受験で重要な幕末維新期の政治的変化や志士たちの思想に触れる良い教材になります。


この他にもたくさんありますし、どれも大変魅力的な作品ですが、こうした歴史作品の面白さは、しばしば脚色に支えられています。だからこそ、これらをそのまま史実とは受け取らずに、これらを起点に「実際はどうだったのか?」と掘り下げていく姿勢を忘れないことも大切ですね。逆に、こうした作品に触れずに教科書で歴史を学ぶだけだと、平面的でのっぺりとした理解になってしまったり、歴史に対して多角的な見方をすることができずに終わってしまうかもしれません。

大人も子どもも、感動した作品を「学びの入り口」に変えることで、歴史はもっと身近で、もっと面白くなります。どこかのタイミングで、知へといたる扉を開くための一つとして試してみるのも良いかもしれませんね。

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