スマホ利用の功罪
大学で授業をしているとき、その回の授業内容が理解できているのかどうかを確認する意味で、最後にその回の内容に関連する問題を学生たちに解かせることがあります。そのとき、最近よく見かける光景なのですが、学生たちが一生懸命スマホの画面を見ていることがあります。
本当は授業中のスマホ利用は禁止なのですが、一生懸命スマホを使って何かをしているのです。決して遊んでいるわけではないようです。何をしているのか覗いてみると、授業で出した問題と似たような問題がどこかのサイトにないか、一生懸命検索しているのです。
授業で理解度を確認するために学生たちに課す問題は難しい問題にするわけにいかず、難易度を考慮に入れて作りますから、大体どこかで見たような問題しか出題しません。ですから、確かにネットで検索すると、似たような問題が見つかる可能性は高いわけです。
しかし、数学の問題で全く同じ問題というのはそうそう見つかるはずがありません。せいぜい似たような問題しか見つからないということがほとんどだと思います。
学生たちは、スマホで見つけた「似たような」問題と授業で出題された問題を見比べて、どこがどう違っていて、その違いにより出題された問題ではどのように解答すればよいのか考えて解答します。
すると、確かに正解が導き出される可能性は高いかも知れません。しかし、そのようなことをする学生のほとんどは、何も理屈を考えずに「この数字をこう変えておけばいいんじゃないかな」程度のいい加減な考えで適当な結果を提出します。
それでいいでしょうか。要するに、その場合は正解が導き出されていたとしても、なぜそれが正解なのかを理解できていないわけですから、その学生にとっては実は何のメリットもありません。
そのような学生たちは、良い点を取ることを目的に勉強をしていて、数学を理解したいから勉強しているわけではないのです。しかし、大学(高校でも同じですが)のテストで良い点を取っても、何も理解できていないわけですから、何も良いことはありません。社会に出てから、高校や大学のテストで良い点をとったという事実は何の役にも立たないことなのだということを分かっていません。
今はスマホで何でも簡単に検索できます。AIに頼れば、さらに便利に問題を解決することができてしまいます。でも、使い方を間違えると人間の成長にいい影響を与えるとは限らないという問題があります。
昨今の検索技術を否定するつもりはありません。使い方に依っては本当に便利な道具です。ただ、やはり使い方には気を付けるべきでしょう。自分の成長につながるような使い方を考えながら慎重に使ってもらいたいと思います。みなさんもよく考えてスマホを使ってくださいね。
因みに余談ですが、先日自分たちの研究に行き詰ったとき、AIに質問したらどう答えてくれるだろうと思って、試しに質問してみました。すると「その質問は重要な問題ですね。なにかヒントが欲しければ、詳しいことはこの論文に書いてあるので、この論文を読んでみてください。」という類の回答がありました。そのAIが推薦してくれた論文のひとつに、以前自分たちが書いた論文があったので、共同研究者たちと大笑いをしてしまいました。
結局AIはなんの役に立つアドバイスもくれませんでしたが、自分たちの論文がAIには評価されているのだということだけは分かったというオチでした。
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