オンライン家庭教師マナリンク
算数

2時間考えても解けない問題は、考えても解けない

2026/6/16

まず事実を言う。

中学受験の教材に載っている問題の大半は、解き方が確立された典型問題だ。「考える問題」という顔をしているが、実際には解法パターンが決まっている。だから教材に載っている。解法が定まっていない問題は、教材には載せられない。

ということは、2時間かけても解けない問題は、解き方を知らないから解けないのであって、もっと考えれば解けるようになるわけではない。

それでも子供は考え続ける。親が「算数は考える教科だ」と教えるから。学校でも塾でもそう言うから。その結果、解き方を知れば5分で終わる問題に2時間使って、1週間の学習量が壊滅する。

見切りとは何か

僕が「見切り」と呼んでいるのは、この判断だ。

「この問題は、考えて解くものではなく、解き方を覚えるものだ」

この判断ができる子とできない子では、学習効率が根本的に違う。できる子は詰まったらすぐ答えを見て解き方をインプットし、次に進む。できない子はそこで止まる。1問に2時間使って、他の10問が手つかずになる。

この差は頭の良さではない。「この問題はどういう性質のものか」を教わっているかどうかの差だ。

解の公式を誰も導けないように

数学の解の公式を思い出してほしい。x = (-b ± √(b²-4ac)) / 2a というあれだ。

学校の先生が最初の授業で導出を教えてくれる。でも大半の生徒は、翌週には忘れる。そして誰も困らない。なぜなら、公式を使えれば答えが出るから。導出を覚えていることと、問題を解けることは別の話だ。

算数の難問にも、同じ構造のものがある。なぜそう解くのかの理屈よりも、そう解くと答えが出るという事実を先に体に入れた方が効率がいい問題。そういう問題に対して「なぜか理解してから使いなさい」と言い続けるのは、解の公式を毎回導出してから使わせるようなものだ。

「見切り」を教えない理由

なぜ多くの指導者が見切りを教えないのか。

一つは建前の問題だ。「算数は思考力を育てる教科」という話を、塾も親も信じている。答えをすぐ見ることは、思考放棄に見える。だから言いにくい。

もう一つは、指導者自身が算数を得意としてきたケースが多いから、「考えれば解ける」という感覚を持っているからだ。最初から解き方の発想が浮かぶ人には、「考えてもわからない」という状態が想像しにくい。

でも実態はこうだ。偏差値60前後で止まっている子の多くは、典型問題の解き方が体に入っていない。考えても解けないのは、考える力が足りないのではなく、知識が足りないのだ。そこに気づいていないまま、「もっと考えなさい」と言い続けている。

では、深く考える力はどこで育てるのか

見切りを教えることと、考える力を育てることは矛盾しない。

僕がやっているのは、週に1問だけ「深考問題」を出すことだ。この問題だけは1週間かけて考えていい。他の問題はロボットのように解く。この1問だけは、どこまでも考える。

1週間考えた問題は、答えが出なくても頭に残る。ある生徒は、規則性の問題で規則が見つからなかったので、500個の数字を全部書き出してきた。それをやった子は次から、その規則を計算で出せるようになった。試行錯誤の跡が、知識になったのだ。

典型問題は覚える。深考問題は考え抜く。この分類ができるだけで、学習の密度が変わる。

親が今日からできること

子供が1問の前で30分止まっているなら、声をかけてほしい。「もう少し考えてみなさい」ではなく、「それ、答え見てもいいよ」と言ってほしい。

そして答えを見た後、解き方を口で説明させる。言えれば定着している。言えなければ、もう一度見る。それだけでいい。

「考えなさい」の呪いを一つ外すだけで、子供の1週間の学習量が変わる。

このブログを書いた先生

このブログに関連するオンライン家庭教師はこちら

算数対策におすすめの指導コース

16,000/月
1回60(月4回(週1回目安))
小学1〜6年生
  • とにかく算数が苦手!きらい!な方
  • 苦手を克服した先生に優しく教えてほしい!という方
  • 不登校や発達障害でお悩みがある方もご相談ください!
コースの詳細を見る
20,000/月
1回60(月4回(週1回目安))
小学4〜6年生
  • 塾の授業についていけない方
  • 塾のカリキュラムをベースに、分からないところを解説して欲しい方
  • 受験算数の基礎に戻って学習したい方
コースの詳細を見る
20,000/月
1回45(月4回(週1回目安))
小学4〜6年生
  • 不登校で、勉強の進め方に不安がある。特に算数が苦手でどこから手をつけたらよいかわからない。
  • 小学6年生だが、前の学年から復習したい。算数の遅れを取り戻したい。
  • 優しく、根気強く基礎から教えてくれる先生を探している。
コースの詳細を見る
16,000/月
1回45(月4回(週1回目安))
小学3〜5年生
  • 他の教科の勉強もあるのでとにかく時間を有効に使いたい
  • 弱点を克服して、解ける問題を増やしたい!
  • 塾の月例テスト、模擬試験の成績を上げたい!
コースの詳細を見る
算数月額コース
【海外子女向け】算数🌸元教員と日本のカリキュラムで学ぼう!
三者面談あり
タイプ別
無料体験あり
【海外子女向け】算数🌸元教員と日本のカリキュラムで学ぼう!
18,000/月
1回60(月4回(週1回目安))
小学1〜6年生
  • 海外在住の小学生で、日本の学校と同じ教材・カリキュラムで算数を教えてほしい方
  • 小学校教員経験のある先生に、基礎から応用まで丁寧に教えてほしい方
  • 家庭学習もしっかりとサポートしてほしい方
コースの詳細を見る

算数のブログ

世界一の算数教育「シンガポール式算数」とは?日本との違いを元教員が解説

世界一の算数教育「シンガポール式算数」とは?日本との違いを元教員が解説「世界一の算数教育」と聞くと、どこの国を思い浮かべますか?実は、シンガポールです。国際学力調査(TIMSS)では、シンガポールは長年にわたり世界トップレベルの数学力を維持しています。私は約25年前、シンガポールとマレーシアの学校を訪問し、現地の授業を見学する機会がありました。そこで驚いたのは、子どもたちが答えを急ぐのではなく、「なぜそう考えたのか」を大切にしていたことです。日本との違い日本の算数は、とても丁寧に基礎を積み重ねる優れた教育です。一方、シンガポールでは、・図を使って考える・考え方を説明する・一つの問題を深く考える...続きを見る
きゅうごの写真
きゅうごオンライン家庭教師
2026/8/2

塾の大量演習より、たった1問の「徹底的な言語化」。算数が苦手な子を救う究極の引き算学習

「塾の宿題が多すぎて、毎日こなすだけで精一杯…」 「何十問もプリントを解かせているのに、テストになると全く点数が取れない」算数が苦手なお子様を持つご家庭から、このような悲痛な声をご相談いただくことがよくあります。成績が上がらないと、親御さんは不安になり「もっと演習量を増やさなければ」「もっと多くのパターンの問題を解かせなければ」と焦ってしまいがちです。しかし、プロの目線からはっきりと申し上げます。算数が苦手な子に必要なのは、これ以上の「大量演習」ではありません。 今すぐやるべきことは、勇気を持って解く問題数を減らし、たった1問に対して「徹底的な言語化」を行う「引き算の学習」へ切り替えることです...続きを見る
木村の写真
木村オンライン家庭教師
2026/7/30

「先生が教えればできるようになる」は幻想です。算数が伸びない子に共通する“受け身”の授業態度

「有名な塾に通わせているから」「プロの家庭教師をつけているから」、きっと先生が分かりやすく教えてくれて、うちの子も算数ができるようになるはずだ。もし、心のどこかでそう期待しているのだとしたら、少し厳しい事実をお伝えしなければなりません。 「先生が教えれば、自動的に算数ができるようになる」というのは、完全な幻想です。算数(数学)という科目は、他人の説明を聞いて「ふむふむ、なるほど」と頷いているだけでは、絶対に成績は上がりません。本記事では、算数が伸び悩む生徒に共通する「受け身の授業態度」の恐ろしさと、そこから脱却して本物の学力を手に入れるための方法をお伝えします。1. 宿題は「こなすもの」という...続きを見る
木村の写真
木村オンライン家庭教師
2026/7/29

📝 「『うちの子、やる気がない…』そう思ったときに知ってほしいこと

こんにちは。澪耶です。保護者の方から、「うちの子、やる気がなくて…」というご相談をいただくことがあります。でも、お話を聞いてみると、本当に「やる気がない」わけではないことがほとんどです。🌱 やる気が出ない理由は、人それぞれです例えば…・問題が難しくて何から始めればいいか分からない・以前できなかった経験があり、自信をなくしている・勉強のやり方が分からないこのような理由で、一歩踏み出せなくなっているお子さまも少なくありません。💡 「できた!」が増えると、自然と前向きになります私は授業で、いきなり難しい問題に挑戦することはあまりありません。まずは、「これならできそう!」という問題から始めます。すると...続きを見る
澪耶の写真
澪耶オンライン家庭教師
2026/7/23

中学受験の算数で点数が安定しない理由|解き方がバラバラだから

中学受験の算数で点数が安定しない。偏差値が55と45を行ったり来たりする。この相談を受けたとき、僕はまず、お子さんの実力を疑いません。疑うのは、解き方に型があるかどうかです。同じ単元、同じレベルの問題で、取れる日と取れない日がある。これは実力の波ではありません。毎回ちがうやり方で解いているから、毎回ちがう結果が出ている。ただそれだけです。僕自身、子どもの頃は算数が得意ではありませんでした。ひらめかないと解けない科目だと思っていたからです。あれは全部、勘違いでした。「先生と一緒だとできるのに、一人だとできない」の正体先日の授業で、こういうことがありました。つるかめ算の面積図を、その子は自力で書き...続きを見る
ヒロユキの写真
ヒロユキオンライン家庭教師
2026/7/18

夏期講習のテキストで伸びる子、潰れる子。圧倒的な差を生む「家庭学習の引き算」

中学受験の天王山と呼ばれる夏休み。塾の夏期講習が始まると、連日長時間の授業に加え、辞書のように分厚いテキストと膨大な宿題が課されます。 この過酷な環境下で、秋以降に成績を大きく伸ばす子と、算数への自信を失い潰れてしまう子。両者を分ける決定的な違いは、勉強の「量」ではありません。家庭学習において、勇気を持って「引き算(捨てること)」ができているかどうかです。1. 「全部やらせなきゃ」という親の焦りが子を潰す夏期講習のテキストは、最難関校から中堅校まで幅広い層に対応するため、あらゆる難易度の問題が詰め込まれた「幕の内弁当」です。 真面目なご家庭ほど「塾から出された宿題はすべて完璧にこなさなければ」...続きを見る
木村の写真
木村オンライン家庭教師
2026/7/12

この先生の他のブログ

ヒロユキの写真

グノーブル クラスが上下する|グノレブが安定しない理由

2026/8/8
グノーブルに通っていて、グノレブのたびにクラスが上下する。授業は面白いと言っているのに、テストの点数だけが安定しない。この相談を受けるとき、僕はまず、ご家庭に教材の使い方をうかがいます。原因はほとんどそこにあります。僕はena・四谷大塚・日能研で最上位クラスを担当してきた中学受験算数の講師で、現在も...
続きを読む
ヒロユキの写真

四谷大塚 組分けテスト対策|9月のコースアップは捨て問で決まる

2026/8/8
四谷大塚の組分けテスト対策として、夏期講習のテキストを最初から全部やり直そうとしていませんか。9月の組分けでコースアップする子とそうでない子を分けているのは、勉強量ではありません。捨て問の判断です。僕は四谷大塚で最上位クラスを担当し、予習シリーズの指導を専門としてきました。その経験から言うと、組分け...
続きを読む
ヒロユキの写真

中学受験 夏休み後半の算数|8月はやることを絞るだけ

2026/8/4
中学受験の夏休みも後半戦です。夏期講習の宿題が積み上がり、7月に作った計画表が崩壊しはじめる時期でもあります。ここから9月の成績を分けるのは、追加の課題ではありません。「やらないことを決める」判断です。僕はena・四谷大塚・日能研で最上位クラスを担当してきましたが、夏休み後半の相談内容は、首都圏でも...
続きを読む
ヒロユキの写真

SAPIXマンスリー対策|デイリーサポートの捨て問の決め方

2026/8/4
SAPIXのマンスリー対策として、デイリーサポートを全部やり直そうとしていませんか。その真面目さこそが、マンスリーで点が取れない最大の原因です。今回は、テスト前の3週間で「何を捨てるか」を決める話をします。僕はこれまでena・四谷大塚・日能研で最上位クラスを担当してきましたが、SAPIX生の答案を分...
続きを読む