勉強量を増やせば、成績は上がる?」現役塾講師が感じる“やりすぎ”の落とし穴
「成績を上げるために、もっと勉強させないと……」
保護者の方から、こんな相談をいただくことがあります。
もちろん、成績を上げるためにはある程度の勉強量が必要です。
勉強しなければ、できるようになることもありません。
ただ、現役塾講師として長く生徒を見ていると、もう一つ大切だと感じることがあります。
それは、
「勉強した時間や問題数」と「実際に身についた量」は、必ずしも同じではない
ということです。
今回は、私が日々の指導の中で感じている「勉強のやりすぎ」についてお話しします。
「たくさんやる=成績が上がる」ではない
例えば、数学の問題を10問解いたとします。
10問すべて終わった。
宿題もちゃんと提出できた。
これだけを見ると、
「よく頑張った!」
と思いますよね。
もちろん、頑張ったこと自体は素晴らしいです。
ただ、ここで一度考えてみてほしいことがあります。
その10問を、数日後にもう一度解いたらどうなるでしょうか?
「解き方を説明できる」
「何も見ずに解ける」
「数字が変わっても解ける」
ここまでできて、初めて「身についた」と言える問題もあります。
つまり、
10問やったことよりも、その10問が後から自力で解けるかどうかのほうが大切
なのです。
「終わらせること」が目的になっていませんか?
勉強量を増やしたときに、私が少し心配になるのがこれです。
「勉強する」ことより、「宿題を終わらせる」ことが目的になってしまう。
例えば、
「あと20問あるから、とにかく終わらせよう」
となると、1問1問を考える時間が短くなります。
間違えても、
「まあ次!」
と進んでしまう。
そして、最後まで終わったときには、
「今日の宿題は全部終わった!」
という達成感はあるけれど、
「じゃあ、何ができるようになった?」
と聞かれると、答えられない。
こうなってしまうと、少しもったいないですよね。
一番怖いのは「分かったつもり」
さらに注意したいのが、
授業直後は解けるのに、時間が経つと解けなくなる
という状態です。
先生の説明を聞いた直後なら、解き方を覚えています。
だから、
「分かった!」
「できた!」
となります。
でも、次の日に同じ問題を出されたら、
「……あれ?」
となることがあります。
これは決して珍しいことではありません。
だから私は、授業で解けたことだけを見て、
「完璧に理解した」
とは判断しないようにしています。
少し時間を空けて、もう一度自分の力で解いてみる。
そこで初めて、本当に身についているかが見えてきます。
大切なのは「量」より「定着」
では、勉強量を減らせばいいのでしょうか。
私は、そうは思っていません。
必要な勉強量は、しっかり確保するべきです。
ただし、
「何問やったか」
だけではなく、
「どれだけ自分の力として残ったか」
を見ることが大切だと思っています。
例えば、
10問を一気に解く。
↓
その日のうちに全部終わらせる。
↓
次の日には忘れている。
という勉強より、
5問を丁寧に解く。
↓
間違えた問題を確認する。
↓
数日後にもう一度解く。
↓
自力で解けることを確認する。
という勉強のほうが、結果的に力につながることがあります。
「同じ問題をもう一度やる」のは、もったいなくない
「一度やった問題を、またやるの?」
そう思う方もいるかもしれません。
でも、私はむしろ逆だと思っています。
一度解いただけで終わらせてしまうほうが、もったいない。
特に間違えた問題は、
「できなかった問題」
ではなく、
「これからできるようになる問題」
です。
だからこそ、時間を空けてもう一度確認する。
そして、
「今度は自分で解けた!」
という経験を積み重ねる。
この繰り返しが、少しずつ「できる」を増やしていきます。
ご家庭では、まず「全部終わった?」ではなく……
ご家庭で勉強を見るとき、
「宿題終わった?」
と確認することも多いと思います。
もちろん、それも大切です。
でも、たまにはこんな声かけをしてみてください。
「今日やった中で、一番難しかったのはどれ?」
「昨日間違えた問題、今日はできそう?」
「この問題、どうやって解いたか説明できる?」
こうした質問をすると、
「終わったかどうか」ではなく、
「何が身についたか」
に目を向けることができます。
私が授業で大切にしていること
私自身、現役の塾講師としてこれまで多くの生徒を指導してきました。
その中で感じるのは、
生徒によって「ちょうどいい勉強量」は違う
ということです。
同じ10問でも、すぐに終わる子もいれば、1問1問じっくり考える子もいます。
だから私は、
「とにかくたくさんやろう」
ではなく、
「今、この子に必要なのは何なのか」
を考えながら授業や宿題を組み立てるようにしています。
たくさん問題を解くことが必要な時期もあります。
一方で、あえて問題数を絞って、同じ内容をもう一度確認したほうがいい時期もあります。
大切なのは、
「やった量」ではなく「できるようになった量」。
私はそう考えています。
最後に
勉強量を増やすことは、決して悪いことではありません。
むしろ、目標に向かって努力するためには必要なことです。
ただ、
「たくさんやったから大丈夫」
とは限りません。
勉強した内容が、
「翌日もできる」
「数日後もできる」
「少し形が変わってもできる」
ところまで残っているか。
そこまで確認してあげることが、成績を伸ばすうえで大切だと思います。
勉強は、やった量を競うものではありません。
昨日できなかったことが、今日できるようになった。
その積み重ねが、 eventually……じゃなくて😂
本当の意味での「成長」につながっていくと、私は考えています。
「うちの子は勉強しているのに、なかなか成績につながらない」
そんなときは、勉強量だけではなく、
「やったことが、ちゃんと身についているか」
を一度見直してみるのもいいかもしれません。
この先生のおすすめコース
- 勉強しているのに、定期テストになると点数につながらない方
- テスト前になると「何から勉強すればいいか分からない」となってしまう方
- 間違えた問題を解き直しても、似た問題になるとまた間違えてしまう方
このブログに関連するオンライン家庭教師はこちら
中学生の数学対策におすすめの指導コース
- 学校を休みがちな中学生の数学学び直しに
- 前の学年まで戻って自分のペースで進めたい方に
- 週1回の個別指導で学習の区切りを作りたい方に
- 公式の丸暗記ではなく、「なぜそうなるのか」を根本から理解し、納得して学習を進めたい生徒さん。
- 「数学は何の役に立つの?」と疑問の方。現役エンジニアが実社会での活用例を交えて教えます。
- 文章題や初見の問題が苦手な方。問題を整理し、論理的に解く「エンジニア流の思考法」を伝授します。
- 国語・英語は自信があるのに、数学のせいで合計得点の偏差値が下がってしまう子
- 数学の得点向上に悩んでいる子
- 真面目にやっているのに手応えがない子
- MYP(Grade 8-9)に在籍中で、学校の授業の一歩先を走る先手必勝の学習習慣を作りたい
- 将来のDP進級を見据え、Math(HL/SL)の土台となる本質理解を今のうちに完成させたい
- 世界で通用する論理的思考力をMYPの段階から身につけ、将来の国内外の難関大学進学へ繋げたい
- 1学期の進度についていけず、「体系数学」や「プライム数学」で躓きを感じている方
- 関数や図形(証明)などで「分からない」が積み重なり、数学への自信を失っている方
- 夏休みの「中だるみ」を防ぎ、2学期からの巻き返し・先取りの貯金を作りたい方