#109 『ジーニアス英和辞典』最新版をのぞいてみよう➀~消えたn~
昨日買ったばかりのジーニアス英和辞典の最新第6版ですが、目玉の一つであるコラム「英語史Q&A」だけを読んでみました。
このコラムは全部で36個あり、辞書全体の分量からすると少ない感じがしないでもないのですが、1つ1つの内容は面白くて、私自身にとってもいろいろな発見がありました。
* * *
最初のコラムは、不定冠詞aのところに出てきます。どんなことが書かれているのでしょうか?

「母音の前ではan、子音の前ではaを使う」というのは中1で習う基本ルールですが、この使い分けの理由まで知っている人は少ないのではないでしょうか。
私自身、長い間「元々はaだが、次に母音が来ると母音が重なってしまうから、間に子音のnを入れるようになった」と思い込んでいたのですが、学問的に正確な説明はむしろ逆で、元々はanで、後ろに子音が来る時にnを取るということなのですね!
(ただし、「学問的な正確さ」と「教育上の妥当性」は必ずしも一致しません。たとえば中1の生徒から「なんで母音の前ではaはanになるの?」と訊かれたら、上の学問的に正しい説明よりも、「aという母音の後ろにまた別の母音が来ると発音しにくいからnを付けるようになったんだよ」という説明の方が、生徒には分かり易いのではないでしょうか?必ずしも英語のプロを目指しているわけではない、一般的な中高生に英語を教える場合、たとえ学問的には不正確でも分かり易さを優先した説明はある程度は許されると思いますが、もちろんその考え方は個々の英語教師によって違うでしょう。)
また、今の前置詞onに当たる昔の前置詞anのnが脱落してa-になり、それが他の語とくっついてできた語としては、alive、asleepの他にも、aboard; abroad; ahead; aside; awayがあります。
ちなみに、昔の前置詞anがaになって今でもよく使われているのが、
I run a marathon twice a year.「私は年に2回マラソンに参加している」
のaです。
このaは不定冠詞のaとして扱われるのが普通で、辞書でも不定冠詞aの項目で「~につき」のaは取り扱われています。
「学問的正確さ」で言えば不定冠詞ではなく前置詞として扱うべきなのでしょうが、「教育的妥当性」からは不定冠詞として扱うべきでしょう。
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