#113 『ジーニアス英和辞典』最新版をのぞいてみよう➄~つなぎ語~
2023/5/9
これまで、ジーニアス英和辞典最新版の2つの目玉である「英語史Q&A」(英語の謎を歴史的に解き明かすコラム)と「語のしくみ」(語源解説のコラム)を紹介してきました。
今回は「つなぎ語」を取り上げますが、これは文と文の関係を表す表現のことです(「ディスコースマーカー」とも呼ばれます)。日本語で言うと、順接の「だから」、逆接の「しかし」、例示の「たとえば」のようなことばのことです。
もちろん英語にもこうした「つなぎ語」はいろいろとあります。順接のthereforeや逆接のhoweverは典型例ですが、自分の言いたいことを明確化するためのI mean「つまりその」や、会話の開始・終了を合図するOK「それでは」なども含め、ジーニアス英和辞典最新版では広く話の流れを指し示す語句に〚つなぎ語(句)〛のラベルが付され、[結果][対比・譲歩][明確化][会話の開始・終了]といった用法のラベルも付けられています。
もちろん、第5版までもこうしたつなぎ語は扱われていたのですが、それらが「つなぎ語」であることをユーザーにより強く印象付けようという試みとして、こうしたラベルは高く評価できます。
『ジーニアス英和辞典』第6版・まえがきより
それでは、第5版と第6版を具体的に比較してみます。
therefore
第5版
第6版
第6版の方では、最初に〚つなぎ語(句)〛ラベルがあることで、thereforeが「つなぎ語(ディスコースマーカー)」であることがまず明示され、直後に[結果]ラベルがあることで、その用法が一目瞭然となっています。
however
第5版(下は語法注記)
第6版
第5版では、howeverの「話題に区切りをつける用法」は、語法注記として補足的に扱われているに過ぎなかったのですが、第6版ではこの用法に独立した語義番号を与え、〚つなぎ語(句)〛[話題転換]というラベルを付け、ユーザーにこの用法をより強く印象付ける扱いになっています。
I mean
第5版
第6版
旧版も新版も内容的にはほぼ同じですが、やはり〚つなぎ語(句)〛[明確化]というラベルがある新版の方がより分かり易くなっています。
OK
第5版
第6版
第5版では、OKに[会話の切り出し・話題転換]の使い方があることは示されていますが、[会話の終了]という用法は示されていません。第6版では、会話のおしまいを合図するOKの用法も明示されるようになり、用例も載っています(OK, so I have to go. Bye.「さて、じゃそろそろ行かなくちゃ。またね」)。
こうして見比べてみると、最新版の方が「つなぎ語」の扱いが断然良くなっていると言えると思います。
* * *
こうした「つなぎ語」に着目することは、中級者が上級者になるための―偏差値60台の受験生が、安定的に長文で高得点を取れるようになり偏差値70を突破するための―1つの大きな武器になります。
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