英語

#143 誤解されている英語➈~evening「夕方」~

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2024/11/3

「秋の日は釣瓶落とし」と言われますが、日が暮れるのもめっきり早くなりましたね。

夕日が空を照らしている時間帯(=日が落ち始めて夜になるまでの間の時間帯)を日本語では「夕方」と呼び、これに当たる英単語はeveningであると多くの日本人が思っています。

evening=夕方

night=夜

この理解だと、evening(夕方)の後の、日が落ちて空が暗くなった時間帯がnight(夜)ということになるのですが、実はそれは誤解なのです。

Good evening.「こんばんは」

という挨拶表現は、もちろん「夕方」にしか使えないわけではなく、空が暗くなった夜9時ごろに人と会った時にも使えます。

『ライトハウス英和辞典』でeveningの訳語を調べてみましょう。

まず最初に「晩」と赤字で書かれていて、その後に「夕方」の訳語が見えます。

「晩」と「夕方」が違うことはなんとなくは分かりますが、国語辞典(『明鏡国語辞典』)でどう違うかを調べてみます。

この語釈によると、「晩=夕方+夜」ということになりますね。つまり、「晩」という語は、夕日が空を照らしている時間帯と、夕日が落ちて空が暗くなった時間帯の両方を指すことができるということになります。

では、今度は英英辞典でeveningを調べてみましょう。

evening: the early part of the night from sunset to bedtime

eveningの指す時間帯が明確に定義されています。この定義から分かるのは、

eveningはnightの一部分である

eveningはsunset(日の入り)からbedtime(就寝時)までの時間帯のことである

ついでに、nightの定義も見ておきましょう。

night: the time between sunset and sunrise

nightはsunset(日の入り)からsunrise(日の出)までの時間帯のことであると定義されています。

eveningもnightも、開始時点は同じく「日の入り」ですが、終了時点が違うということが分かりますね。

・evening=日が沈んだ後の人が活動している時間帯

・night=日が沈んで翌朝日が昇るまでの時間帯(=空に太陽が出ていない時間帯)

こうして見ると、「night=夜」という理解は何も問題無いですが、「evening=夕方」という理解は誤解であるということが分かります。

日本語の「夕方」よりも広い時間帯を指すのがeveningであると知った上で、文脈に応じて「夕方・晩・夜」と訳し分ける必要がありそうです。(eveningと、Christmas Eveなどのeveの関係については☞ブログ#102

eveningが、日が落ちてからもまだ人が活動している時間帯を指すからこそ、Good evening.という挨拶表現がその時間帯に使われるのですね。

そして、人が寝静まった後の時間帯も表すのがnightなので、寝る時の挨拶がGood night.「おやすみなさい」というわけです。

*     *     *

では、日本語の「夕方」にぴったり合うような英語表現とは何でしょうか。

「eveningの早い時間帯」、あるいは「afternoonの遅い時間帯」と考えて、

early evening

late afternoon

と表現することができます。

あるいは、

twilight

dusk

という1語の単語もあります。ただし、どちらの語も日本語の「夕方」よりも狭い時間帯を表すようで、

・twilight=日が沈む前後の「夕暮れ・黄昏」

・dusk=twilightがさらに暗くなった「夕闇」

twilightはまだ空にいくらかの光がありますが、duskになると空にほとんど光が無いというイメージです。(私たち日本人も夕方・夕暮れ・黄昏・夕闇といった類義語を辞書通りに正確に使い分けているわけではなく、使い方に個人差があるように、twilight/duskも人によって使い分けはまちまちのようです。)

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