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英語

#147 伊東先生の英文解釈教室⑥(前半)

2024/12/2

今日は琢磨君と麗華さんの答案を黒板に書いてもらった。

いつも言っているように、英文解釈の勉強で大切なのは、まずは自分の訳を紙に書いてみること。ダメなのは、自分の訳文を書かずにすぐに解説を読んでしまうことだ。

人間の頭というのはずるいもので、本当は分かっていなかったところも、解説を読みながらだと「そうそう、自分もそう考えていた」と思い込んでしまうんだね。

でも紙に自分の訳文を書いていれば、そうした自分に都合の良い思い込みはできなくなる。

どれだけ間違えてもいいから、とにかく自分の理解度を客観的に捉えるために、和訳を書いてみることだ。

改めて言っておくと、私の英文解釈の授業では、予習の時にいくら辞書を引いても構いません。もちろん文法書を調べてもOK。

私がみんなに分かってほしいのは、こういう英文解釈の授業で扱われる難しい英文は、「単語が難しいから読めない」わけではない、ということなんだ。

辞書を使っても、それでも正しく訳せないということは、そもそも英文法の知識や英文の構造の分析力に欠けているところがあるということ。まあ、辞書に書いてある複数の意味から正しいものを選択できなくて誤訳した、という場合もあるだろうけどね。

英語というと、単語さえたくさん覚えればどんな英文でも読めるかのように考えている人が今も昔も一定数いるんだけど、そういう浅はかな英語観が通用しない分野の代表格がまさに英文解釈なんだね。

では英文を読みながら、2人の訳文を検討していこう。みんなも、自分の答案を見ながら、自分の解釈が正しいかをチェックしていってね。

*     *     *

⑴は、難しい単語はほとんど無いはずだけど、2行で1文という、少し長い文だね。

The similarity ofを見た瞬間に、英語力の高い人はこのように考える。

「similarity(類似)ということは、何か2つの物を比較してそれらが似ているということだ。だとすると、ofより後ろで、その2つの物が出てくるはずだ」

そしてthe coloring of some animalsを見た段階で、

「なるほど、このthe coloring of some animals(一部の動物の体の色)が、比較されるもののうちの1つ(A)か。なら、これと比較されるもう1つ別の物(B)は何だろうか?」

と考える。そして直後のtoを見て、

「このtoの後ろに、Aと比較されるBが書かれているのか。that of the ground on which they liveとあって、thatはthe+単数形の名詞の代わりだから、ここではthe coloringのことだな。theyはsome animalsを指しているから、『それらが生活している地面の色』がBなのか」

もちろんこのように正しく考えられるためには、あらかじめthe similarity of A to Bという表現を知っている必要があるかもしれないし、あるいはA be similar to Bという受験生なら誰でも知っている言い方から、

A be similar to B「AはBと似ている」

   ⇩

the similarity of A to B「AとBの類似」

と変形されているのではないか、と気付く必要はあるかもしれない。

このように、元になる形容詞や動詞の表現が変形されて名詞になったもののことを「名詞構文」と言うことがある。こうした表現は「無生物主語構文」との絡みで扱われることも多い。

Her late arrival surprised us.

この英文を直訳すると、

「彼女の遅い到着は私たちを驚かせた」

となる。もちろん間違いというわけじゃないんだけど、これは自然な日本語、つまり私たち日本人が日常的に接するような日本語の言い方ではない。なので、自然に聞こえるように意訳する必要がある。

今の和訳には、不自然なところが2箇所ある。

➀「彼女の遅い到着」

➁「私たちを驚かせた」

➀の方がさっき言った「名詞構文」に関するもので、➁の方が「無生物主語構文」に関わるもの。

➀のような名詞表現が日本語として不自然に、あるいは堅苦しく響く場合は、動詞表現に変形してみよう。

「彼女の遅い到着」→「彼女が遅く到着した(こと)」

これで自然な日本語になったね。

もう1つの➁については、日本語では「驚き」などの感情を持った人間を主語に立てるのがふつうなので、

「私たちを驚かせた」→「私たちは驚いた」

と変形すればOKだね。

そうすると、さっきの英文の自然な和訳は

「彼女が遅れて到着したので私たちは驚いた」

となる。

では問題文に戻って、The similarityからthey liveまでのところを自然な日本語になるように意訳してみよう。その際、名詞構文の元になったbe similar toの文を訳すつもりで訳してみるといい。

The similarity of the coloring of some animals to that of the ground on which they live

不自然な直訳「一部の動物の色と、それらが生活している地面の色との類似」

   ⇩

The coloring of some animals is similar to that of the ground on which they live.

自然な意訳「一部の動物の色が、それらが生活している地面の色と似ている(こと)」

では、黒板に書いてもらった2つの答案で、ここがどう訳されているかを見てみよう。

琢磨君の答案は「いくつかの動物の色の類似とそれらが生きる地面のそれは」と訳しているね。

まず言えるのは、the similarity of A to Bという表現でAとBを比べて、その2つが似ていると言っている大枠を捉えられていないということだ。

それと、someを「いくつか」としているけど、ここではこの訳は不正確だ。このsomeは全体の一部というニュアンスなので、「一部の」と訳せばいいよ。

また、「地面のそれ」というのもなかなか分かりにくい日本語だね。こうしたthatは具体的に訳した方が分かりやすい日本語になるはずだよ。ここでは「地面の色」とすれば誰が読んでも分かりやすいはずだ。

次に麗華さんの答案だけど、こちらはthe similarity of A to Bという骨格がちゃんと押さえられている。

ただ、someの訳が抜けているのと、「AのBとの類似」が堅苦しい直訳的な感じになっているので、少し読みにくい訳文にはなっているね。まあ読みにくいとは言っても、これなら多分入試でも減点はされないだろう。

自分で訳文を書いたら、まずは自分で読み直してみて、読みにくいところは無いかをチェックしてみること。もし自分で読みにくいと思ったなら、他の人はなおさら読みにくいと感じるはず。最初は勇気が要るかもしれないけど、直訳で読みにくくなっているなら、思い切って意訳をしてみよう。

さあ、ここまでで問題文の主語の部分は終わりで、resultsというVが続いている。3単現の=sが付いているのは、主語のThe similarityが3人称単数だからという点も改めて確認しておこう。

result inは有名な熟語。どの熟語集にも載っているはず。ただ、見た目が紛らわしいresult fromとの区別はしっかりしておこう。

The experiment resulted in the discovery of a cure for cancer.

The discovery of a cure for cancer resulted from the experiment.

result inとresult fromは関係が逆であると押さえておこう。

result inでは、「S=原因/O=結果」の関係だ。例文では、Sである「実験」が原因で、Oである「癌の治療法の発見」が結果となっている。

result fromを使うと、「S=結果/O=原因」になる。

紛らわしいからこそ入試ではよく問われるので、この機会にちゃんと覚えておこう。

問題文に戻ると、Sの「一部の動物の色が、それらが生活している地面の色と似ていること」が「原因」で、inの後ろが「結果」になる。では、動物の体の色が地面の色と似ていると、どのような結果が生じるんだろうか?

their escapingは文法で必ず習う「動名詞の意味上の主語+動名詞」の構造。theirはもちろんsome animalsを受けている。つまり「動物が避ける」ということ。では一体何を「避ける」のか?

それがthe observation of man’s eyeなんだけど、observationに「観察」という訳は一応いいとして、manを「男」と訳すのはダメ。「男」と訳していいmanは原則として可算名詞。でもここのmanは不可算名詞として使われているね。aなども付いていないし、複数形にもなっていない。

Man is rapidly destroying the Earth.「人間(人類)は地球を急激に破壊している」

不可算名詞のmanは基本的に「人間全体」つまり「人類」を総称的に表します。

問題文では、「動物(animals)↔人類(man)」という対比になっているわけだ。

ということで、最後のところを直訳すると「人間の目の観察」となる。これでも多分入試では減点されないとは思うんだけど、なんか引っかからないか?自然な日本語とはやっぱり言い難いよね。

そう感じられること自体が、その人のことばのセンスの高さを示しているし、そう感じたのなら、英和辞典を引いてみよう。「観察」よりももっとこの文脈にふさわしい訳語が載っているかもしれない。

いつも言っているように、辞書を引く時は「日本語訳」を見るだけでなく、「例文」にも目を通すことだ。

気付いたかな?語義番号2の最後の例文に

escape observation「気づかれないようにする」

とあるよね。問題文もまさに

escaping the observation

となっている。ということは、問題文のobservationは「観察」というよりも、むしろ「人目」という意味だったということになるんだ。

こういうのは、英和辞典よりも英英辞典を引いた方がもっと腑に落ちるんだけれど、

observation: ➀noticing; ➁watching carefully

のような定義が載っている。➀は「気付くこと」、さっきの英和辞典で言うと「人目」に当たる。➁は「観察・注意して見ること」などの訳語に当たるね。

琢磨君の答案では、まず「彼ら」が間違い。3人称複数のthey/their/themを見たら反射的に「彼ら」と訳す癖は直さないといけない。だって、3人称単数itの複数形の可能性も十分あるんだから。ここのtheirはsome animalsを指しているから、「それら」が適切。日本語の「彼ら」が動物を指すことは、物語の中などを除けば、ふつうは無いんじゃないか。

manは「男性」ではないというのはさっき説明した通り。

observationの「観察」は減点しないことにしておこう。

あと、「彼らの男性の目の観察を避ける結果」という書き方だと、原文の「their→escaping」という「意味上の主語+動名詞」という関係を示せているとは言えない。theirが意味上の主語であることをはっきりと示すためには、「彼らの」ではなく「彼らが」とした方がいいと思うよ。

麗華さんの方は、特に問題は無いかな。

問題文の因果関係を整理しておこう。

原因「一部の動物の色が、それらが生活している地面の色と似ている」

   ⇩

結果「動物が人間に気付かれることを免れる(気付かれずに済む)」

 

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