#36 CDCに学ぶ感染予防策②~デルタ株の脅威と感染対策の基本~
2021/8/5
「デルタ株」と言われる変異種が日本でも猛威を振るっています。今回は、先月末に発表されたCDC(米国疾病予防管理センター)のサイト記事を見ることにします。デルタ株の恐ろしさは連日テレビなどでも報じていますが、そもそも変異種とは何かというところから説き起こされています。具体的な対策ももちろん大切ですが、かつて言われていた「正しく恐れる(=正しい情報を知った上で警戒する)」を今一度思い起こしてみる必要があるのかもしれません。
記事の最後には、感染対策としてやはり「マスク着用」「ソーシャルディスタンス」「3密回避」「手洗い・消毒」といった、去年から奨励されている基本的対策が繰り返されていることに注意してほしいと思います。(去年との違いは「ワクチン接種」だけです。)コロナ禍になって1年半が経ち、人々の気の緩みが指摘されています。他人の行動はどうしようもありませんが、自分の行動は自分で決めることができます。
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About Variants of the Virus that Causes COVID-19
Information about the characteristics of these variants is rapidly emerging. Scientists are working to learn more about how easily they spread, whether they could cause more severe illness, and whether currently authorized vaccines will protect people against them.
新型コロナウイルス感染症を引き起こすウイルスの変異種について
これらの変異種についての情報が急速に出てきている。変異種がどれほど簡単に拡がるか、より重篤な病気を引き起こす恐れがあるのかどうか、現在認可されているワクチンで変異種から人々を守れるのかについてより多くのことを知ろうと、科学者たちは努力している。
What We know
Viruses constantly change through mutation, and new variants of a virus are expected to occur. Sometimes new variants emerge and disappear. Other times, new variants persist. Multiple variants of the virus that causes COVID-19 have been documented in the United States and globally during this pandemic.
Viruses constantly change and become more diverse. Scientists monitor these changes, including changes to the spikes on the surface of the virus. By carefully studying viruses, scientists can learn how changes to the virus might affect how it spreads and how sick people will get from it.
If you think about a virus like a tree growing and branching out; each branch on the tree is slightly different than the others. By comparing the branches, scientists can label them according to the differences. These small differences, or variants, have been studied and identified since the beginning of the pandemic.
Some variations allow the virus to spread more easily or make it resistant to treatments or vaccines. Those variants must be monitored more carefully.
今分かっていること
ウイルスというものは常に突然変異によって変化し、一般的にあるウイルスの新たな変異種は生じるものと考えられている。新たな変異種が生じても消えてしまうこともあるが、消えずに存在し続けることもある。感染症がこうして流行している間に、新型コロナウイルス感染症を引き起こすウイルスの様々な変異種がアメリカを初め世界中で記録されてきた。
ウイルスというものは常に変化し、多様化する。新型コロナウイルス表面のスパイクに生じる変化を含めたこうした変化を科学者は注視している。ウイルスに生じる変化がその伝播の仕方にどのような影響を与え得るのか、そのことで病人がどう変化するのかを、ウイルスを注意深く研究することによって科学者たちは知ることができる。
ウイルスというものを、木が生長して枝分かれしていくようなものと考えたらどうだろう。木から分かれて伸びている1本1本の枝は、他の枝と少しだけ違っている。全ての枝を比較することで、科学者たちは違いに基づいて枝を分類することができる。こうしたわずかな違い、つまり変異種は、新型コロナウイルスの世界的流行が始まって以来研究され、特定されてきた。
変異によっては、ウイルスがより容易に伝播したり、ウイルスへの治療やワクチンの効果が落ちることもある。そうした変異種はより注視しなければならない。
Variants in the United States
We are monitoring multiple variants; currently there are four notable variants in the United States:
B.1.1.7 (Alpha): This variant was first detected in the United States in December 2020. It was initially detected in the United Kingdom.
B.1.351 (Beta): This variant was first detected in the United States at the end of January 2021. It was initially detected in South Africa in December 2020.
P.1 (Gamma): This variant was first detected in the United States in January 2021. P.1 was initially identified in travelers from Brazil, who were tested during routine screening at an airport in Japan, in early January.
B.1.617.2 (Delta): This variant was first detected in the United States in March 2021. It was initially identified in India in December 2020.
These variants seem to spread more easily and quickly than other variants, which may lead to more cases of COVID-19. An increase in the number of cases will put more strain on healthcare resources, lead to more hospitalizations, and potentially more deaths.
So far, studies suggest that the current authorized vaccines work on the circulating variants. Scientists will continue to study these and other variants.
アメリカに存在している変異種
当センター(CDC・米国疾病予防管理センター)ではいくつもの変異種を注視していて、現在のところアメリカには注意すべき変異種が4種類存在している。
B.1.1.7系統(アルファ株):この変異種がアメリカで最初に発見されたのは2020年12月のことで、最初に発見されたのはイギリスであった。
B.1.351系統(ベータ株):この変異種がアメリカで最初に発見されたのは2021年1月末のことで、2020年12月に南アフリカで最初に発見された。
P.1系統(ガンマ株):この変異種がアメリカで最初に発見されたのは2021年1月であった。最初に発見されたのはブラジルからの旅行者からで、その人たちは1月初めに日本の空港で義務的な検査を受けた人たちだった。
B.1.617.2系統(デルタ株):この変異種がアメリカで最初に発見されたのは2021年3月であった。最初に見つかったのはインドで、2020年12月のことであった。
これらの変異種は他の変異種よりも容易に伝染しているようであり、そのため新型コロナウイルス感染症の症例は増加する可能性がある。症例が増加すれば、医療資源への負担は増加し、入院患者数も増え、死者が増える可能性も出てくる。
現在までのところ、研究によれば現在認可されているワクチンは市中に出回っている変異種に有効であると言える。科学者たちは、これらの変異種やほかの変異種を今後とも研究し続けることになる。
How common are these variants
CDC tracks multiple variants circulating in the United States and provides an estimate of how common they are in the nation and at the regional level. This data can change over time as more information is available.
これらの変異種はどれほど一般的に見られるものなのか
CDCはアメリカに浸透している様々な変異種の追跡を行ない、それらが国と地域でどれほど一般的に見られるのかを見積もっている。このデータは入手できる情報の追加に伴って変わる可能性がある。
What we are doing to learn more
Scientists are studying these variants to learn more about them and to quickly detect new variants. They want to understand whether the current and new variants
・Spread more easily from person-to-person
・Cause milder or more severe disease in people
・Are detected by currently available viral tests
・Respond to medicines currently being used to treat COVID-19
・Change the effectiveness of COVID-19 vaccines
知識を増やすために我々が取り組んでいること
科学者はこれらの変異種の研究に取り組むことで、それらについてより多くを知り、素早く新たな変異種を検知しようとしている。彼らが理解したいと考えているのは、現在の変異種と今後の新たな変異種が
・人から人により簡単に伝染していくのかどうか
・人に起こす病気がより軽いものなのか、それともより重篤なものなのか
・現在使用できるウイルス検査で検知できるのかどうか
・新型コロナウイルス感染症の治療に現在使われている薬に反応するのかどうか
・新型コロナウイルス感染症ワクチンの効果に変化をもたらすのかどうか
ということである。
Protect yourself from COVID-19
COVID-19 continues to spread in the United States and variants are circulating. Take steps to protect yourself from the virus.
・Get a COVID-19 vaccine when it is available to you.
・Wear a mask that covers your nose and mouth to help protect yourself and others.
・Stay 6 feet apart from others who don’t live with you.
・Avoid crowds and poorly ventilated indoor spaces.
・Wash your hands often with soap and water. Use hand sanitizer if soap and water aren’t available.
新型コロナウイルス感染症から自分の身を守る
新型コロナウイルス感染症はアメリカで拡がり続けており、様々な変異種が出回っている。ウイルスから自分の身を守るために対策を講じてください。
・接種可能であれば新型コロナウイルスワクチンを接種すること。
・自分と他人を守るため、鼻と口を覆うマスクを着用すること。
・同居人以外の人との距離は180センチ取ること。(訳者注:日本では一般的にソーシャルディスタンスは「2メートル」とされています。)
・人込みと換気の悪い屋内の空間は避けること。
・石鹸と水でこまめに手を洗いましょう。石鹸と水が使えない状況では、手指用の消毒液を使うこと。
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