英語

#56 『賢者の贈り物』(オー・ヘンリー)④

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2022/1/10

The magi, as you know, were wise men — wonderfully wise men — who brought gifts to the Babe in the manger. They invented the art of giving Christmas presents. Being wise, their gifts were no doubt wise ones, possibly bearing the privilege of exchange in case of duplication. And here I have lamely related to you the uneventful chronicle of two foolish children in a flat who most unwisely sacrificed for each other the greatest treasures of their house. But in a last word to the wise of these days let it be said that of all who give gifts these two were the wisest. Of all who give and receive gifts, such as they are wisest. Everywhere they are wisest. They are the magi.

The magiは「東方の三博士(三賢者)」と日本語では訳される。彼らについては新約聖書マタイ伝2章に記されている。暴君として悪名高いユダヤ王ヘロデの時代にベツレヘムでキリストが生まれた時、東方から三人の博士(the Magi)がやって来た。キリストが未来のユダヤ王になるとの予言に不安を感じたヘロデは、三博士をベツレヘムに遣わしてキリストを探すように命じた。下の引用は、三博士が星に導かれてキリストを首尾よく見つけた時の記述(新約聖書マタイ伝2章11節)。

On coming to the house, they [=the Magi] saw the child with his mother Mary, and they bowed down and worshiped him. Then they opened their treasures and presented him with gifts of gold, frankincense and myrrh.

「家に入ると、彼ら(=東方の三博士)は母メアリといる幼子に会い、ひれ伏して拝んだ。それから宝箱を開けて、黄金・乳香・没薬の贈り物を捧げた」

frankincense「乳香」は祭式などで焚かれたゴム樹脂。myrrh「没薬(もつやく)」は香気ある樹脂で、香料・薬用に使われる。magiは複数形で、単数形はmagus。magusは元々は「古代ペルシャの僧侶」を意味し、magician「魔法使い、手品師」の語源ともなっている。the Magiの3人の名はCaspar「カスパル」、Melchior「メルキオル」、Balthasar「バルタザール」。(SFアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」を見たことがある人は、作中のスーパーコンピューター「マギ」や、そのスパコンを構成する3基のコンピュータの名称を思い出したでしょうか…!ただし「マギ」という発音はラテン語読みらしい。英語の発音は「マギ」ではない。)the Babeは「幼子としてのキリスト」。manger「飼い葉桶」とは、牛馬の餌である牧草・干し草・藁などを入れる桶のこと。

ここのartは「創意(ingenuity)」という特別な意味で使われている。

Being wiseは分詞構文だが、この分詞構文の意味上の主語は主文の主語their giftsではなくthey (=the Magi)。分詞構文の意味上の主語が主文の主語と異なる場合は表現するのが文法的には正しいが、ここは話の流れからBeing wiseの意味上の主語がtheyであることは容易に分かるので省略されている。duplication「重複」は、全く同じプレゼントが贈られることを言う。

この英文が文法的に正しく読み解ける学力があれば大学入試でも十分通用する。lamely「拙く」。この形容詞形のlameは、「任期終了を間近に控えて政治的影響力を失った首相・大統領」を意味する外来語「レームダック(lame duck)」の「レーム」の語源。have ~ relatedの目的語がthe ~ chronicleであることを見抜ける力が日本人英語学習者が身に付けるべき力。chronicleはここではstory「物語」の意味。関係代名詞whoの先行詞はもちろんa flatではなくtwo ~ children。sacrificedの目的語はthe ~ treasuresであることを見抜ける力は、さっきの他動詞relateの目的語を正しく見抜く力と同じ種類。

the wise=wise people。let it be said that ~のletは使役動詞、itは形式目的語、that以下は真目的語。この表現法は古風で分かりにくい。「~だと言われることを許しなさい」→「~と言わせてください」と考える。of all who give giftsが、文末の最上級the wisestとつながりのある表現であると分かった人は相当の英語力の持ち主。

He runs the fastest of the five boys.「彼はその5人の男の子の中で最も足が速い」

この文の下線部を文頭に移動すると

Of the five boys he runs the fastest.

となる。本文のof ~を元の位置に戻せば

these two were the wisest of all who give gifts「この2人が贈り物を贈る全ての人の中で最も賢かった」

このOf ~も⑤と同じように考える。元の位置に戻すと

Such as they are wisest of all who give and receive gifts.

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