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英語

#83 伊東先生の英文解釈教室④(後半)

2022/5/12

 

さて今日は、前回の英文の続きを見ていこう。からだったね。

This ideaはもちろん、①のthe idea of ~のこと。

soを見たら後ろにthat節が来ると予想しながら読む、というのは英文読解の原則だけど、今回は残念ながら(?)that節は来ていない。ではこのsoはどんな意味かというと、「とても」というただの強調語として使われている。much of ~はmany of ~と似た表現。ofの後ろが複数形ならmany、今回のように不可算名詞の単数形ならmuchを使う。もちろんmuch自体も不可算名詞扱いなので、動詞stemsには三単現の-sが付いているよ。

our internal struggleは「私たちの心の中での奮闘」ということ。

stem from ~は「~から生じる」。主語が「結果」、fromの後ろが「原因」を表すという点を意識することが大切。

our desire to control lifeの不定詞は形容詞的用法。

ⓐWe desire to control life.「私たちは人生を自分の思い通りのものにすることを望んでいる」

このⓐの文のdesireはもちろん動詞で、後ろに目的語の不定詞が続いている。

この動詞desireを名詞に変えてみよう。すると、

ⓑour desire to control life「人生を思い通りのものにしたいという私たちの願望」

のように書き換えられることになる。見た目は一緒だけど、ⓑのdesireは名詞だからね。動詞のdesireが名詞のdesireに変わったことで、ⓐの主語Weも所有格のourに変わっている。

一番注目してほしいのは、ⓐの「動詞desire+不定詞」が、ⓑでは「名詞desire+不定詞」になっている、つまり不定詞のところには何も変化が起きていないという点だ。つまりⓑの不定詞は、ⓐの不定詞と同じで、desireつまり願望の内容を表しているんだ。文法的に説明すれば、ⓐの不定詞は「名詞的用法」で、ⓑの不定詞は「形容詞的用法」なんだけど、どちらもdesireの直後に付くことでdesireの内容を表しているという共通点に注目してほしいね。

ここまでで言われているのは、「私たちの心の中での奮闘の多くは、人生を自分の思い通りのものにしたいという私たちの願望から生じているので、この考え方はとても大切だ」ということになるね。先週のことだから忘れている人もいるかもしれないけど、ここで言っているthis ideaとは、「人生とはかくかくしかじかであるべきだと考えるのではなく、ありのままの現実に対して素直に心を開く」という考え方のことだった。①の内容と照らし合わせると、②のour desire to control lifeとは、①のinsisting that life be a certain wayと対応していることが分かるはずだ。どちらも結局、「人生を自分の思い通りにしたい!」という考え方と言えるよね。そう言うことを思っているから、私たちはいろいろと心の中で画策(struggle)してしまう、というわけだ。

たしか前回、②のコンマの役割を考えるよう言ったと思うけど、みんなはこのコンマをどのように解釈して訳文を作っただろうか?

とりあえずコンマは後回しにして、コンマの後ろの不定詞を読んでみよう。insistについては前回詳しく取り上げたよね。①と同じで、ここもthat節では動詞の原形が使われている。

different thanは予め知っていないと戸惑うかもしれない。thanは比較級の後ろで使うのが原則だけど、ここには比較級は無いよね。

ⓒShe looks quite different than she did ten years ago.

thanの左は「彼女はかなり違って見える」。differentと言っている以上、何かと比べているはずだ。differentを使う時、ふつうはそうした比べているものをfromで導入するんだけど、この文のように「文」が続く時は、前置詞のfromではなくて接続詞のthanを使うことは特にアメリカ英語ではふつうのようなんだ。昔は、ⓒのように比較級ではないdifferentの後ろでthanを使うのは良くないという意見があったようなんだけど、特にアメリカ英語ではふつうに使われるみたいで、辞書でも認められた言い方になっている。

 

ジーニアス英和辞典によるdifferent thanの説明

 

ウィズダム英和辞典によるdifferent thanの説明

「彼女は10年前とは見た目がかなり違っている」がⓒが言っている内容だ。

もしこの内容を、原則通りdifferent fromで言おうとすると、

ⓓShe looks quite different from what she did ten years ago.

のようにしないといけない。fromは前置詞なので、後ろには「名詞」「名詞句」「名詞節」が来ないといけない。ここでは関係代名詞のwhatを使って名詞節にしているわけだ。

ついでに言っておくと、different toという言い方もあるから、ぜひ自分の辞書で調べておこう。

で、②のコンマの後ろに戻って訳してみると、「人生は実際とは違ったものであるべきだと主張する」ということを言っている。

では、このコンマの後ろの不定詞は何用法だろうか?ここは名詞desireを修飾する形容詞的用法と考えるのが適切だ。

そこまで分かってもまだ油断できない。our desire以下をこういうふうに訳した人はいないだろうか。

「人生を自分の思い通りのものにして、人生は実際とは違ったものであるべきだと主張したいという私たちの願望」

この訳だと、「自分の思い通りのものにする(to control)」と「主張する(to insist)」は別々の行動として捉えられていることになる。

ⓔYesterday I met a lawyer, Mr. James and an accountant, Ms. Cornell.

この文を「昨日私は弁護士と、ジェームズさんと、会計士と、コーネルさんに会った」と訳してしまう人がいるんだけど、誤訳だということが分かるかな?今の訳では4人の人物に会ったことになるんだけど、もし4人の人を並列するなら、

A, B, C and D

のように書くのが正しい書き方だ。

ⓔのポイントはコンマなんだけど、赤で示した2つのコンマは「同格のコンマ」と呼ばれるもの。

A, B and C, D

のAとB、CとDがそれぞれイコール関係になっているわけだ。andが結んでいるのはAとCなので、

A=B

C=D

A≠C

という関係が成り立っていることを確認してほしい。

ⓔ’ Yesterday I met a lawyer and an accountant.

なら簡単だね。「私」が会った人物は「弁護士」と「会計士」の2人ということ。

ⓔの方では、「弁護士=ジェームズさん」「会計士=コーネルさん」というように、2人の名前を同格のコンマを使って説明しているんだ。だから、「私」が会った人物は4人ではなくて、「弁護士」と「会計士」の2人ということなんだね。

andと同格のコンマの違いにこだわることが英文を正確に読むためには重要であるということは、いくら強調してもしすぎることはないんだけど、これで②の文を

「人生を自分の思い通りのものにして、人生は実際とは違ったものであるべきだと主張したいという私たちの願望」

のように訳したらなぜ間違いか分かったかな?②のコンマは「同格のコンマ」なのに、この訳は

to control life≠to insist that ~

のような訳になっている。つまり

our desire to control life and to insist that~

に対する訳のようなものになってしまっている。だから間違いなんだ。

「人生を自分の思い通りのものにしたい、言い換えると人生は実際とは違ったものであるべきだと主張したいという私たちの願望」

これが同格のコンマにまで配慮した訳ということになる。考えてもらえば分かるように、

「人生を自分の思い通りのものにする」

「人生は実際とは違ったものであるべきだと主張する」

という2つの内容はほとんど同じことを言っているよね。

前に説明したかもしれないけど、英語の「コンマ(,)」という記号は、日本語の「読点(、)」とは違って、使い方にちゃんとしたルールがある。(☞ブログ#9#10コンマにこだわることで英文の読解力が増すなんてことを言う英語教師は少ないと思うけど、実際にそうなんだ。

と④も、単語は簡単だけど、英語力があるかどうかを見るには実にいい英文だ。こういう英文を正しく理解できる人が、本当の意味で英語力のある人だと言えるというのが私の意見なんだ。

まずは「not+always」が「部分否定」と見抜けているかどうかが1つのポイント。

the wayの後ろには関係代名詞が省略されている。itはlifeを指す。

we would like it to be a way「私たちは人生があるあり方であることを望む」

このa wayを関係代名詞にして省略して、先行詞にthe wayを立てたのが、本文の

the way we would like it to be「我々が望む人生のあり方」

ということになる。

あるいは、一部の辞書にも書いているように、このthe wayを熟語化した接続詞と考えてもいい。簡単に言うと接続詞asと等価なものと考えるわけだ。

ⓕSome things just don’t go the way you want them to.「自分の思い通りにはいかないことだってある」

ⓕ’ Some things just don’t go in the way you want them to.

the wayの直前に前置詞inがあれば、当然the wayは純粋な「名詞」だ。ⓕ’では、wayとyouの間で関係副詞howが強制的に消去されていると考えることになる。文法で習ったと思うけど、今の英語ではthe way howという言い方は認められていないんだ。

ⓕ’の前置詞inが省略されたのがⓕなんだけど、この文は「the way=as」と考えて分析することもできるんだ。the wayをasと同じ接続詞と考えると、もう「前置詞inが省略された」と考える必要もないし、「wayとyouの間で関係副詞howが省略されている」と考えることもない。

本文の③の

the way we would like it to be

についても同じように考えてもいいということだ。

単語は簡単なのに厄介な英文ではあったけど、③全体は「しかし、人生とは常に私たちが望むあり方であるわけではない」と訳していればOK。意訳して、「しかし、人生とは私たちが望むようなものであるとは限らない」のようにしてもいいよ。誤解してほしくないけど、訳が上手いか下手かが重要なんじゃなくて、英文を文法的に正しく分析して訳せているかどうかが重要だからね。大学受験は翻訳家の試験じゃないんだから。もちろん、あまりにも日本語として破綻している直訳はマズいんだけど、まあまずは「ぎこちなくても正確な訳が作れるかどうか」を気にしてほしいと思うよ。

のthe wayも同じように考えよう。2つのitは共にlifeを指しているよ。the way it isのところは、「それ(人生)のあり方」が直訳。

ⓖShe is not what she was ten years ago.

このwhat she was ten years agoも、単語は簡単だけど日本語に訳しにくい英語表現だよね。「10年前に彼女がそうだったところのもの」はゴテゴテの直訳で、流石に試験では減点を喰らうはずだ。意訳して「10年前の彼女」と訳すことになるね。

同じように④のthe way it isを意訳してみよう。「人生のあり方」とは、言い換えると「実際の人生」ということ。特にこの文脈では、

理想的な人生⇔実際の(ありのままの)人生

という対比が①からずっとあったわけなので、このthe way it isも「理想の人生とは対比的な実際の(ありのままの)人生」を言っているはずなんだ。

これを踏まえて④を訳すと、「それ(人生)はありのままのものでしかない」となる。つまり、「人生とはありのままのものでしかなく、それ以上でもそれ以下でもない」ということを述べている。

やっと最後まで来た!は有名な「The 比較級+the 比較級」構文であることはすぐに気付くと思うけど、2つの節の文型を正しく確定できただろうか?

greaterの元の形はgreatで形容詞。直後のour surrenderは名詞。この瞬間に、our surrenderがS’で、the greaterがC’だと思えた人はかなりの学力があると言える。to ~ momentは名詞surrenderを修飾しているから、our ~ moment全体をS’と考えてももちろんOK。

さて、そうすると、困ったことにV’が無いということになるんだ。知っている人もいるかもしれないけど、この構文では、従属節に当たるコンマの左側の節では、be動詞が省略されてしまうことがある。

The greater our surrender to the truth of the moment (is), ~

直訳すると、「その瞬間の真実に私たちの身を委ねることが大きければ大きいほど」。意訳すると、「その時々の真実に私たちが身を委ねれば委ねるほど」。ここのsurrenderを「身を委ねること」と訳したけど、辞書で最初に挙げられている「降伏」を無理矢理当てはめて平気な顔をしているのは、初学者なら仕方ないけど、みんなくらいの学力であればそうした姿勢からは一刻も早く卒業しないといけない。「おかしいな」と思ったら辞書に挙げられている語義を1つずつ検討して、自分が今取り組んでいる文章の文脈を手掛かりに意味を絞っていく。これができるかどうかも英語力が付くかどうかに直結する。「面倒くさいから辞書を引かない」は論外。

じゃあ最後のコンマの右のところだけど、the greaterはさっきと同じでCと考えることになる。つまりこれはSではないということをちゃんと予習の段階で考えられただろうか?

じゃあSは?will beはもちろんV。Sはwill beの後ろに来ているはずだとこの時点で予測できているのが英語力があるということ。our peace of mindがSだね。

⑤の文は、コンマの左が「CS(V)」の第2文型、コンマの右が「CVS」の第2文型というわけだ。

our peace of mindを「心の平和」と訳して平然としているのは、英語力ではなく日本語のセンスの問題。辞書を引かなくても「心の平穏」と訳してほしいけど、不安なら辞書を引けばちゃんと見つかるはずだ。

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