英語

#86 不思議な発音記号⑦[ʒ]

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2022/5/23

ブログ#69で、「英語の子音は、『無声音(喉が震えずに出る音)―有声音(喉が震えて出る音)』のペアを成している音が多くある」と言いましたが、前回扱った無声音[ʃ]とペアを成す有声音が[ʒ]となります。口の形・舌の位置は[ʃ]と同じままで、喉を震わせて出る音が[ʒ]です。(このʒという文字の名前はezh[eʒ]またはyogh[jouk]と言います。昔の英語ではアルファベットの1つとして使われていたようです。)

televisionやpleasureにこの[ʒ]の音が含まれています。

気を付けてほしいのは、[ʒ]の音は日本語の「ヂ」の音とは発音の仕方が違うということです。

日本語の「ヂ」は、舌が上の歯茎に一旦くっついて離れる時に出る音ですが、[ʃ]と同じく[ʒ]はそもそも舌が上の歯茎に付かずに出る音です。

日本語の「ヂ」の音は、英語の音声記号では[ʒ]ではなく[dʒ]に相当します。[dʒ]は2つの文字が含まれていますが、これで1つの音を表していると考えてください。

ちなみに、この[dʒ]は有声音ですが、これとペアを成す無声音が[tʃ]という音です。2つの文字を含みますが、これも全体で1つの音を表していると考えてください。日本語の「チ」に近い音です。なぜ「同じ」ではなく「近い」音なのかと言うと、日本語の「チ」には母音の[i]の音も含まれているからです。

これで、日本語の「た」はローマ字ではtaと書かれるのに、なぜ「ち」はローマ字表記でtiではなくchiと書かれるのかの謎は解けたでしょうか?

私たち日本人は、「た行」に含まれる子音を全部同じ音だと考えていますが、音声学的には

た[ta]

ち[i]

つ[tsu]

て[te]

と[to]

という具合に、なんと3つの異なる子音が含まれているのです!その違いを反映するために、ローマ字表記では

た ta

ち chi

つ tsu

て te

と to

と書き分けているというわけです。

「つ」に含まれる[ts]もこれで1つの子音(無声音)を表しています。catsのtsがこの音です。これとペアを成す有声音は[dz]という音で、cardsのdsはこの音に当たります。

 

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以下の単語には、[ʒ]か[dʒ]のどちらかの音が含まれています。辞書で発音を調べてみましょう。スペリングと発音の対応関係に法則が見つかるでしょうか?

decision  June  joy  leisure gentle  danger treasure  bridge judge usually

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