理科

雷のことを「稲妻」と言うのには理由があるの?

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2021/6/14

以前、海外在住の中学生の生徒さんから「稲妻と呼ぶのには理由があるのですか?」と質問されたことがありました。彼女いわく、日本から離れているからこそ、その表現が素朴に疑問だったそうです。


昔から「雷が多いと稲の実りがよくなる」と言われており、さらに雷と実りの関係性には化学的な根拠が存在します。雷による「放電」で化学反応が生じ、大気中の窒素分子の活性化が起こることで、「窒素酸化物」が生じます。通常、大気中に存在する窒素分子では、植物は窒素を吸収できません。しかし、活性化された窒素酸化物は「窒素肥料」の役割を果たすことが可能となります。このように、植物を育てる上で欠かせない三大栄養素のひとつである「窒素」を、雷は「自然の力」で植物が吸収できる形にする点が非常に画期的です。そして、雷はハーバーボッシュ法による窒素固定術が開発される以前の人間にとって、とても重要なものだったといえます。


このように、雷によって窒素肥料が自然にできて、稲の実りがよくなることを、先人たちは経験から知っていたのでしょう。そして、このことが雷を「稲妻」と呼んだ理由にもつながっていると考えられます。


中学2年生の理科の範囲で、「稲妻」というキーワードが出てきますが、おそらくほとんどの場合、特に気にも留めないところだと思います。ですが、この彼女のように、疑問を言葉にすることで、化学現象の深いところまで考えていくことが可能となりました。そして、化学の面白さを実感でき、学ぶことが楽しいともおっしゃっていました。このように私のレッスンでは、化学現象を深堀りするような「学問の楽しさ」についても学んでいきたいと考えております。もしレッスンに興味をもっていただけましたら、ぜひ一緒に頑張りましょう。



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