和歌のはなし
朝ドラの影響もあってか、このところ短歌が流行しているようです。
「57577」のリズムで、見たものや感じたことを言葉にしていくことは、遠く1000年以上も昔から、私たち日本人が楽しんできた遊びです。
同じものを、古文の世界では「和歌」といいます。中身は一緒です。喜んだり、怒ったり、なかには「貧しくて困っている。お米をくれ!」なんていうものもあるし、「すべきことはあるのにやる気が起こらない、今日の私」というものもあります。初めてわが子が歩き出したときの嬉しさ、亡くなってもう会えない人に向けた恋慕の思い、夏の暑さに何も考えられなくなっている等、和歌には「言葉にして伝えたいこと」がつまっています。
「その気持ち、わかる!」と思えたら、時代を超えて、場所を超えて、私たちは誰かとつながることができますね。古文や漢文を、そういう出会いの場と考えると、もっと勉強が楽しくなりますよ。
春の和歌を一つ。
み吉野の山辺に咲ける桜花雪かとのみぞあやまたれける
目で読むだけではつまらない。まずは音読してみましょう。
みよしのの やまべにさける さくらばな ゆきかとのみぞ あやまたれける
「み+地名」は、地名を飾った言い方です。
「吉野の山辺に咲いた桜。それはまるで雪かと見間違えるほど、本当に白く美しく見えるよ」
という内容です。
この和歌をよんだ紀友則(きのとものり。『土佐日記』の著者紀貫之(きのつらゆき)のいとこです。)さんは、平安時代前期の歌人(かじん)です。今の桜はピンクのイメージが強いですが、古典常識的には桜は白です。今でも白い桜ありますね。はっとするほどのあの白さを、友則は「雪のようだ」といいます。白い桜を見る時に、この歌を思い出してみましょう。その瞬間、あなたの脳内に1000年の時を超えて、この和歌がよみがえります。和歌は古くさい昔の遺物ではなく、今のあなたと共に生きる(=あなたを現代から解き放つ)ものになるはず。
古文が苦手な人、和歌が苦手な人、私と一緒に古文を楽しんでみませんか。
受験にむけた基礎力を養いつつ、過去の世界をよみがえらせる旅をしましょう。
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