手厚い漢語~いかした文章へのブラッシュアップ
2022/8/27
漢字というと中国から「輸入」したものである。また、和製〇語と聞けば和製英語を連想する。「それ、和製英語だから、欧米人には通じないよ。」などと指摘され、「ははあ。」と恐れ入ってしまう。でも、それより大事なものがある。「和製漢語」である。
再来年には一万円札が刷新されるので、慶応義塾出身者は寂しいだろうと思う。お札のデザインの肖像画が創設者である福沢諭吉先生ではなくなるからだ。でも、日本国民全体にとっても、残念なことだ。なぜならば、「経済」「経営」などのお金にまつわる漢語は、まさに福沢諭吉が作り出したものだからである。こういう語を和製漢語という。もちろん、日本資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一も新一万円札に十分ふさわしいとは思うが。
そもそも、中国の正式な国名である、「中華人民共和国」の「人民」と「共和国」はメイド・イン・ジャパンである。その国を動かしている「共産党」も和製。中国には多数の和製漢語が「逆輸入」されている。その理由に関しては今回のテーマではないので省くが、そのことは知っておいても損はない。
日本は幕末から明治にかけて、一気に欧米に追い付こうとして、大量の外国語(主に英語だろうが)を翻訳して新しい言葉を作ったのだ。漢字というものは表意文字であるため、文字を見ただけでイメージがわきやすい。最近ではデジタル関連の用語をはじめとして、外国語をただカタカナ語にしたものが多いが、杉田玄白、福沢諭吉、夏目漱石、森鷗外などの素晴らしい先人たちが、日本語にとけ込みやすいように漢語にしてくれた。ありがたいことである。
漢語とは主として音読みからなる二字か三字の漢字熟語である場合が多い。和製であるかどうかに関係なく、「漢語」は物事を論理的に考えるのに向いている。例えば、小学校低学年の子は「文化」「文明」「批評」などという言葉は使わない。彼らは思考する機会が少ないからである。これらの三つの語も和製漢語なのだが、学年が上がってくればくるほど、漢語を使う頻度が増える。
この文章は作文の上達のために書いている。同じ文でも幼稚な印象をもたれる言葉を使うより、漢語を多く使うほうが賢く見える。もちろん、内容が伴わないと却っておかしな文になる。だが、日頃から漢語に興味をもち意味をしっかり覚え、自分でも使えるように心がけておくと文章のレベルがぐんと上がるだろう。漢語を意識してみよう。それでは。
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