世界の中のVOS
タイトルを一瞥し、「世界の中のBoss」の間違いではないか、と思われたかもしれないがさすがにそうではない。PC入力でのただの入力ミスはたまにするものの、ボスをVOSと打ってしまようなことはいくら何でもしない。VOSとしたのには、わけがある。
日本語と英語を比較してみよう。英語は「私は(主語)= S」「どうする(動詞)=V」「何を(目的語)=O」という語順となる。これをSVO型としよう。「Tom eats lunch.」という英文を「Lunch eats Tom.=昼食はトムを食べる」という語順にすれば大変なことになる。一方、日本語の場合、語順には割合に寛容で、「トムは昼食を食べる」が基本ではあるが、「昼食をトムは食べる」でも、「食べる、トムは昼食を」でも通じないこともない。ただ、緩くはあるけれど、原則としては「トムは昼食を食べる」の順番に言葉は流れる。日本語に関しては、語順よりも「助詞」というのが大事で、「てにをは」などと呼ぶが、これらの語が意味を作る。ある意味ではこの助詞が日本語の命だと思う。因みに、ご承知のとおり英語には助詞などというものは存在しない。
世界の言語では、語順だけに着目してみたとき、意外にもSOV型つまり、日本語語順型が一番多いパターンらしい。もちろん、次に多いのがSVO型である。英語と中国語などは使う文字の印象からはまったくかけ離れた言語のようにも思うが、こと語順に関しては同じである。だから、同じように英語を習得するにしても日本人よりも中国人の方が早いと聞く。語順が同じだから、マスターしやすいのだろう。英語圏の人が日本語を学ぶのは本当にたいへんだと思う。まずは語順が違うし、助詞を理解するのも一苦労だと思うし、その上、漢字・平仮名・片仮名が混在する。例えば、数詞というものがある。「一本、二本、三本」、つまり、本の部分は順に「ぽん」「ほん」「ぼん」となるわけだが、これが規則的に繰り返されるかというとそうではない。五本からは「ほん」「ぽん」「ほん」のように続いてゆく。しかも、数詞は物によって違うため、それを一つ一つ覚えなければならない。気の毒と思う。
先の語順で言うとVOS型というのも、まれながら存在しているらしい。要するに、「食べる、昼食を、トムは」というのがごく普通の順番だというのである。世界は広いものだとつくづく実感してしまう。
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