現代文のキーワード ①「身体」は踊る💃
はじめまして。高校国語を教えています島田です。
今年の共通テストの評論では、「『ともに踊る』身体」などという表現がでてきましたが、この表現に含まれているニュアンスはわかりますでしょうか??
身体というと、単純にからだ、人体、というものが辞書的な意味ですが、
現代文のなかで出てくる「身体」はすこし違うイメージを持ちます。
それは、「踊ってしまうもの」だということです。
もっと細かく言うと、普段人間は、理性や精神といった知性でものごとを考え、行動しています。
わたしたちは危ないと頭で考えて、横断歩道をわたるときは注意して渡るし、カラスが近くに飛び立ってきたら、もしかしてこの近くに子育ての巣があるかもしれないと考えて警戒しながら進むでしょう。
これらは、頭で考えて(知性=理性=精神=意識=ロゴス)行動している人間の姿です。
でも本当にそれだけか。私たちは、意識外のところで、無意識に反応してしまうものがあるのではないか、なぜあんな夢を見るのだろう、なぜあのときとっさにあんな言葉をいってしまったのだろう・・・。
そんなことを説明するために、召喚されるのが「身体」という言葉です。
だから「身体」は私たちの理性では統御できない「他者」でもあります。自分の体なのに、他者であるもの。それが「身体」という言葉が持つイメージです。
じゃあなぜ、身体が大切なのか。それはフロイトが無意識を発見したからです。
人間には無意識があり、それが夢を見させ、見えない欲望を充足させています。
人間をもっとよく理解するために、人間が人間をより守るために、人間をもっと説明するために、簡単に理性では説明できない「身体」を近代の研究者は考えるようになったのでした。
共通テスト後半の問題は実はそんな文脈ともつながりそうな文章だったのです(^^♪
みなさんもよかったらほかの文章で出てきた「身体」という言葉を見返してみてはいかがでしょうか(^^♪