#111 『ジーニアス英和辞典』最新版をのぞいてみよう③~いつも大文字のI~
2023/5/2
固有名詞を除いて、英単語の中で文中のどの位置にあっても常に大文字で書かれる単語があります。そう、「私」を意味する人称代名詞のIですね。なぜこのIは小文字iと書かれることは決してないのか。不思議に思ったことはないでしょうか?
アメリカを始めとする連合国と交戦していた第二次世界大戦中の日本で、「英語のIが常に大文字で書かれるのは、英米のやつらが自己中心的だからだ」といった内容のことを集会で言った日本人がいたそうです。当然この意見には拍手喝采となったわけですが、はたして本当に「自分を指すIが常に大文字なのは、英語を話す人が自己中心的だから」なのでしょうか?
ということで、Iがいつも大文字なのは英語を使う人が自己中だからではなく、目立たせるための工夫に過ぎないというのが真相だったわけですね。そもそも、もし本当に自己中だからIを大文字で書くというのであれば、myやmeも常にMY、MEのように大文字で書くはずです!
ここの「中世英語」とは、前回のブログで説明した「中英語」のことです。(今では「中英語」という言い方の方が一般的です。)
その頃の一人称代名詞iは、今のように「アイ」ではなくて「イー」と発音されていたそうです。
また、このiはichのchが消えたものです。英語の一人称代名詞単数形Iに当たるドイツ語はichですが、中英語のichとドイツ語のichが同じ形をしているのは、もちろん偶然ではありません!英語もドイツ語も、「ゲルマン語派」という同じグループに属する兄弟みたいな関係であり、大陸からブリテン島に渡ってきたアングロ・サクソン族が話していた言語(これを古英語と言います)は、ドイツ語の一方言のようなものだったからです。
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