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#118 関東大震災を振り返る➀

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2023/9/1

1923年(大正12)9月1日午前11時58分、マグニチュード7.9の地震が発生し、関東地方を中心に甚大な被害をもたらしました。当時は「震度7」という階級は無かったそうですが、神奈川県や千葉県の被害状況は今で言う「震度7」に相当するそうです。

地震そのものの規模は最大級と言えるほどではなかったそうなのですが、東京や神奈川の人口密度の高い地域が被災し、特に大火災が起こったために、死者数約10万人、行方不明者を合わせると約14万人もの人が犠牲となりました。

東京・本所の被服廠跡地では、避難してきた4万人のうちの3万8千人が火事旋風(大火事に伴って生じる竜巻のこと)での焼死あるいは窒息死をするという大惨事となりました。

なぜそのような悲劇が起きたのか。今回からは、関東大震災からちょうど100年となる2023年9月1日付のthe Japan Timesの記事を読んでいくことにします。

ここに書かれていることは、遠い昔の、今の自分たちに無関係なことではありません。日本という地震大国に住む以上、自分事として捉えるべきことだと言えます。


The Great Kanto Earthquake: A wall of fire, a picture of hell

Items from the 1923 Great Kanto Earthquake are on display at the memorial museum in Yokoamicho Park in Tokyo. Here, a warped clock is frozen minutes after the quake struck at 11:58 a.m. on Sept. 1, 1923.

 “The clothing factory I saw the day after the disaster was indeed a sea of corpses. Those who died on the battlefield in a war were probably not as miserable as this ... A man who seemed to be a sumo wrestler died as if he was fighting in the ring, exerting all his strength against an invisible enemy.” —Yumeji Takehisa, “Tokyo Sainan Gashin”

The clothing factoryは、当時「被服廠」と呼ばれていた、陸軍の軍服を作っていた工場のこと。ただし1923年当時には、被服廠はすでに本所から別の場所に移転しており、更地になっていた。a sea of ~が比喩的に「たくさん」の意味であることは、日本語の「血の」(英語でもa sea of bloodと言う)と同じ。corpse「死体」。

sumo wrestler「力士」。大火災のあった被服廠跡地と両国国技館は極めて近い。the ringはこの文脈では「土俵」。exert「発揮する」。exerting以下は分詞構文。

Yumeji Takehisa「竹久夢二」は、大正時代に人気を博した画家・詩人。Tokyo Sainan Gashin「東京災難画信」は、関東大震災直後の東京の様子を文章とスケッチで描いた、新聞掲載のコラムのタイトル。

Around a 10-minute walk from Ryogoku Station in Tokyo’s eastern Sumida Ward is Yokoamicho Park. The neighborhood, known for its sumo stables and Kokugikan Arena, was also home to a military clothing depot and was a vacant lot of around 80,000 square meters when the Great Kanto Earthquake struck on Sept. 1, 1923.

Around a 10-minute walk from Ryogoku Station in Tokyo’s eastern Sumida Ward「東京東部の墨田区にある両国駅から歩いて10分の辺りに」は副詞句であり、文の主語にはなれないと考えられることが大切。isがVで、Yokoamicho ParkがS。Yokoamicho Park「横網町公園」(「横(よこづな)」ではなく「横(よこあみ)」)は都立公園で、被服廠はかつてこの辺りにあった。

neighborhood☞ブログ#94。known forのforは「理由」。sumo stables「相撲部屋」。was ~ home to☞ブログ#106。depot「(特に軍が所有する)倉庫」。vacant lot「空き地」。lotは「敷地」。Cf. parking lot「駐車場」。被服廠は、大地震発生の4年前(1919年)に他の場所に移転、その跡地に横網町公園が造られる工事が始まった直後に大地震が起こった。横網町公園が開園したのは1930年のことであり、震災犠牲者を慰霊する「震災記念堂」が建てられた。この建物は、東京大空襲での犠牲者を合祀することになり、「東京都慰霊堂」に改称、毎年9月1日と3月10日に慰霊大法要が開催されている。

It is also where the largest number of victims of the quake and its subsequent fires perished, as depicted above by acclaimed poet and painter Yumeji Takehisa in “Tokyo Sainan Gashin” ("Illustrated Report of the Tokyo Disaster").

関係副詞whereの直前で先行詞the placeが省略されている。perish「死ぬ」は、特に災害などで非業の死を遂げることを言う。as (it is) depicted ~のasは「~ように」。acclaimed「世間から称賛されている」。

Records indicate the weather that morning 100 years ago was a mixture of drizzle interspersed by clear, blue skies, after a typhoon-induced rainstorm subsided during the night. It was nevertheless turning into another hot and humid day, and people were preparing for lunch when, at 11:58 a.m., a gigantic convulsion estimated at a magnitude of 7.9 struck off the southern coast of Kanagawa Prefecture, rocking the capital, the neighboring city of Yokohama and beyond.

drizzle「霧雨」。intersperse「変化を与える」。ここは、霧雨の合間に青空が広がる情景を想像するところ。

Itは「天候」を表す。anotherがあることで、前日(8月31日)も蒸し暑い日だったことが窺える。were preparing ~ when ...は、過去進行形が表す出来事の最中で、突然思いがけないwhen以下の出来事が起こったことを表す構文。I was walking down the street when someone tapped me on the shoulder.「通りを歩いていると、誰かが私の肩をたたいた」。地震発生時は、折悪しくもちょうどお昼時であり、料理で火を使っている家庭が多かった。これが震災直後に火災が頻発した原因となる。convulsion「震動」。rock「揺さぶる」。rocking以下は分詞構文。the neighboring city of Yokohama「(首都と)隣接する横浜」のofは「同格」。and beyondは「さらにそれより遠くの地域」の意味で、埼玉県・静岡県・山梨県などを指す。この地震の揺れは、北は函館、西は広島まで人体で感じられたと言う。

Homes swayed, roof tiles rained on the ground and electricity poles reeled. Fires soon broke out amid the many collapsed wooden structures — exacerbated, likely, by the fact people would have been using stoves to cook their lunches — and quickly spread to more than 130 locations covering all 15 wards of Tokyo. Plumes of smoke darkened the skyline and, fueled by strong winds from a passing typhoon, the many fires began merging into raging infernos, engulfing entire neighborhoods.

swayやreelの意味を知らなくても、大地震の様子を描いているという文脈から、情景は想像できるはず。sway「揺れる」。roof tiles「瓦」。rainを「雨が降る」と訳すのは、何も考えていない証。rain「雨のように降る、降り注ぐ」。reel「ゆさゆさと揺れる」。

amid=among。collapsed wooden structuresは「倒壊した木造の家」を指す。2つのダッシュ記号(—)の間は分詞構文で、「火事がさらに激しくなった理由」を説明している。exacerbate=worsen。likelyは「多分」の意味の副詞。構造上はexacerbated ~ by ...「・・・によって悪化した」とつながる。people would have beenのwouldはwillとほぼ同じ意味の推量の助動詞。後ろの完了形have beenは過去の出来事(大地震の時の出来事)を表す。きっと人々は地震発生時にお昼ご飯の準備で焜炉(stove)を使っていて、多分それが原因で火事が大きくなったと筆者は推測している。2つ目のダッシュ記号の後ろで本筋に戻る。and ~ spreadのandは、過去形brokeと過去形spreadを対等につなぐ接続詞。よってspreadの主語はFiresだということになる。火事がすぐに東京市全15区の130地点に広がったと述べている。今の東京23区に当たる地域は、当時は「東京市」と呼ばれ、全部で15の区に分かれていた。(今回の舞台である「本所区」は今の墨田区の一部になる。)東京市が廃されたのは1943年(この年同時に「東京府」は「東京都」になる)、今の23区が成立したのは1947年のこと。

plumeは「羽」の意味だが、ここでは比喩的に羽のような形をした煙を表現している。plumes of smoke「もくもくと空に立ち上る煙」。skylineは「建物・山などが空と接する境界線」のこと。fueled ~ typhoonは分詞構文。andはPlumes ~ skylineとthe ~ infernosという2つの文をつなげている。fueled by strong winds from a passing typhoonの意味上の主語はthe many fires。130ヶ所以上で起こった火災は、付近を通過中の台風からの強風の影響で激しさを増したと言っている。merge into ~「合体して~になる」。raging「猛威を振るう」。inferno「大火、灼熱地獄」。ダンテ作『神曲』を構成する全3篇の最初が「地獄篇」だが、イタリア語ではInfernoと言い、これが英語になったもの。engulf「覆い尽くす、呑み込む」。engulfing以下は分詞構文。

The magnitude-7.9 earthquake that struck on Sept. 1, 1923, was situated off the southern coast of Kanagawa Prefecture but did extensive damage to Tokyo.

In Sumida, residents called on each other to evacuate to the site of the former military clothing factory, which seemed to be a perfect, open space to seek shelter. They retrieved important belongings and furniture from their homes and hauled the objects over to the field, using them to create makeshift barricades. Now, they could just wait for the fire to burn itself out — or so they hoped.

call on ~ to do「~に・・・するよう求める」。evacuate「避難する」。the site of the former military clothing factory「以前陸軍の被服廠があった場所」。➄で説明したように、この時点ではすでに空き地(open space)になっている。seek shelter「避難する」。

retrieve「回収する、持って来る」。haul「引きずる」。using以下は分詞構文。makeshift「間に合わせの、その場しのぎの」。barricade「バリケード、障害物」。

ダッシュ記号の左は、「家から持ってきた家財道具で被服廠跡地周囲にバリケードを築いて安全を確保したので、あとは周囲の火事が自然に鎮火するのを待つだけで良かった」という内容のことを言っている。or so they hoped「あるいは人々はそうなることを願っていた」。soはダッシュ記号の左の文の内容全体を指す。わざわざ「願っていた」と書いていること自体が、事態がそのように進展しなかったことを暗示している。

A few hours and several major aftershocks later, the blaze reached the depot, surrounding the evacuees with a wall of fire that quickly spread to their clothes and possessions. More than 38,000 people were burned alive then and there — accounting for over half of the death toll Tokyo recorded, and a third of the total of 105,385 people who perished.

aftershock「余震」。blaze「火炎」はflameより意味の強い語。surrounding以下は分詞構文。surround ~ with ...「~を・・・で囲む」。evacuee「避難者」。

aliveは形容詞で、主語の状態を説明する補語。account for ~「~を占める」は割合を表す熟語。accounting以下は分詞構文。death toll「死者数」。関東大震災によって東京市内で亡くなった人(7万人弱)の半数以上が、この被服廠跡地での火災による犠牲者だと書かれている。a third以下は、その犠牲者の数が関東大震災のために全国で亡くなった人の中では3分の1に当たるという内容である。

Today, a memorial hall stands on the spot where this living nightmare took place and the park serves as a kind of ossuary, where the remains of those who died are enshrined. A memorial service is held each year on Sept. 1 to pray for their souls.

livingは強調語。nightmare「悪夢のような出来事、最悪の事態」。ossuary「納骨堂」。remains「遺骨」。enshrine「(聖堂などに)祀る、安置する」。

memorial service「追悼式」。

The Memorial Hall in Yokoamicho Park

Established in 1930, Yokoamicho Park is among the diminishing number of locations in Tokyo that preserve the fading memories of a century-old catastrophe. And a lot can happen in 100 years, a period during which the capital underwent a dramatic transformation from a quake-ravaged — and then war-torn — city to a slick, modern metropolis.

Established in 1930は分詞構文。among ~「~のうちの1つ」。関係代名詞thatの先行詞がTokyoではなくlocationsであると断言できるのは、preserveに3単現の-sが付いていないから。catastrophe「大災害」。

canは「あり得る」という一般的な可能性を表す(☞ブログ#70)。a periodは100 yearsと同格。during whichは「前置詞+関係代名詞」。from a ~ cityの不定冠詞aと名詞cityのつながりを見失ってはならない。最初のダッシュ記号直後のandは、quake-ravagedとwar-tornという2つの形容詞用法の過去分詞を結び、その2つの過去分詞がcityを修飾していると分析できるのが、本当の意味で英語力があるということ。quake-ravagedはravaged by a quake「地震により荒廃した」から、war-tornはtorn by a war「戦争によりずたずたに引き裂かれた」から作られた表現。前者では関東大震災が、後者では第二次世界大戦が念頭に置かれている。transformation from ~ to ...「~から・・・への変貌」のつながりに気付くことも大切。slick「なめらかな」は、関東大震災や戦争で荒廃した土地がきれいに整備されている様を言ったもの。

These monuments from the past — hidden among glitzy high-rises and down obscure, narrow alleys — are reminders of humanity's courage, vulnerability and ruthlessness after experiencing a tragedy of unprecedented scale, lessons that continue to resonate in a disaster-prone nation bracing for the next big earthquake.

glitzy「華やかな」。high-rise「高層ビル」。among ~ and down ~が2つのダッシュ記号の間の骨格。downは「下り坂」ではなく「道に沿って」というニュアンスの前置詞で、alongとほぼ同義。横網町公園にある関東大震災を偲ばせる物が、周囲を高層ビルに囲まれ、分かりにくく狭い路地の先にひっそりと佇んでいる様を想像しながら読む。reminder「思い出させる物」。vulnerabilityは、自然災害の前には為す術もない人間の弱さを言っている。ruthlessness「無慈悲」は、次回見ることになる「朝鮮人虐殺事件」を指す。unprecedented「前例の無い」。lessons「教訓」は、humanity's courage, vulnerability and ruthlessnessという3つの名詞と同格関係にある。resonate「鳴り響く」。disaster-prone「災害が起こり易い」。brace for ~「~に備える」。

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今日は久しぶりに防災グッズを点検しました。すると、賞味期限切れの缶詰がいくつも出てきました😅やはり1年に1回は点検しないとダメですね・・・!

また、ずっとしようと思っていたけど先延ばしにし続けていた家具転倒防止も、この機会にやりました!

Save for a rainy day!「備えあれば患いなし」

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