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#70 英語と写真でバーチャルツアー⑩~吉野山・千本桜~

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2022/4/3

寒かった冬も終わり、いよいよ春がやってきました。春と言えば桜。桜と言えばお花見(お花見と言えば団子?)ですが、今回は全国屈指の桜の名所であり、「千本桜」で有名な奈良県・吉野山の桜を愛でに参りましょう🌸

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Mount Yoshino is located in Nara Prefecture and is currently known as one of the top cherry blossom spots in Japan. The sakura trees you will see in Yoshino are over a millennia old and the beautiful slopes are covered with over 30,000 cherry trees. During the cherry blossom festival, these mountains look as if they are floating. We decided to take a day trip to Mount Yoshino in order to see this beautiful place for ourselves.

currently=at present; now。blossomは「果実がなる木に咲く花」。apple [peach] blossom「リンゴ[モモ]の花」。

treesとyouの間で関係代名詞の省略。a millenniaは誤記。millenniaは複数形だが、ここはaの後ろなので単数形millenniumを使うべきところ。millenniumはcenturyの10倍。(西暦2000年には世界中が新しい「ミレニアム」の到来を讃えていたが、正確には新しいミレニアムの始まりは2001年。)over a millennium old=over a thousand years old「千年以上」。slopeはここでは「山の斜面」。

「as ifの後ろでは仮定法を使う」というのは、受験英語で学ぶ正式の英語。実際にはこのように現在形が使われることがある。

take a day trip to ~「~へ日帰り旅行に行く」。for ourselves「自分たち自身のために」。

 

Once you arrive in Yoshino, you can pick up a local map and start exploring. There are several street food stalls located just in front of the train station entrance. If you are hungry, this is a good time to grab a bite. During the sakura season, there are free shuttles you can take from the train station to the centre of the town. We recommend walking up the mountain, on the narrow pathways, as the views are worth it. You will be walking next to gorgeous cherry trees and the paths are well marked and paved.

Onceは接続詞。「いったん~すると(from the moment that ~)、~するとすぐに(as soon as ~)」。Once you have crossed this river, you’ll be safe.「この川を渡ってしまいさえすればもう安心ですよ」。I’ll call you once I have arrived.「着いたらすぐに電話します」。本文のOnceは「~するとすぐに」。onceの接続詞用法は

If [When; as soon as] once ~

のIf [When; as soon as]が省略されてできたものと言われている。youを私たち日本人は「あなた」と機械的に訳してしまいがちだが、「一般の人」を表すyouなので訳さない方がよい。この文章に出てくるyouは全て「一般の人」を表す。pick up ~「~を手に取る」。exploreは「探検する」とふつう訳されるが、日本語の「探検」には「南極探検」のような、人類未踏の地を調査するという語感がある気がするので、本文のexploreの訳としてはいかにも大袈裟な感じがする。ここでは「見て回る、見物する」くらいの日本語の方がよいのでは。explore=travel around an area to learn about it。

stallはブログ#59で登場したstand「屋台、売店」と同じ意味。There be S p.p.はS be p.p.のつもりで訳すと自然な日本語になることがある。ここも「駅入口の真ん前に位置している食べ物の屋台がいくつかある」よりも、「食べ物の屋台が駅入口の真ん前にいくつかある」と訳した方がより自然。

grabはここでは「急いで食べる」、biteは「軽食(snack☞ブログ#59)」の意味。

shuttleは「スペースシャトル」や「シャトルバス」の「シャトル」の語源。「2地点の間を往復する」イメージの語。シャトルバスは、たとえば「駅⇔ホテル」のように比較的近距離を往復するバス。スペースシャトルは、地球と宇宙ステーションの間を往復していたNASAの有人宇宙船。ちなみにバドミントンの「シャトル(羽根)」は英語でshuttlecockと言うが、これも2人のプレーヤーの間を「往復」するから。cockはcork「コルク」が訛ったもの。元々はコルクに鳥の羽根を付けたものが使われていたらしい。

pathwayはpath「小道」と同じ意味。人や動物が踏み固めてできた(または人間が切り開いた)野山の小道や、庭・公園の小道を指す。asは日本人泣かせ(?)の多義的な接続詞。ここでは「理由(because)」の意味。itはwalking ~ pathwaysを指す。asの後ろは「眺めは山の小道を登っていく苦労に値するほど素晴らしい」ということ。

next toは熟語の前置詞。gorgeousは安易に「ゴージャスな」とせずに辞書を引く。「豪華絢爛な」。英英辞典にはmaking a striking impression upon the eye; strikingly beautifulと説明がある。the gorgeous sunset「目が醒めるほどに美しい夕日」。山道が「印を付けられ(marked)」ているというのは「道順を示す標識が設置されている」ことを言っていると推測してほしいところ。pave「舗装する」。

At the top, you will enter the town of Yoshino where several locals have stalls with food, restaurants and souvenir shops. As you can expect, during the season, all of them are quite packed and the roads, as narrow as they are, can be very busy with tourists from all over the world. A bit of patience is required. Don't stop, but keep on going up the mountain. En route, you will encounter several shrines and beautiful gardens. Take your time, admire them, photograph them up-close. The further up the mountain you get, the less busy it will get.

the town of Yoshino「吉野町」。whereは直前にコンマが無いが、ここでは非制限用法と解すべきところ。localsは複数形の-sが付いているので名詞。「地元の人」。

Asは「~ように」の意味の接続詞。themは⑪のlocalsではなくstalls with ~を指す。be packed=be crowded。as ~ areが「挿入」であることを前後のコンマが示している(☞ブログ#9②)。as narrow as they areの意味を正しく取れた人は相当の英語力の持ち主。大学受験の英語で習う「譲歩構文」の1つに「~ as S be」がある。

ⓐOld as he is, he is strong.「彼は年老いているが頑健だ」

このoldはisの後ろからasの前に移動したと説明されることがあるが、元は

ⓑAs old as he is, he is strong.

のようにas ~ asの比較構文であり、また分詞構文だったと考えられる。実際ⓑのように文頭のAsが消えていない言い方はアメリカ英語では見られる。ⓐであれⓑであれ、コンマの左の内容と右の内容は「逆接」の関係になっているので、どちらも

ⓒThough he is old, he is strong.

と同じ内容を表現している。

ただし、ⓐやⓑの構文で、コンマの左と右が「順接」の関係になっている時もある。

ⓓ(As) Old as he is, he is weak.「彼は年を取っているので体が弱い」

この場合は次の文と同じ意味になる。

ⓔAs he is old, he is weak.

結局、「(As) ~ as S be」という特殊な構文が「逆接」と「順接」のどちらの意味を表しているのかは、コンマの前後の意味関係を考えないと決定できないということである。

本文に戻ると、as narrow as they areの「as ~ as S be」も、今説明した特殊構文である。なので解釈の可能性は下の2つ。

「道は狭いけれども、世界中からの観光客でとても混むことがある」【逆接

「道は狭いので、世界中からの観光客でとても混むことがある」【順接・理由

もちろん「順接」が正解。ここの文は、

the roads can be very busy with tourists from all over the world because they are narrow

と同じ意味を表している。the roads ~ can be very busyのcanはかなり難しい。このcanは「可能性」を表すとされるが、可能性のmayとのニュアンスの違いを知っていることが望ましい。

ⓐMeg can be very angry.

ⓑMeg may be very angry.

まずⓑから考えると、この文は「メグは()すごく怒っているかもしれない」という意味を表している。このmayの表す「可能性・推量」は、「今現在のメグ」の精神状態のみを対象にしていて、「ふだんのメグ」の精神状態は対象としていない。

一方で、「可能性のcan」の使われているⓐの文は、「今現在のメグ」の精神状態については何も言っていなくて、むしろ「ふだんのメグ」の精神状態を説明している。この文が伝えているのは「メグはふだんすごく怒ることがある」という内容である。ある人物が今すごく怒っている可能性があると言いたい時はⓑのようにmayを使うが、その人がふだんから怒りっぽいということを言いたければⓐのようにcanを使う。ⓐは

ⓐ’ Meg is very angry sometimes.

のように、「現在形+sometimes」で書き換えてもよい。本文のthe roads ~ can be very busyもcanが使われているので、「ふだん起こり得る道路状況」が述べられている。(もちろんこの文脈では「ふだん」とは言っても「一年中」ということではなく、「花見の時期」の中での「ふだん」である。)もしmayを使うと「は道路がとても混雑しているかもしれない」という話になってしまい、文脈にそぐわない。⑫の後半は特殊構文「as ~ as S be」と「一般的な可能性を表すcan」があってかなり難しかったが、「狭い道路なので、世界中から来た観光客でごった返すことがある」という内容を述べている。

En routeはフランス語から来た表現でon the way「途中で、道すがら」の意味。

Take your time=Don’t hurry。admire=look at with wonder, pleasure and satisfaction。photographは動詞。up-closeについては☞ブログ#48

The further ~, the less ~は大学受験の英語で有名な「the 比較級, the 比較級」構文。furtherは「距離」の意味ではfartherと書くべきだと昔は言われたが、今では辞書でも「距離」のfurtherは標準語法として認められている。itは「状況」を漠然と表す。「山を登れば上るほど、人混みは少なくなっていくだろう」。

Visit the Kinpusenji Temple and Yoshimizu Shrine. Venture to Yoshimizu Shrine which offers famous views of the mountains. If you packed lunch with you, enjoy a hanami picnic under the sakura trees. Alternatively, we recommend popular Japanese food such as a hearty ramen, silky tofu katsu or delicious bento boxes. We went to a restaurant which offered beautiful views over the mountain slopes, all covered with cherry trees. It was incredible.

Kinpusenji Temple「金峯山寺」。Yoshimizu Shrine「吉水神社」。

Venture to ~=Dare to go to ~「思い切って~に行ってみなさい」。whichは直前にコンマが無いが非制限用法(☞⑪)。

Ifの直後の過去形は常に仮定法過去ならず。主節に助動詞の過去形would/should/could/mightが無いことをヒントにする。

ⓐIf he was at the party, he would speak to her. 「もし彼がパーティにいるなら、彼女に話しかけてくるだろう」

主節に助動詞の過去形wouldがあるので、if節内のwasは「仮定法過去」と判断する。仮定法の文なので、if節も主節も時間的には「今現在」を指し、内容的には「事実の反対」を表現している。つまり、「実際には彼はパーティに参加していないので、彼女に話しかけてくることはない」という現在の事実が、ⓐの文の前提になっている。

ⓑIf he was at the party, he no doubt spoke to her. 「もし彼がパーティにいたのなら、きっと彼女に話しかけただろう」

ⓐと同じくif節内に過去形のwasがあるが、主節に助動詞の過去形would/should/could/mightが無いので、「仮定法過去」ではなく「ふつうの過去形」と判断しなくてはいけない。ふつうの過去形ということは、時間的には過去を指しているということになる。「実際に彼があの時のパーティに出席していたかどうかは私には分からないが、もし出席していたとすれば」というのがif節内の内容。ⓐとⓑのif節内の内容の違いは2点。

・ⓐは時間的に「現在」、ⓑは時間的に「過去」

・ⓐでは「彼がパーティに出席していない」というのが事実として確定しているが、ⓑでは「彼がパーティに出席していなかった」というのが事実としては確定していない(=出席していた可能性も出席していなかった可能性も両方ある)

本文に戻ると、if節に過去形packedはあるが、主節に過去形の助動詞would/should/could/mightは無いので、このpackedは「仮定法過去」ではなく「ふつうの過去形」と判断する。時間的には「過去」、if節の内容が事実であった可能性も事実でなかった可能性も両方ある。このpackは「持ち歩く(carry)」という特殊な意味で使われている。withは「携帯」を表す。「もしお昼ご飯を持ってきていたとしたら」がif節の意味。

Alternatively=As another suggestion。直前の提案とは別の提案を述べる前置き。hearty=plentiful。ramenはどれくらい英和辞典に載っているか興味が湧いて調べると、8冊中3冊に載っていた(意外に少ない!?)。

restaurant☞ブログ#46。views over ~「~の眺め」。overの「全体を覆う」ニュアンスが活きている。all covered以下は補足的にthe mountain slopesを説明している。the mountain slopes, which were all covered with cherry treesのように非制限用法の関係詞を使って書いたのと意味は同じ。

We went all the way to the Kami Senbon (upper area of Yoshino). This area is less crowded but it also offers more restricted viewing points. However, there are still several cherry trees in the area which usually bloom a week later than the rest, due to their location up the mountain. So if you still wish to visit Yoshino, but later in April, this is a good place for photography.

all the wayは「道程全体」を表すところから「移動距離の長さ」を強調する。Thank you for coming all the way from Hokkaido.「遠路遥々(はるばる)北海道からお越しいただきありがとうございます」。the Kami Senbon「上千本」は、吉野山の桜が密集している4つのエリア(下千本・中千本・上千本・奥千本)のうちの1つ。吉野山の「千本桜」という名称の由来は、圧倒的な数の桜を形容する「一目千本」から。200種・30,000本もの桜が、下千本→中千本→上千本→奥千本と山の下から上へと順に開花していくので、4月の約1ヶ月間もの間お花見が楽しめると言われています。

上千本

bloom「咲く」。

but (you still wish to visit it) later in Aprilの省略を考える。「だから、もしもまだ吉野を訪れたいと思っていて、ただし訪れる時期は4月のもっと後の時期になるのだとしたら、ここは写真撮影に適した場所です」。この英文の筆者が吉野山を訪れたのは4月中旬なので、later in Aprilは「4月下旬」と考えていい。

Yoshino is all about walking, enjoying your time in nature, and photographing the most beautiful sakura in Japan.

be all about ~は、簡単な単語しか使われていないのに意味を取るのが難しい表現。

ⓐThis book is about cooking.「この本は料理についてのものです」

Sである「この本」の内容が「料理」であることを示しているのが、「関連」を意味するabout。この使い方が発展したのが、

ⓑA good marriage is (all) about trust.

におけるabout。(allはただの強調表現なので気にしなくてOK。)直訳すると「良い結婚は信頼についてのものです」となり意味不明だが、さっきのⓐと同じように、「Sの内容=aboutの後ろの名詞」と考えると、

「良い結婚」の内容(本質)は「信頼」である

となる。分かり易く言うと、「良い結婚の最重要の要素は信頼である(The most important part of a good marriage is trust.)」ということを述べているのがⓑの文。この文は、関係代名詞whatを使って

ⓑ’ Trust is what a good marriage is (all) about.

と書き換えることもできる。類例:That’s what life is (all) about.「それが人生の内容(本質)だ」→「人生とはそんなものだ」。本文に戻って㉘を訳すと、「吉野の内容(本質)は、散策したり、自然の中で楽しい時間を過ごしたり、日本で最も美しい桜の写真を取ったりすることです」→「散策したり、自然の中で楽しい時間を過ごしたり、日本で最も美しい桜の写真を取ったりすることが吉野の醍醐味です」。

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