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#129 『ライトハウス英和辞典』最新版のお薦めポイント⑤~前置詞の図解~

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2024/1/14

多くの前置詞は時間的・空間的意味を表します。

⑴He arrived at the station at 8:30 yesterday.「彼は昨日8時30分着いた」

⑵She arrived in Tokyo in the early evening.「彼女は夕方東京着いた」

これらの例文では、英語の前置詞at/inが日本語の助詞「に」に相当していますが、なぜ⑴では「に=at」なのに、⑵では「に=in」となっているのかは、「at=に」「in=に」という表面的な理解では分かりません。

atやinといった前置詞は、日本語訳を覚えるだけでなく、「イメージ」を捉えることが大切です。

『ライトハウス英和辞典 第7版』のat/inの図解

「at=に」「in=に」では見えてこなかった前置詞の正しいイメージが、ビジュアル的に分かりやすく提示されていますね。

こうしたイメージを理解することで、各前置詞の持つ幅広い用法を無理なく理解していくことができるようになります。

atの「」のイメージから、行為・感情の「対象・目標」の用法も難なく理解できるはずです。

⑶His remark was aimed at me.「彼の発言は私に向けられたものだった」

⑷We were surprised at the news.「私たちはその知らせに驚いた」

どちらも「弓で狙う的」のような「点」のイメージがありますね!

inの「広がりの中にある」というイメージは、「着用」や「状態」の用法を生み出します。

⑸She was all in black.「彼女は全身黒ずくめの服装をしていた」

⑹We were in danger then.「その時の私たちは危険な状態にあった」

⑸は、「彼女の体」が「黒」の中にすっぽりと入っているイメージで捉えられます。ただし、客観的に見れば体全体が覆われていなくても、こうした「着用のin」は使えます。

⑺Do you know that man in glasses [a hat]?「眼鏡をかけた[帽子をかぶった]あの男と知り合いなのですか?」

全身ではないですが、「目のあたり」や「頭」といった体の一部が眼鏡や帽子で覆われています。

⑹についても、「私たち」が「危険」の中にすっぽりと入っているイメージを持てればOKです。

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こうした「前置詞の図解」は、今の学習英和辞典では珍しくありません。

ですが、今では当たり前になった感のある前置詞の図解の源流は、おそらくはライトハウス英和辞典なのです。

今の「ジーニアス英和辞典」や「ウィズダム英和辞典」にも分かりやすい前置詞の図解がありますが、初版(それぞれ1988年/2005年刊行)にはありません。

しかし、ライトハウス英和辞典の前身であり、1972年に刊行された「ユニオン英和辞典」には、前置詞の図解がすでに見られるのです!「前置詞の用法説明にさし絵を利用したことも新しい試みであろう」と、同辞典はまえがきで述べています。

 

『ユニオン英和辞典 初版』のat/inの図解

(「尋ね」は「訪ね」の誤字)

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前置詞の用法は多種多様で、英語学習者にとっては実に厄介です。

だからこそ、もしお手持ちの辞書に前置詞の図解が載っていたら、それを有効に活用することをおすすめします。

複数ある前置詞の意味を訳も分からず丸暗記することは苦行以外の何物でもありませんが、基本イメージから用法が豊かに派生していく流れを追体験することは、必ずや楽しい学習経験になるはずです。

『ジーニアス英和辞典 第6版』のunderの図解

『ウィズダム英和辞典 第4版』のbehindの図解

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