#75 伊東先生の英作文教室②

前回の授業では「~がある(いる)」という存在を表す英語の言い方を学習したね。
今回もその続きなんだけど、「~はいない」という否定バージョンがテーマだよ。それでは➀から。
まず最初の文だけど、「~な人はいない」はNobodyやNo oneを主語に立てると英語らしくなる。There is構文と関係代名詞を使って
There is nobody that ~
のようには言わないんだ。
ここで難しいのが「時制」の決定で、この文が言おうとしているのは「これまでに~した人はいない」ということのはずだから、「過去形」ではなく「現在完了形」を使うのが適切。もし過去形で書いてしまうと、「サンタクロースを見た人は過去にはいなかったけど、今ではいる」というふうに聞こえてしまう。
×Nobody saw Santa Claus.
〇Nobody has ever seen Santa Claus.
everが使えれば申し分ない。everがあることで、現在完了の「経験」用法であることがハッキリするから。
では②に行こう。
「けれども」はButでOK。時々「文頭にButを置くのは望ましくない」という意見を聞くことがある。これは英語圏でも一部の人によって信じられている「ルール」のようなんだけど、実際には「文頭のBut」は広く使われている。入試の長文でも「文頭のBut」にお目にかかることは珍しくない。
この「文頭のBut」という問題が英和辞典ではどのように扱われているのかが気になったので調べてみたんだけど、「文頭のBut」について触れていたのは「ジーニアス英和辞典」と「ウィズダム英和辞典」の2つだけだった。

ジーニアス英和辞典による「文頭のBut」の説明

ウィズダム英和辞典による「文頭のBut」の説明
こうした辞書の記述から、「文頭のBut」の使用は実際には広く行なわれ、またかつてほどは誤りと考えられていなくなってきていることが分かる。
辞書の他にイギリスで出版されている語法書も調べてみたけど、「会話体で文章を書く時には文頭にButが使われる」と説明しているものや、「文頭にButを置くことは間違いではないがあまり多用しない方がよい」とするものもあった。
結論としては、論文のような堅い文章では「文頭のBut」は望ましくないけど、それ以外の場面ではたまに使うくらいなら問題ないといったところだろうか。
大学受験の英作文でも、小論文型の自由英作文では「文頭のBut」は避けた方が一応無難だろうけど、仮に文頭でButを使ったところで減点されるとも考えにくい。ただし、語法書にも書いてあったように、使うにしても1回までにしておいた方がいいと思う。「文頭のBut」が何度も登場する文章はさすがに印象はよくないからね。
今回の問題では、別に論文ほど堅苦しい文章を訳しているわけではないから、「文頭のBut」を使っても問題ないと思うよ。
むしろ、日本人の英作文で問題なのは、文頭のButの使用よりも「butの直後のコンマの使用」の方だろうね。日本語では「しかし」の後ろに読点(、)を打つことがあるけど、同じ感覚でbutの後ろにコンマを付けないように気を付けよう(☞ブログ#9➀)。
では続きを見よう。
「それは~という証明にはならない」は、it doesn’t prove that ~でOK。proveの代わりにshow「示す、証明する」でもいいよ。あるいは「証明にはならない」→「意味しない」と言い換えてit doesn’t mean that ~でもOKだよ。
予備校や塾の模範解答とかだと
it doesn’t follow (from the fact [it]) that ~
のような難しい構文が使われたりするんだけど、受験生がこうした難しい言い方を真似するメリットはほとんど何もないと言っていい。格好つけようとしてわざわざ難しい言い方で書いても、間違いがあれば容赦無く減点されるだけだからね。「ハイリスク・ノーリターン」と言っていいんじゃないかな。
最後に「サンタクロースがいない」のところだけど、
there isn’t Santa Claus
は間違い。前回説明したように、「There is構文」の主語に特定化された名詞は使えないから。Santa Claus doesn’t existが正解。existも基本語だからできたら使ってほしいけど、思い付かなければSanta Claus isn’t in the worldのように書いてもいいね。あるいは「存在する」という意味の形容詞であるrealを使ってSanta Claus isn’t a real personとも言える。


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