王朝時代のTik Tok
清少納言が現代に生きていれば、間違いなくブログをやり、人気ブロガーになり、本も刊行してベストセラーを連発するエッセイストになっているでしょう。日常のちょっとした面白いシーンをTik Tokに上げたり、綺麗なお気に入りのお召し物の写真をインスタグラムにアップしたり、と現代の文明の利器をフル活用していると思います。残念ながら、約千年前の時代にはそんなものはなく、紙と筆というツールに頼るしかなかったのです。
「君俟つと 我が恋をれば わがやどの すだれ動かし 秋風の吹く」、万葉集、額田王。あなたを待って私が恋しく思っておりますと我が家の戸のすだれを動かして秋風が吹いてきます、と口語訳はこんな感じで、「何だ、愛しいあの人かと思ったら、ただの風か」という額田王の落胆が千年以上の時を超えて伝わってきます。額田王は言うまでもなく女性ですから、現代に置き換えると次のようになるでしょう。「LINEが来たので大好きな〇〇君からかと思って急いで見てみると、何だ、ブー太郎からか、とがっかりして読みもしない。」高貴な額田王になぞらえるのもどうかと思いますが、人間などいつの時代も同じだと私は思います。
古典、古文というと異次元・異世界のことのように感じがちです。もちろん、生活の便利さなどはまるで違います。でも、そこで生活しているのは私たちと同じ生身の人間なのです。古典は文語で書かれていますから、余計に違和感をもつと思いますが、結局のところ人間はいつの時代も同じなのだということを学ぶのも古典学習の意義だと思うのです。
清少納言のことを、同時代の才女である紫式部がライバル視していたと習ったことがあります。あれほどの才能をお互いに嫉妬し合っていたのではないかということは想像がつきます。時代が進んでも、人間はジェラシーという感情を克服できるほど進化していません。愛しい人とコンタクトがとれなけば寂しいし、近しい人が絶命すれば悲しいし、人間のメンタルは全然進化していないと思うのです。何だ我々と同じなのか、という視点で古文を読むとまた見方も変わってくるかもしれません。では、これにて。
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