英語

#130 共通テスト・英語リーディング(2024年度本試験)

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2024/1/20

2021年から始まった共通テストも今年で4回目となりました。

共通テストの英語リーディングを解いてみました。

私は共通テストの英語については、英語の学力試験としてはほとんど評価していません。

今の共通テストの英語の問題が、大学入学を志す受験生の英語力を多角的に測るものではなく、ただの「情報探し(宝探し)」を求めるものでしかないからです。

出題される英文も例年味気の無いものが大半で、さながら金太郎飴のよう。

だからここでは、つまらない本文(失礼!)の内容の解説や、「本文の読み方」とか「設問の解き方」といった話ではなく、英語表現として興味を惹かれたところを中心に扱いたいと思います。

1⃣A

flyerは単語集に載っていないものの、知っているとよい単語。「飛ぶように人々の手に渡って行く物→チラシ、ビラ」と覚えよう。

feeは重要語。price/cost/charge/fare/rateなどの類義語といっしょに覚えておこう。

reception deskはfront deskとも言い、日本語で言う「フロント、受付」のこと。

couscous「クスクス」は知らなかった・・・。小麦を粉砕して作る北アフリカの料理名とのこと。

 

staff memberは可算名詞で一人一人の「スタッフ、職員」。staffだけだと不可算名詞(集合名詞)で「スタッフ全体、全職員」を意味する点に注意。

1⃣B

first thing in the morningは熟語で「朝一番に」。last thing at night「一日の最後に」と対を成す。

※問2のOn all three toursという文言から分かるように、選択肢が示す4項目(歴史的出来事・技術・屋内外・移動の手段)について、3つの文章を比較するのは厄介(宝探しの極致・・・)。

2⃣A

coolには「すばらしい、結構な」というプラス評価を表す使い方がある。

2⃣B

insuranceは受験生必修の単語。動詞形のinsureとassure/ensure/reassureの訳し分けができるかどうか。

premiumは日本語の「プレミアム」の語源。ただし「プレミア」とも表記され、こうなるとpremiere由来の「プレミア(=演劇・映画の初日)」との見た目の区別はない(もちろん使われる文脈は違うので紛らわしくはない)。

3⃣(A)

ALT=Assistant Language Teacher(外国語指導助手)。

blog「ブログ」はweb「ウェブ」+log「日誌」からできた語。

monkeyと「モンキー」の発音の違いに注意!

3⃣(B)

virtual「仮想の、コンピュータ上での」は「バーチャル・リアリティー(VR)」として日本語になっている。

sceneryとsceneの違いについては☞ブログ#48

geographyとgeology/geometry/geothermalといったgeo-(地面・地球の意味)で始まる語を正しく訳せるのが望ましい。

get a better sense of the rainforestのsenseにぴったりくる日本語を探し求めて辞書を引く、というのがまともな英語学習の姿。だが、共通テストを主催している大学入試センターや今の政治家・官僚連には、そういう古色蒼然とした英語学習の意義を感知するだけのsenseが無いらしいのは誠に遺憾。分からないところは飛ばして、とにかく素早く文章の大意を読み取ることだけが、彼らにとっての英語という言語の価値であるらしい。受験生が大学入学共通テストを受けた後で入学する大学という学問の府で、短時間で大量の英文の情報を読み取らなければならない場面が果たしてあるのかどうか、寡聞にして知らない。文化の衰退も宜なるかな。

a live cameraのliveの品詞と発音は?

astronomyやastrology/astronautに見られるastro-は「星」の意味🌟

gymnasiumplanetariumの語尾にある-(ar)iumは「建造物・場所」を表す。Cf. aquarium; stadium

the Milky Wayブログ#33

4⃣

questionnaireは「アンケート」。「アンケート」はフランス語起源。

handoutは「配布物としてのプリント」。英語のprintは「印刷」の意味。

student worksのworksは可算名詞扱いなので「仕事」ではなく「作品」。

文頭のHopefullyは文修飾の副詞で「願わくは、できれば」の意味。ただし、この用法は広く見られるものの、誤用だと考える人もいる。

hardly everは頻度の副詞表現でseldomと同意。

5⃣

notesは「メモ、記録」。メモを書き付ける冊子がnotebook「ノート」。

reunion「同窓会」(←re(再び)+union(団結))。

I couldn’t make itのmake itは熟語で「出席する」。

preparatory school「準備のための学校」とは「予備校」のこと。

careerの発音・アクセントに注意。

try out for ~「~のためのオーディションを受ける」はふだん見ない熟語だが、文脈から推測可能。

restaurantと日本語の「レストラン」の語感の違いについては☞ブログ#46

for some reasonとfor some reasonsの違いに注意!可算名詞の単数形に付くsomeの意味が怪しい人は辞書で確認を。for some reason=somehow「どういうわけか」。

a bolder flavorのboldはstrongと同義。コーヒーの味が「強い」ことを、日本語では「濃い」という。strong coffee「濃いコーヒー」。ちなみに「薄いコーヒー(アメリカンコーヒー)」はweak coffee。

What are you waiting for?は口語表現で、「あなたは何を待っているのですか」→「何をぐずぐずしているの?」「早く始めてみたらどう?」というニュアンス。

Kasumi was reading the newspaper when she saw the headlineの捉え方・訳し方については☞ブログ#118

reflect on ~「~を思い起こす」。

eight months out of high schoolは分かりにくいが、eight months after graduating high school「高校卒業から8か月経ったころ」の意味。

Same here.「私も同じです」。

不可算名詞pityとa pityの違いに注意。

Where would we be without her?のWhereは、「空間的な場所」ではなく、比喩的に「人の置かれた立場・境遇」を意味している。「彼女がいなかったら、私たちは今ごろどうなっていたかしら?」

what brings you here?「何があなたたちをここに連れてきているの?」→「あなたたちはどういう用事でここに来たの?」。

strengthsは「長所、強み」。不可算名詞strengthとの訳し分けに注意。

※この試験が難化したと言われる最大の原因が、5⃣の「長文の長さ」(3ページ!)と「内容の複雑さ」(3人の登場人物の群像劇)。これだけのボリュームの問題を出しておいて試験時間は変えない出題者の良識を疑う。こうした試験を出し続けることが、どれほど受験生の英語学習を形骸化させることにつながっていることか。

6⃣(A)

retrospective「回想の」のretro-は「遡る」の意味で、「時間的に遡って過去を追想する」というニュアンスの語。retroという独立した語もあり、これが日本語「レトロ」の元になっている。

レトロな雰囲気漂う喫茶店

prospectiveは問題文では上のretrospectiveの対義語として使われており、「未来に見込まれる(期待される)」という意味。pro-は「前」を表し、ここでは「未来」を指している。

6⃣(B)

metabolism「代謝」。日本語の「メタボ」は「メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)」の略。

Wyoming「ワイオミング州」は、アメリカ北西部の州。山が多い州であり、アメリカ全州で最小の人口(60万人弱)の州である。また、最も早く女性参政権が認められた州でもある。

イエローストーン国立公園(世界初の国立公園)

food-borneのborneは、動詞bear「運ぶ」の過去分詞形。Cf. air-borne virus「空気で運ばれるウイルス(空気感染するウイルス)」

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ただただ「英文を素材にして大量の情報を処理する」試験に堕してしまった共通テスト・英語リーディングですが、受験生はとにかく対策をして8割以上取れるようにするしかありません。ここまで大量の問題を出すという出題者側の無神経は来年以降も変わらないと思われるので、配点の低い大問を1つ捨てて、残りの問題の正答率を高めるというのも現実的な戦略にならざるを得ません・・・。

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