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#115 パンデミックとの戦いの大きな節目としての終結宣言

2023/5/16

先日、WHO(世界保健機関)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する緊急事態宣言の終結を宣言しました

もちろん、新型コロナウイルスが地上から消えたわけではなく、その脅威は未だ存在し続けています。しかし、WHOによるこの宣言は、3年以上にわたるパンデミックとの戦いの大きな節目になりそうです。

この宣言を報じたThe Japan Timesの記事を英語で読んでみます。

COVID-19 is no longer global health emergency, WHO says

Nurses check a patient infected with COVID-19 at the Guillermo Grant Benavente Hospital in Concepcion, Chile, in April 2021. | AFP-JIJI

COVID-19 no longer represents a global health emergency, the World Health Organization said on Friday, a major step toward the end of the pandemic that has killed more than 6.9 million people, disrupted the global economy and ravaged communities.

COVID-19を『ジーニアス英和辞典』最新版で調べると、

COVIDはcoronavirus diseaseの略語だと分かる。19は2019年のこと。中国湖北省武漢市で最初にこの病気が見つかったのは、2019年12月31日のこと。

ここのrepresentは「~に当たる(等しい)」という意味で、be動詞に近い意味と考えてよい。

Her remark represented [=constituted; amounted to] refusal.「彼女の発言は拒否に等しかった」

「彼女の発言」は、表面的には拒否を示すものではなかったが、実質的には拒否を示すものであったということ。

➀の最初のコンマまでのところは、「新型コロナウイルス感染症はもはや全世界的な健康上の脅威ではない」と述べている。

the World Health Organization said on Fridayは挿入。The World Health Organization said on Friday (that) COVID-19 no longer represents a global health emergencyの下線部が後ろに回ったもの。on Fridayは5月5日のことを指す。日本の新聞などでは、「WHOは5月5日に~と宣言した」のように、出来事が起こった時を「月日」で表現するのが普通だが、英語の報道記事では、直近の出来事であれば「月日」ではなく「曜日」を示すことがよくある(日本人にとっては違和感があり分かりにくい・・・)。

WHOの日本語訳としては「世界保健機関」が慣例上適切で、「世界保健機構」という表現は複数の国語辞典・英和辞典に当たったが見当たらない。

本文2つ目のコンマ以降を正しく解釈できた人はかなりの英語力の持ち主。名詞表現a major step ~は、COVID-19 ~ Fridayと同格の関係。A, Bのコンマが同格を表す場合、AとBはどちらも「名詞」であるのがふつうだが(☞ブログ#10)、Aが「文」でBが「名詞」というパターンもあり、今回はその例。類例:

Through his life Jefferson wrote about twenty-five thousand letters, an amazing feat considering that he was also active in politics and farming.「生涯を通じてジェファーソンはおよそ2万5千通の書簡を認めたが、政治や農業でも活動していたことを考えると驚くべき離れ業である」

コンマの左の文全体コンマの右の名詞が同格的に説明している。

本文に戻って、WHOによる新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言の撤回は、toward以下に向けたa major step(大きな一歩)だと言っている。

pandemicは日本語でも「パンデミック」としてここ数年しばしば耳にしてきた。

epidemic「伝染病」、endemic「風土病」、pandemic「疫病の世界的流行」は見た目も意味も似ているのでいっしょに押さえておきたい。

thatは関係代名詞。

more than ~=over ~「~以上」。

6.9 millionは「six point nine million」と発音される。「690万」。ただし、この数字はWHOに届け出のあった死者数であり、WHOのテドロス事務局長自身が言っているように、現在までの新型コロナウイルス感染症による死者数はその数倍―少なくとも2,000万人―に達している可能性さえある。

that has killed , disrupted and ravaged ~のandは、3つの過去分詞表現を並列していることを見抜くことが大切(☞ブログ#10)。

disrupt: put into a state of disorder。日本でも、飲食業・観光業を中心に経済が大打撃を受けたことを思い出しながら読むところ。

ravageは難語。かと言ってすぐに辞書で調べようとせず、文脈から意味を推測しようとする姿勢が大切。上で説明したように、

killed ~, disrupted ~ and ravaged ~

の3つの過去分詞は並列されていて、kill「殺す」とdisrupt「混乱させる」はどちらもマイナスのニュアンスの動詞。だとすると、マイナスの動詞2つと並んでいるravageはプラスとマイナスどちらのニュアンスなのかは容易に推測できるはず。ravage=destroy。

Yesterday, the Emergency Committee met for the 15th time and recommended to me that I declare an end to the public health emergency of international concern. I’ve accepted that advice. It’s therefore with great hope that I declare COVID-19 over as a global health emergency,” said WHO Director-General Tedros Adhanom Ghebreyesus.

the Emergency Committee「緊急委員会」。met for the 15th time「15回目の会合を開いた」。recommendの後ろのthat節では動詞の原形を用いるというのは大学受験英語の重要事項。the public health emergency of international concern「国際的な公衆衛生上の緊急事態」。一部の記事では、これを「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と訳しているが、これは誤訳。このconcernはimportanceに近い意味で、「国際的に重大な(国際社会全体に関わりのある)公衆衛生上の緊急事態」ということ。

It is ~ thatの強調構文。強調されているのはwith great hope。declare COVID-19 (=O) over (=C)は第5文型。このoverは「ゲームオーバー」のoverと同じで「終わって」という意味。「世界的な健康上の緊急事態としての新型コロナウイルス感染症の終結を宣言する」。あくまでも「世界的な健康上の緊急事態としての(as a global health emergency)」新型コロナウイルス感染症が終わったと言っているだけであって、新型コロナウイルス感染症それ自体が地上から消えたと言っているわけではないことに注意。

WHO Director-General Tedros Adhanom Ghebreyesus「WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長」。

The WHO committee first declared that COVID-19 represented its highest level of alert more than three years ago, on Jan. 30 2020. The status helps focus international attention on a health threat, as well as bolstering collaboration on vaccines and treatments.

ここのrepresentは、➀で出てきたそれと同じで「相当する」の意味。itsはThe WHO committeeを受ける。

helpは直後に動詞の原形が来る特殊用法のある動詞。She helped reconstruct the company.「彼女は会社の再建に一役買った」。focus A on B「AをBに集中させる」。bolster: encourage; support。collaborationは日本語の「コラボ」の語源。col-はcom-の変形で「共に」、laborationに含まれるlaborは「労働」のlaborと同じ。vaccineと「ワクチン」の音の違いに注意。日本語の「ワクチン」はドイツ語から。(ちなみに「ウイルス」はラテン語から。)こうした医学的文脈でのtreatmentは「治療」。

Lifting it is a sign of the progress the world has made in these areas, but COVID-19 is here to stay, the WHO has said, even if it no longer represents an emergency.

lift「解除する」。the progressの直後で関係代名詞の省略。here to stayは熟語で、「世の中に浸透している」という意味を表す。The Internet is here to stay.「インターネットは人々の生活の一部になっている」。represent☞➀。

The death rate has slowed from a peak of more than 100,000 people per week in January 2021 to just over 3,500 in the week to April 24, according to WHO data.

from a peak ~ to just ~のつながりに気付くことが重要。

“However, that does not mean COVID-19 is over as a global health threat,” said Ghebreyesus.

over☞④。

The WHO does not declare the beginning or end of pandemics, although it did start using the term for COVID in March 2020.

doesが「現在形」であること、pandemicsが複数形であり、しかもtheのような特定を示す語が付いていないことから、「WHOはCOVID-19の始まりと終わりを宣言していない」のように誤読しないことが極めて大切。「WHOはパンデミックの始まりと終わりを宣言しないものである」と一般論として読むのが正しい(☞ブログ#54)。the termはpandemicという呼称を指す。

Last year, U.S. President Joe Biden said the pandemic was over. Like a number of other countries, the world’s biggest economy has begun dismantling its domestic state of emergency for COVID, meaning it will stop paying for things like vaccines.

ここのthe pandemic(定冠詞+単数形)と、⑪のpandemics(無冠詞+複数形)の形と意味の違いにこだわるのが上級者の読み方。over☞④。

受験英語ではa number of ~という熟語は「たくさんの(many)」という意味だとされるのが普通だが、これは不正確な教え方。というのも、この熟語はsomeやseveralの意味で使われることもあるからである。

ウィズダム英和辞典

この辞書によると、アメリカ英語ではa number of ~がmanyの意味で使われやすいと説明されている。そこで、何冊かのアメリカで出版された英英辞典を調べてみたものの、意外にもa number ofが「たくさんの」という意味であるとしているものは少なかった。

英英辞典A There are a number of [=several] different options to choose from.という例文を挙げ、a number of=severalとしているが、a number of=manyとなっている例文は挙げられていない。

英英辞典B a number of=severalと明記しているが、a number of=manyという記述は無い。

英英辞典C a number of=an indefinite quantity ofと説明している。つまりa number of=someだということ。

英英辞典D a number ofのa numberをan indefinite usually large totalと定義していて、このusually largeが、ウィズダム英和辞典の記述と一致している。

このように、アメリカの英英辞典でもa number of=manyと考えているものは意外に少ないことが分かる。

一方、イギリスの英英辞典も何冊か調べたが、a number of=manyと説明しているものは無かった。

a numberのaはsomeと同じ意味(☞ブログ#58)だと考えると分かり易くなる(numberはquantity/totalの意味)。なので、基本的にはsome/severalの意味だが、文脈によってはmanyの意味になり得ると考えるのが妥当だと思われる。(日本語の「一定数」に近いと考えるとより分かり易いかもしれない。「一定数」には、文字通り「ある一つの定められた数」という意味もあるが、より幅の広い数を表す用法もある。たとえば「こうした考えの人はどの時代にも一定数いる」の「一定数」は、ある決まった数(たとえば5,000)を表しているわけではなく、より漠然と「ある程度の数」といった意味で使われている。文脈によっては、「相当数」を意味することもあるかもしれない。英語のa number ofもそれに近いと考えられる。)

the world’s biggest economy「世界最大の経済体制」はもちろんアメリカ合衆国のことを言っている。dismantleは「解体する」の意味だが、ここでは比喩的に「廃止する」の意味で使われている。

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