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英語

#53 『賢者の贈り物』(オー・ヘンリー)①

2021/12/24

20世紀初頭に数多くの短編を発表したアメリカの作家オー・ヘンリーをご存じでしょうか?もしかしたら、有名な『賢者の贈り物』や『最後の一葉』を日本語で、あるいは英語学習者のために易しく書き換えられた英語で読んだ人もいるかもしれません。

今回は『賢者の贈り物』の原文を読んでいきます。アメリカの作家が、英語話者が読むために書いた原文そのままなので、私たち日本人には相当難しいです(大学受験レベルを完全に超えた難しさです…)。ネット上でも翻訳で読めるようなので、自分にとって読みやすいスタイルでぜひこの名作に触れてみてください。

*     *     *

主人公は若い夫婦のJimとDella。クリスマスイブの日のおんぼろのアパートが物語の舞台です。クリスマスを翌日に控え、妻のDellaは愛する夫のJimのために贈り物を買おうとしているようです―

One dollar and eighty-seven cents. That was all. And sixty cents of it was in pennies. Pennies saved one and two at a time by bulldozing the grocer and the vegetable man and the butcher until one’s cheeks burned with the silent imputation of parsimony that such close dealing implied. Three times Della counted it. One dollar and eighty-seven cents. And the next day would be Christmas.

inは「状態」を表す。

The couple lived in peace.「平穏に」

I’m in trouble.「困っている」

He is in love with her.「恋をしている」

pennyは「1セント硬貨」。全所持金1ドル87セントのうちの60セントは1セント硬貨の集まりであったということを言っている。

難文。そもそもこの文は「主語(S)+動詞(V)」という形式になっていない。文頭のPenniesは、直前のpenniesと同格の関係。60枚の1セント硬貨が、どのような経緯で集められたのかを述べているところ。savedは過去形ではなく過去分詞形で、左のPenniesを修飾。saved one and two at a time「1度に1、2枚ずつ蓄えられた」。by ~ingは「手段」。bulldozingの原形bulldozeは「ブルドーザーで目の前のものを力ずくで押しやる」イメージの語。ここでは比喩的に「人に動作を強要する」ことを言っている。どのような動作をgrocer「食料雑貨商」やvegetable man「八百屋」やbutcher「肉屋」に強要していたのかは文脈から推測してほしいところ。one’sのoneはここでは買い手を指す。burnが「燃える」という意味であることを知っていても、「頬が燃える」とはどういうことなのかを考えれば辞書を引くまでもないかもしれない。「頬が(恥ずかしさで)赤くなる、ほてる」。imputation「非難」。parsimony「けち」。関係代名詞thatの先行詞が直前のparsimonyではなく、もう1つ左の the silent imputationであることを定冠詞theが教えてくれている。close dealingも難しい。「近い売買」の「近い」とは、何と何が近いのだろうかと考えよう。文脈上、買い手が値切っている状況が掴めていれば、「定価」と「買い手の希望額」が近い、つまり「買い手が定価をちょっとだけ(=1、2セント)下回る希望額を提示する」という状況が分かれば十分。状況が分かっても、close dealingをどう訳すかはやはり難しいが、「みみっちい(けちくさい)値切りを含んだ売買」などの訳が考えられる。ここのimplyは「ほのめかす、示唆する」ではなく「(論理的必然として)伴う、含む」の意味。Life implies growth and death.「生命現象には成長と死が伴う(含まれる)」。Rights imply obligations.「権利には当然ながら義務が伴う」。the silent imputation of parsimony that such close dealing impliedは直訳すれば「そうしたみみっちい売買に当然伴うけちという暗黙の非難」だが、嚙み砕いて言えば「けちくさい値切りをされた側が当然示す非難の表情」を言っている。

There was clearly nothing to do but flop down on the shabby little couch and howl. So Della did it. Which instigates the moral reflection that life is made up of sobs, sniffles, and smiles, with sniffles predominating.

butは「~以外」の意味。The little girl did nothing but cry.「その女の子は泣いてばかりいた」。flop down on ~「~にどさっと座り込む」。shabby「みすぼらしい、古びた」。couch「(2人以上が腰掛けることのできる)ソファー、長椅子」。「カウチポテト族」はcouchに1日中座ってポテトチップスを食べる生活を送る人のこと。howlは「大声で泣いたり喚いたり笑ったりする」様を言う語。ここでは「大声で泣く」。He howled in agony.「彼は苦しさのあまり大きな呻き声をあげた」。The audience howled with laughter.「観客は爆笑した」(日本語の「爆笑」の本来の意味は「大勢の人が一斉に笑うこと」)。

このWhichを正しく解釈できた人は相当の英語力の持ち主。これは前文の内容全体を先行詞とする非制限用法の関係代名詞。She didn’t show up at the party. Which means she hasn’t come back to Japan yet.「彼女はパーティに姿を見せなかった。と言うことは、まだ日本に帰ってきていないということだ」。instigate「もたらす(bring about)」。moral reflectionを「道徳的な反射」と訳しても意味不明だから辞書を引くのが英語学習。ある辞書には

reflection=①映像 ②反射 ③反映 ④熟考・考え

という4つの意味が上がっている。1つ1つ当てはめてもいいが、ここでは後ろにthat節が来ていて、これはいわゆる「同格のthat節」ではないかと推測できるのは文法の知識による。上の4つの意味のうち、後ろに同格のthat節が来そうなのはどの意味かを考えると、ここでのreflectionの意味を確定できる。ここのmoralに「道徳的な」という意味はそぐわない。そこで辞書を引くと「精神的な(psychological)」という意味があることが分かる。moral reflection「精神的な(=心に浮かぶ)考え」。sobs「むせび泣き、嗚咽」。sniffles「すすり泣き」はsniff「鼻をすする、くんくん臭いを嗅ぐ」と関係がある。sn-で始まる語には「鼻」に関係するものがいくつかある。snore「いびきをかく」、sneer「鼻であしらう」もその例。sneeze「くしゃみする」も一見「鼻」と関係ありそうだが、語源的には無関係。withはいわゆる「付帯状況のwith」。

While the mistress of the home is gradually subsiding from the first stage to the second, take a look at the home. A furnished flat at $8 per week. It did not exactly beggar description, but it certainly had that word on the lookout for the mendicancy squad.

mistress「女主人」。ちなみにこの単語の省略形がMrs.。subside「感情が収まる」。from the first stage to the secondは、前文⑩のsobs, sniffles, and smilesのうちの「the first stage(むせび泣き)→the second stage(すすり泣き)」の移り変わりを言っている。takeは動詞の原形で、ここは命令文。

furnished flat「家具付きのアパート」。flatはイギリス英語で、アメリカ英語ではapartmentと言う(☞ブログ#26)。

beggarの名詞用法を知っていても、did notの後ろであることから動詞として使われているはずだと見当を付けて辞書を引くのが英語の学習。動詞用法のbeggarには「貧しくする」の意味があるが、「貧しくする」→「無力にする、不可能にする」と意味が発展した。Her beauty beggars description.「彼女の美しさは言葉による描写を不可能にする」→「彼女の美しさは筆舌に尽くし難い」。What he said beggared belief.「彼が言ったことは信じることを不可能にした」→「彼が言ったことは信じ難いことだった」。本文のbeggar descriptionは「言葉で言い表せないほど酷い」と悪い意味で使われている。that wordはbeggarを指す。ただし名詞用法のbeggar「乞食」を意識して使われている。つまり、そのアパートは「言語を絶するほど酷い」ものではなかったが(did not exactly beggar description)、しかし「beggar(乞食)という言葉を連想させる程度にはみすぼらしい」ものではあった(it certainly had that word)と言っている。こうしたhaveは訳すのが難しいが、訳以前に「関係」を表していると考えると分かり易い。

I have three children.「私は3人の子供と関係性がある」→「私には3人の子供がいる」

本文のit certainly had that wordも、「it [=the home]とthat word [=beggar]の間には関係性がある」と考えるとよい。on the lookout for ~「~を警戒して」。lookout「警戒、見張り」は、熟語動詞look out「気を付ける」から生まれた名詞。Look out! There’s a car coming!「気を付けろ!車が来てるぞ!」。mendicancy「乞食、浮浪者」。squad「警察の特定の任務を帯びた部隊・班」。the drug(s) squad「麻薬取締(捜査)班」。a bomb squad「爆弾処理班」。a riot squad「機動隊」。本文のmendicancy squadは、街の浮浪者の取り締まりを専門とした警察部隊。この文全体は、「アパートはかなりおんぼろだったので、いつ警察が浮浪者を取り締まりにやってきてもおかしくはなかった」ということを言っている。

In the vestibule below was a letter-box into which no letter would go, and an electric button from which no mortal finger could coax a ring. Also appertaining thereunto was a card bearing the name “Mr. James Dillingham Young.”

vestibule「建物の玄関ホール」。belowによって、玄関ホールがこの物語の主人公の住む部屋の下に位置していることが、つまり主人公の部屋が2階以上にあることが分かる。mortalはここでは「考えられる(imaginable)」の意味で、否定のnoを強調している。coax「引き出す」。We coaxed the secret from him.「彼からその秘密をうまく聞き出した」。a ring「呼び鈴の音」。「どんな指が押しても鳴らない電気式のボタン」は、簡単に言うと「故障している」様を述べている。

appertainは後ろにtoを伴って「所属(付属)している」。thereuntoは古めかしい英語で、簡単に言うとto thatの意味。この文は倒置表現になっていてそこも難しいが、通常の語順に直すと

A card bearing the name “Mr. James Dillingham Young” also appertained thereupon.

となる。

The “Dillingham” had been flung to the breeze during a former period of prosperity when its possessor was being paid $30 per week. Now, when the income was shrunk to $20, though, they were thinking seriously of contracting to a modest and unassuming D. But whenever Mr. James Dillingham Young came home and reached his flat above he was called “Jim” and greatly hugged by Mrs. James Dillingham Young, already introduced to you as Della. Which is all very good.

The “Dillingham”と人名に定冠詞と引用符が付いているのは、このDillinghamが表札の文字を指しているから。その表札の文字が「そよ風に投げつけられた(had been flung to the breeze)」も分かりにくい表現だが、簡単に言うと「そよ風を受けていた」ということ。この爽やかな描写は、当時の主人公の羽振りの良さと呼応している。

unassumingは直前のmodestと同じ意味。D.はDillinghamを短縮した形。theyは主人公の夫婦を指す。羽振りの悪くなった今では、ミドルネームをD.と略記しようかと考えているということ。

his flat aboveのaboveは⑭のbelowと対応。greatlyは通常「非常に」という意味だが、「非常にハグされた」はおかしいと考えて辞書を引くと、おそらくどんな英和辞典にも「非常に」や「立派に」といった訳しか書いていないはず(私も中型の英和辞典5冊と大型の英和大辞典3冊を調べてみたが、これら以外の意味は載っていなかった)。このような時に活躍するのが英英辞典。といっても普通の英英辞典でgreatlyを引いても英和辞典以上の情報は載っていないので、大型の英英辞典を引くとenthusiasticallyという語義が見つかる。greatly hugged「熱烈なハグをされる」。

このWhichは⑩のWhichと同じ用法。先行詞は前文全体。

Della finished her cry and attended to her cheeks with the powder rag. She stood by the window and looked out dully at a gray cat walking a gray fence in a gray backyard. Tomorrow would be Christmas Day, and she had only $1.87 with which to buy Jim a present. She had been saving every penny she could for months, with this result. Twenty dollars a week doesn’t go far. Expenses had been greater than she had calculated. They always are. Only $1.87 to buy a present for Jim. Her Jim. Many a happy hour she had spent planning for something nice for him. Something fine and rare and sterling—something just a little bit near to being worthy of the honor of being owned by Jim.

attend to her cheeksのattend toをどう訳すかは難しい。辞書を引くと、attend to ~「~を扱う、~の世話をする、~に専念する」などの意味が挙がっているが、「女性が頬に専念する」とはどういう状況なのかを考え、後ろのpowder rag「粉白粉(おしろい)を付けた布切れ」やこの時点のDellaは泣いた直後であるという文脈も参考にすれば、「化粧直し」をしている状況だと分かる。

look outは⑬で熟語としての意味を紹介したが、この意味の時は後ろの前置詞はforを使う。LOOK OUT FOR PICKPOCKETS「スリにご用心」。本文ではatが使われているので、look outを「気を付ける」と訳すと誤訳。

She looked at a cat.

なら「彼女はネコを見た」だが、ここに「外」を意味する副詞outを挿入すると、

She looked out at a cat.「彼女は外にいるネコを見た」

となる。これは

look out「外を見る」+look at ~「~を見る」→「外を見て~を見る」→「外の~を見る」

と考えると分かり易い。looked at ... walkingは「知覚動詞+目的語+現在分詞」の構文。walkはここでは他動詞。He walked a tightrope.「彼は綱渡りをした」。「ネコが塀の上を歩いている」様子が想像できればOK。ここで3回もgrayが繰り返されているのはなぜかを考えるのが小説の読み方。この時のDellaの心情を考えれば、grayという暗いイメージの語の多用が納得できるはず。

with which to buyは「前置詞+関係代名詞+不定詞」の構文で、一応大学受験英語の範囲だが、難しい書き方。

I don’t have a bicycle which I can go to school by.

=I don’t have a bicycle by which I can go to school.

ここで下の文の下線部を不定詞に変えると、

I don’t have a bicycle by which to go to school.「私は通学用の自転車を持っていない」

文全体を後ろから訳して「この結果を伴って、彼女は数ヶ月間できる限り1セント硬貨を貯め続けてきた」とすると台無し。コンマの休止を活かし、前から「彼女はできる限り1セント硬貨を貯め続けてきたのに、結果がこれだ」のように訳すのが望ましい。

go farも難しい熟語だが、辞書を引く前にまずは直訳。「go行く+far遠くへ」と考えて、Twenty dollars a week doesn’t go far.「1週間に20ドルは遠くへ行かない」と訳してみる。ここの「1週間に20ドル」とは生活費のことだが、アパートの家賃が週8ドル(☞⑫)であることを考え合わせると、その生活費では「遠くへ行かない」とは、「満足な生活ができない」ことを言っているのではないかと推測できた人は天晴れ。「1週間に20ドルでは足りない」。

They always are (greater than she calculates).

(There was) Only $1.87 to buy a present for Jim.の略だが、そんな文法的なことを考えずに読んでもおそらく誤読は生じないところ。

Her Jimは直前のJimを感傷的に繰り返している。

この文は倒置になっているので難しい。many a+単数名詞=many+複数名詞。Many an adult [=Many adults] tends to gain weight in middle age.「多くの大人は中年になると太る傾向がある」。「文頭の名詞は99%主語(S)」なので、本文のMany a happy hourをSを考えて読み進めると、直後にshe (S) had spent (V)があるので、hourとsheの間に関係代名詞の省略があると考えるのが一定の英語力のある証。しかし今回はそのように読むと、結局Many a happy hourをSとするVが出ないまま文が終わるので、そこでこの読み方ではまずいと気付いて、

Many a happy hour (O) she (S) had spent (V) planning for something nice for him.

と分析し直して、OSVの倒置構文だと気付けた人は相当の英語力の持ち主。「彼女は、彼に贈る素敵な物のことを長い時間の間あれこれ考えて幸せだった」。

Somethingは前文のsomethingの言い換え。よってこの文も通常の文の形式を取ってはいない(☞④)。sterling「素晴らしい」。「純銀(銀の含有率92.5%)」を意味する「スターリングシルバー」の「スターリング」はこの語より。ダッシュ記号(―)の後ろのsomethingはさらなる言い換え。just a little bit「ちょっとだけ」は副詞的に直後のnearを修飾。ここもなかなか凝った言い方をしているが、「ジムによって所有される光栄に値するのにちょっとだけ近い物」とは、Dellaはお金をほとんど持っていないので大したものは買えないが、それでも自分の愛するJimに贈るのにあまり恥ずかしくない物のことを言っていると理解できれば十分。

There was a pier glass between the windows of the room. Perhaps you have seen a pier glass in an $8 flat. A very thin and very agile person may, by observing his reflection in a rapid sequence of longitudinal strips, obtain a fairly accurate conception of his looks. Della, being slender, had mastered the art.

pier glass「窓間(まどあい)鏡」。pierはここでは「窓と窓の間の壁」のこと(☞ブログ#48の⑰)。ここに姿見やテーブルが置かれることがある。

agile「身のこなしが軽い、敏捷な」。rapid sequence of longitudinal strips「次々と連続して移り変わる細長い鏡面」も分かりにくい表現だが、ここの鏡は全身を映すことができる大きなものではなく、体の一部しか映らないような細長い鏡なので、鏡の前に立つ人が素早く体を横に何回かずらずことで鏡像が次々に移り変わることを言っている。文全体としては、そのようにして得られた複数の鏡像を頭の中で再構成することで、自分の全身の姿をかなり正確に把握できるということを述べている。

2つのコンマの間は分詞構文。the artを「その芸術」はもちろん誤訳。artに芸術以外の意味があるのではないかと考えて辞書を引けるかどうかが、英語の学力が伸びるかどうかの分かれ目。ここでは「技術、こつ」の意味。theが付いているのは、直前の文のby ~ looksを受けているから。

Suddenly she whirled from the window and stood before the glass. Her eyes were shining brilliantly, but her face had lost its color within twenty seconds. Rapidly she pulled down her hair and let it fall to its full length.

whirlは難しい単語だが、後ろにfromという動作の起点を表す前置詞やstood before the glassとあることから、何か「移動」を表す動詞だと推測してほしいところ。whirl「素早く移動する」。colorはここでは「健康的な顔色」。それをloseするということは「血の気が引く」ということ。

letは使役動詞。to its full lengthのtoは「変化の結果」をあらわす用法。

starve to death「飢えて結果的に死ぬ」→「餓死する」

tear a letter to pieces「手紙を破って結果的に破片の状態になる」→「手紙をずたずたに破る」

本文のto its full lengthは「髪がほどかれることによってその全長の長さになる」つまり「ほどかれた髪がばさっと下に垂れ下がる」様子を表現している。

Now, there were two possessions of the James Dillingham Youngs in which they both took a mighty pride. One was Jim’s gold watch that had been his father’s and his grandfather’s. The other was Della’s hair. Had the queen of Sheba lived in the flat across the airshaft, Della would have let her hair hang out the window some day to dry just to depreciate Her Majesty’s jewels and gifts. Had King Solomon been the janitor, with all his treasures piled up in the basement, Jim would have pulled out his watch every time he passed, just to see him pluck at his beard from envy.

このNowは「ところで」という意味で、話題を変える合図。the James Dillingham Youngsの定冠詞と複数形に注意。the Suzukis「鈴木夫妻」。in whichは「前置詞+関係代名詞」。whichの先行詞は人間のthe James Dillingham Youngsではあり得ない。もちろんtwo possessionsが正解。ここのmightyは程度を強調している。take a mighty pride in ~「~を大変誇りに思っている」。

gold watchはもちろん「金時計」だが、この時代のwatchは「腕時計」ではなく「懐中時計」を指す。(セイコー製の日本初の腕時計が作られたのは1913年のこと。)

ここからはthe queen of Shebaなどの伝説上の人物が登場してくるので、日本人にはそれだけでも分かりにくい。ただし話の流れから、この文全体は「Dellaの髪がどれほど美しいものであるか」を描写しているはずだと思いながら読むことが重要であり、the queen of ShebaはDellaの髪の美しさを引き立てるためだけに引っ張り出されてきただけ(the queen of Shebaにしてみれば「いい面の皮」といったところだが…)なので、それについて何も知らなくても読解上は何も問題ない。コンマの前半はifの省略による倒置構文。the queen of Sheba「シバの女王」とは、その美貌と財力で有名な旧約聖書中の人物。Solomon 王(☞㊷)の偉業と知恵を知り、その教えを受けるため、たくさんの宝物を持って彼を訪ねた。airshaft「通気管」。letは使役動詞。outはここでは前置詞。depreciate「価値を下げる」。just to以下はいわゆる「結果」の不定詞。Her Majesty「女王陛下」。

㊶と同じくifの省略による倒置構文であり、㊶のthe queen of ShebaとDellaに対して、今度はKing SolomonとJimが出てきている以上、文全体を読まなくても「Jimの金時計がどれほど素晴らしいものであるか」を文学的に大袈裟な表現で語っているはずだとピンと来なくてはいけない。それが文章を構造的に読んでいるということ。King Solomon「ソロモン王」は紀元前10世紀のイスラエルの王。旧約聖書に登場し、その賢さで特に有名。as wise as Solomonは「非常に賢い」という意味の慣用句。janitor「管理人」。the janitorと定冠詞が付いているのは、the janitor (of his flat)と限定されているから。every timeは熟語の接続詞。just to以下は㊶のと同じく「結果」の不定詞。pluck at ~「~を引っ張る」。from ~は「原因・理由」。The soldier died from the wound.「兵士はその怪我で死んだ」。

So now Della’s beautiful hair fell about her rippling and shining like a cascade of brown waters. It reached below her knee and made itself almost a garment for her. And then she did it up again nervously and quickly. Once she faltered for a minute and stood still while a tear or two splashed on the worn red carpet.

文頭のSoは話を元に戻す合図。about her「彼女の体の周りに」。She wore a shawl about her shoulders.「彼女は肩にショールを羽織っていた」。rippling and shining ~は分詞構文。ripple「波打つ」。cascade「小さな滝」。

garment「衣服」。

did it up「髪を結んだ」。

falter「手を止める」。stand still「じっと動かない」。このstandは「立っている」ではなく、第2文型で使われbe動詞に近い。The door stood open.「ドアは開いていた」。Wash the rice and let it stand in water for 30 minutes.「お米を研いで、30分間水に漬けなさい」。形容詞のstillについては☞ブログ#48の㉞。

On went her old brown jacket; on went her old brown hat. With a whirl of skirts and with the brilliant sparkle still in her eyes, she fluttered out the door and down the stairs to the street.

単語は簡単だが、頭を使わないと何を言っているか分かりにくい。セミコロンの左も右も倒置構文で「副詞+V+S」の語順。通常の語順に直せばHer old brown jacket went on; her old brown hat went on.だが、問題はwent onの解釈。熟語go on「続ける」は有名だが、ここではその意味は通じないので辞書を引く。しかし残念ながらこの文脈に合う意味を載せている辞書は少ない(私は6冊の英和辞典を調べたが、載っていたのはわずか2冊だった)。かと言って諦める前に考えてみるともしかしたら分かるかもしれない。ここでポイントになってくるのはonの意味。onは「~の上に」ではなく「接触」を表すことを知っているのが重要(☞ブログ#42)。まずは文全体を「彼女の古い茶色の上着は移動して(went)接触した(on)。彼女の古い茶色の帽子は移動して(went)接触した(on)。」と直訳する。それから、上着や帽子が何に接触したのかを考えればよい。常識的に考えれば、上着や帽子が接触するのは人間の体である。では誰の体に接触したのかを考えると、もちろんこの文脈では「Dellaの体」以外に考えられない。「上着や帽子が人の体に接触する」とは、つまりは「人が上着や帽子を身に付ける」ということである。もちろん今回みたいにうまくいくことばかりではないが、仮に手持ちの辞書に求める意味が載っていなくても、そこで諦めずに考えようとする姿勢が大切。

㊼With a whirl of skirtsのwhirlは「回転」、複数形skirtsは「ワンピースのwaist(☞ブログ#51)より下のスカート部分」の意味。「スカートを翻して」。目に溜まるthe brilliant sparkleが何を指しているのかの説明はあらずもがなのはず。flutterは難しい動詞だが、正確な意味が分からなくても、 out the door and down the stairs to the streetという「移動に関係する前置詞」と使われている以上、何か「移動」に関する意味を表しているということまでは推測してほしい。flutterは元々は「鳥や蝶の羽ばたく」様を表す語だが、ここでは「興奮して素早く移動する」ことを言う。

果たしてDellaはどこに向かったのか…!

 

(To Be Continued)

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#164 共通テスト英語R(2026年度本試験)4⃣

2026/2/13
theme「テーマ」はドイツ語のThemaから。英語の発音に注意。The novel’s theme is the conflict between love and duty.「その小説は義理と人情の葛藤がテーマだ」。draft「下書き、草稿」。I had him check my draft f...
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#163 共通テスト英語R(2026年度本試験)3⃣

2026/1/30
【¶1】いきなりMy high school classmateで文章が始まるが、この書き方は稚拙。これだと、「私の高校のクラスメートは一人しかいない」という風に聞こえてしまう。本来は、A high school classmate of mineと書くべきところ。この段落の最後の文にはMy fri...
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#162 共通テスト英語R(2026年度本試験)2⃣

2026/1/27
今回は大問2⃣を見てみましょう。共通テスト英語の一大特徴(?)の「opinion選択問題」も顔を出します。せっかくなので、この類いの設問の着眼点についても話そうと思います。 are enteringは「未来を表す現在進行形」。I’m going to Nara next week.「来週奈...
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#161 共通テスト英語R(2026年度本試験)1⃣

2026/1/22
ただの「宝探し(情報探し)ゲーム」と化した共通テストの英語については、設問の解き方を述べることは控えて、本文中の英語表現を深掘りしていきます。では大問1⃣から。text message「(携帯)メール」。textだけでもこの意味で使われることがあり、しかも動詞用法まであることも知っておこう。I’ll...
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